uenoutaの日記

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ある日、超能力に目覚めた件 第二章 第二十三話part2

 その人はそれをどうしたかったのか。それは明らかだった。呪術的に様々なことをそれに対して施してたその人は、とてもつらい人生を送ってたみたいだ。その人は周囲を恨んでた。家族を憎んでた。
 そんな心をそれ……に込めていってたんだ。そしてそれはそんな思いを受け入れる。自分の体を傷つけて血で満たした桶にそれを沈めた。そしてそれに毎日語り掛けた。
 もちろんそれは夢とかそんな前向きな事じゃない。その逆だ。恨みつらみ……悲しみ憤り……そんなのを投げつけていく。そして日に日にその血の中には誰かの肉体の一部が投入されていく。 
 それは髪の毛だったり、切られた爪だったりいろいろだった。そんなものに沈まれてそれはどんどん染まっていく。けどいつしか、その人はいなくなった。それだけじゃない。
 その人がいたその村……そこから人がいなくなった。
 
 けど人はいなくなってもそれはなくならない。その惨状を知った隣の村の人たちが高名な坊主に力を借りたようだ。その坊主はいった。
 
「ここにはものすごい呪怨が渦巻いてる。そしてその原因は」
 
 坊主はそれが原因だといった。村を一つ滅ぼすほどの呪物となったそれは。その坊主がお祓いして、祀られることになった。そうやって呪いをうすらげていくのだ。
 それに利点もないわけじゃなかった。強力な呪いを持つ呪物を祀ることで、その力を逆に利用しようということだ。先に強い悪いものがいるところには他の悪いものが寄ってこない……という考えだ。
 祀ることでそれに対して自分たちは敵じゃないとと思わせるのだ。そしてその悪い物の力を守りにむけるのだ。
 
 そうやって祀られることが続いたが、人の業とはそんな浅くない。それは何度も何度も村を滅ぼしてた。けどそれはそれが望んだことじゃない。ただ呪いを求める人がそれに引き寄せられるのがよくないのだ。
 人が必ず、それに最後には頼る。だからいくら祀られてもそれはどんどんその呪いを強めていった。それはどうやらもう時々来るような坊主がどうすることもできないまでになってた。
 
 だからわずかでも呪いを弱くするために、坊主はいった。
 
「これを割りましょう」
 
 その坊主は命を懸けてそれを四つに分けた。そしてそれぞれを離れた村の関係者に預けて、祀るのはその家の者だけ。沢山の人が知ったらそれだけ悲劇を引き寄せる……人の闇の部分をそれは求めている……とおもわれたのかもしれない。
 
 だから坊主は信頼できる家の者にだけ託した。それから長い間そんな家と共にあったそれだったけど、長い年月をかけて今やその家も没落してしまった。
 誰もがこのまま忘れていく……と思われてたそれ。最後に残ってた村も……数十年前に……
 
「この子達は別には悪ではないの。ただ、全てを受け入れて来ただけ……」
「まさか……今の話の四つに分かれた呪物って……」
 
 野々野足軽の言葉におばあちゃんは頷く。どうやらこのサルたちは、元は呪物だったもののようだ。それがなんでこんなサルの肉体を得てるのか? そこにおばあちゃんとの関係があるんだろう。
 
(てか、どう考えても話を聞く限り、危険物では?)
 
 そう足軽は思った。