uenoutaの日記

好きなものを描いたり、買ったものを紹介していきます。

ある日、超能力が目覚めた件 362P

『助けて……』
 
 そんな声が聞こえた。いや、野々野足軽の耳には……頭には確かにその声が聞こえた。けどその声は曖昧だ。どこにいるのかわかんない。
 
「誰だ? どこにいる?」
 
 そういう野々野足軽。けどその声は穴の向こう側でいってた。これでは聞こえるはずはない……というか、穴の内側では発することなんてできない。そもそもが振動……というものが起きるのかもわかんない。
 確かに風は入ってる。けどそれが満ちてるのかはわかんない。だって野々野足軽の力だってこの穴の向こうを満たすことはできてない。
 まあいつからこれがここにあるかわかんないが、ずっと風を吸い続けてたら溜まっててもおかしくないが……そもそもがこの渦が更に別の所に続いてたとしてたら? 
 そうなるとこの穴の中が満ちる……なんて事はないだろう。
 
「どうやってこの声の主に伝えたらいいんだ?」
 
 そんなことを考える野々野足軽。声……としては無理だ。ならやっぱりこの存在がやってることと同じ様なことをするしかない。つまりは意思を直接ぶつけるってあれである。
 それにそれはアース相手にいつもやってることでもある。でも問題はアースの場合はアースと言う存在にめがけられるということだ。けど今声を届けてる存在はどこにいるかなんてわかんない。
 ということはだ。力をこの穴の中で全方位に飛ばす必要がある。そしてそれで届くかどうかも実際の所はわかんない。なにせチャンネルが全く違う……とかだった? いや意思というものだから、実際これは全く言語とかわかんない存在にも『意思』として伝えるものだから、伝わるはずだけど……出来るかどうか? って奴は流石に野々野足軽にもわかんない。
 けどここで手をこまねいてても何も進展はしない。なにせこのままではこの空間が何なのか全くわからない。
 
(でもいくら力を飛ばしても渦に飲まれてみちることはないからな……届く……のか?)
 
 それがわかんない。けどとりあえず野々野足軽はやってみることにした。考えるよりもますは行動をする……そういうときだって大事だろう。
 
(聞こえるか? 聞こえるなら、返事をしてくれ)
 
 そんな風に何回も何回も意思として、この黒い穴の先の空間で飛ばす。とりあえず出し惜しみなんてしてても意味ないし、最初から全力全開だ。すると……
 
『きゃあああああああああああああ!?』
 
 ――とかいう悲鳴のような意思が野々野足軽の頭を打ってきた。