uenoutaの日記

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転生したらロボットの中でした(ただし、出ることはできません)運命という世界線を壊せ 970

 あれからも何度も彼女を追った。あの女を跪かせる……その思いを胸に訓練もしてた。そんな時、訓練の場所にある人がやってきた。
 それは勇者と呼ばれる人だった。愛想が良い、優しそうな人だった。俺たちのような新人にも丁寧で物腰も柔らか。だが俺は気に食わなかった。
 なにせ……だ。勇者の行くところには常に黄色い声があったからだ。どうやらあいつのファンらしい。それに同期の女子達もキャーキャーといってた。俺の方が強いのに、そんな俺には汚物を見るような視線しかよこしてこないのに、この勇者にはキャーキャーとしてる。
 そんなの許せるか? 許せるわけがない。だから俺は前に進み出ていった。
 
「勇者様! どうかこの若輩者に稽古をお願いできないでしょうか!!」
 
 とね。あくまでま下手に出て、俺は立場をわきまえてる感じでいった。その言葉に上司は「失礼だぞ!」と叱責してた。けどお前になどきいてない。
 俺が失礼なら貴様も失礼だろう。なにせ勇者はこの世界のものではない。その技術が、この街を教会と対立できる程にしてるのだ。公式にはなんの声明も出てないが、この眼の前の勇者はそれこそ王様たちと同じか、それ以上の立場の者。
 そんな人の許可もなく言葉を紡ぐ上司も十分に失礼というものだ。だがまあ彼がそんな事を問題にすることはない。なにせ勇者は人格者として有名だからだ。強く、優しく、そして賢い。更に言うと、イケメンだ。
 確かに女どもがキャーキャーとするのもわかる。でもだからこそ気に入らない。だからこそボッコボコにしてやりたい。
 
(けど普通にやっても勝てるわけ無いよな)
 
 そうなのだ。勇者は強い。強さがプラスされてるから、女どもは皆、勇者に抱かれたいと……その腕に守ってもらいたいと思ってる。普通強さなんてのは誇張されて伝わるのが定番だ。けどこいつの場合は違う。
 なにせあのでかい機械の親玉だ。そんなやつが弱い訳はないし、更に言うとあんなのを引っ張ってこられたら、簡単に潰されるだろう。
 
「威勢がいいね。その勢いは大切だよ。けどちゃんと命令とかは聞くんだよ?」
「それは俺が圧倒的に弱いってわかったら考えてもいいですよ」
 
 ちょっとした挑発だ。俺はただその強さを見せてくれよ……と暗に言った。それに対して勇者はすこし考えてこういった。
 
「分かった。それで君の気が済むのなら、相手をしよう」
 
 俺はニヤリとわらったよ。