悲鳴な様な叫びを扉から出てきた化け物は出してる。それこそ実際のところはサイズ感の違いもあるし、そもそもが自分たちのような世界の外を渡れるような存在と世界の中だけで完結してる存在のエネルギーの差があるから、そこまで……とか思ってた。
でもどうだ? 結果的には彼らジャル爺達の攻撃はとてもきいてる。実際、そのエネルギーはとても大きい。その原因はきっとネナンちゃんだ。ネナンちゃんの力は自分たちにも流れてた。けどそれを自分たちは百パーセント活かせてはなかった。
なにせ世界が違うからだ。そして変換するにもその効率はそこまで高くない。けど彼らはどうだ? どうだなんて言う必要さえないだろう。彼らは純粋なこの世界の人間だ。
だからこそ、ネナンちゃんから供給させるそのエネルギーを取りこぼすことなく、百パーセント使える。面倒な返還なんて必要ない。けど実際アレだけのエネルギーだ。百パーセントを活かせる存在なんてこの世界の人間でもそうそういないだろう。でもそんなそうそういない中の一部が彼らだ。
潤沢なエネルギーに後押しされて、彼らの攻撃はとても強力な物になってる。一回一回があの扉から出てきた化け物に消えない傷をいれてる。でもそれでも決め手にはなってない。
効いてはいるが、決定打にはなってない……という感じ。それに相変わらず髪はこっちに多く向いてる。ということは、潜在的にはこの化け物はまだ自分のほうが脅威と感じてる……ということだろう。
「応えなければのう! この力もきっとただではなかろうよ!!」
「はい! このチャンス、この機会……逃しはしない!!」
そんな風に叫んでるジャル爺とサーザインシャインインラの隊長さん。二人はその体をずっと化け物に貼り付けて切りまくってる。彼ら二人だけじゃない。他の者達だってそうだ。そのおかけで化け物の歩み止まってる。
そして傷付けていく中で……異変は起こる。それはあの扉から出てきた化け物に巻き付いてた物……螺旋。それが剥がれていってる。目を隠し、そして体に巻き出た螺旋。
それが彼らの猛攻によって剥がされていってる。実際剥がれるもの? と思うが、実際剥がれてる。自分やアイの攻撃ではあんな現象は起きなかった。何か……あの化け物に巻き付いてる螺旋が反応をしてるのかもしれない。
自分たちの力では起きない反応……それが起きてると見たほうがいいだろう。そしてその螺旋が取れることがいいことなのか……それともまずいことなのかは正直わからない。螺旋はまるであの化け物を縛るようになってるみたいにも見えた。
だからあの螺旋が剥がれると、もしかしたらあの化け物が本当の意味で開放される……かもしれない。でも彼らの攻撃を止めるなんて事はできない。だって効いてる。そしてここは彼らの世界。
彼らが自身で世界を守れるのなら……それに越したことはないんだ。そんなそんな時――
『世界の解明を完了しました』
――という声が頭に響く。