uenoutaの日記

好きなものを描いたり、買ったものを紹介していきます。

ある日、超能力が目覚めた件 406P

「ふふ……」
「なによ? ちょっとどいてくれる?」
 
 朝倉先輩と悪魔の女性は対面してる。女がいきなり朝倉先輩をどうやら壁際に押し付けたみたいな? 多分そんな感じなんだろう。だからこそいきなりの事でびっくりしてる朝倉先輩な訳だが、とりあえず目の前の女にそんな事をされる覚えもないから、彼女はそのギャルの見た目を利用してすごんでる。
 いつもはもっと高い声を出してるんだろうが、今の朝倉先輩の声は凍えるように冷たい声だった。けど、悪魔の女性にはそんなのは全然きいてない。むしろ悪魔はゾクゾクとしてなんか感じてるように見える。もしもクラスの陰キャが今の朝倉先輩の声をかけられるとそれだけで体が硬直とかしてもおかしくないが、悪魔にはその敵意とかも好物なのかもしれない。
 
「そんな事を言わないでよ。楽しいことをしましょう?」
「あんたみたいなヤバい女とやることなん……て……」
 
 どうやら朝倉先輩はギャルよろしく、視線を外すと負けた気になるのか、悪魔の女性をにらみ続けることをやめなかった。そうなると悪魔的には好都合だ。なにせどうやら悪魔は視線を合わせることで催眠に落としてる。なのでおどおどとして頑なに目を合わせないようにする人物よりも朝倉先輩のように気が強い女性の方が悪魔には都合がよかったのだ。
 
(やばい)
 
 とりあえず野々野足軽は朝倉先輩を力で守って催眠状態に落ちることを防いだ。すると悪魔は当然だけど驚く。
 
「なに?」
「……っつ……なに? なんか眩暈がしたような……」
「ほら、さっさと落ちなさい」
 
 そんな事をいって悪魔は強引な手段をとった。それは朝倉先輩の顎を持って無理矢理顔を固定させてより強く自身の力を使う構えをとったのだ。今のは何かの間違い……と思ったんだろう。なにせこれまではきっとずっと成功してる。初めて野々野足軽が悪魔を認識した時に妨害したが、それだけだったからきっと何かの間違いと思ったんだろう。だから今更失敗するなんて考えられないって悪魔は思ってる。
 でも……
 
(無駄だ)
 
 悪魔の力よりも野々野足軽の力の方が高い。だから悪魔の催眠が朝倉先輩へと届くことはない。
 
「やめっ――てよ!!」
 
 そういって朝倉先輩が悪魔の女性の手を振りほどく。すると流石にその声とかで周囲がざわざわとしだして注目を集めだす。そうなると流石に悪魔は困るみたいだ。けどまだ逃げ出すほどではないのか、周囲も気にはなってるが、どうしたらいいのか……と声をかけあぐねてる感じだ。どっちも美女だから、気後れしてる……ってのもあるかもしれない。
 
「なんで……なんでなんでなんでなんでなんで効かない!」
「聞かない? 見ず知らずのあんたのいう事なんて聞くわけないでしょ!」
 
 朝倉先輩は強めにそういうが、その手先は実は震えてる。いくらギャルみたいな見た目をしてるといっても、彼女はまだ高校生だ。わけわからない大人の女性にいきなり絡まれたら怖くなることは何もおかしなことじゃない。さっさと悪魔の女性が諦めてくれたらいいけど、そうじゃないのなら、彼女を助けるヒーローが必要だ。なので野々野足軽は山田先輩を探し始める。