ネナンちゃんが街を守ってくれている。でもこの扉から出てこようとしてる化け物の実力は未知数だ。あれでも安心なんてできない。他に気を取られる必要がない今、俺達はラッシュをかけないといけない。よしんば、倒す!!
「ヤツを倒しましょうアイ!」
「呼び捨て……まあいいでしょう。それには同意します」
自分の呼び捨てをスルーしてくれたアイ嬢。テンションがあがってつい……だったが、これからは「アイ」と呼び捨てでもいいのだろうか? アイ嬢はその言葉とおりに、空間からガシャガシャと何かを取り出していってた。そしてその体にそれが装着されていってる。脚、胴体、腕……それぞれに外骨格と呼べるような、機械の腕や足がくっついてる。それによって彼女の慎重が3メートルくらいになった。それに肩甲骨くらいから二本の大きな砲台があるし、腕や脚にもはいかにもな箱がみえる。かなり火力を期待できそうだ。
自分はあいも変わらず剣しかない。相棒の聖剣。その輝きを強める。そしてその姿を変化させる。けどまったく別の物にしようとしてるわけじゃない。ただ大きく……あの腕を切れるほどの大きさへとかえる。
「私が援護します。貴方はただ切ることだけに集中してください」
「頼む!!」
そんなやり取りをしてすぐに飛び出した。そして沢山の髪がむかってくる。けどそれらはすべて、自分に届く前に撃ち落とされていく。
(流石だ……これなら!!)
アイ嬢はそのすべての武装を展開してるみたいだ。脚腕、そして両肩の砲台……それらが弾幕と言えるほどの弾をばらまいてる。それにその一つ一つに大きなエネルギーがこめられてるらしい。普通の玉……それこそ石とかを飛ばすなんてしてもなんの意味もない。だからこそ、どれだけ力を込めるか……が大事だ。石だって力をまとわせれば、威力も耐久度も全然変わってくる。
それだけエネルギーというのは大事だ。それに加えて、アイ嬢は打つ出すエネルギーも工夫してるみたいだ。それが何なのか今の自分にはわからないが、ただ吹き飛ばすだけじゃない。あの弾にあたったら、本体にまで影響が及んでる。つまりは鈍くなっているみたいだ。
弱体化……それは確実におこってるだろう。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
自分は聖剣を振りかぶる。数多の髪を切り裂く……そして腕に食い込む聖剣。僅かな抵抗を感じる。けど……自身の中のノア、そして聖剣自身と完璧なシンクロをしたその瞬間……聖剣は抵抗を振り切って大きな腕を切り裂いた。
ズズズズズーン
そんな風に斬られた腕が砂へとおちる。その大きさによって、世界が揺れたかのうような……そんな振動が響く。