私は鋭い武器を想像します。とりあえず鋭いと言ったらナイフとかです。私は剣とかよりも身近にあったナイフとかの方が鋭くて恐ろしい記憶があるのです。
私の周りからはだいたい刃物……と呼べるものは排除されてましたからね。そんな生活の中で唯一の刃物がナイフとか包丁とかそんなのです。まあ包丁もほぼみたことないです。
じゃあなんでナイフは見たことあるのか? というのは、ナイフは食事中のテーブルで何かをちょっと料理人が仕上げをするときとか、料理を切って広げる時とかには使ってたからです。
なので鋭いナイフを私は想像して、そして――
「ふっ!!」
――キィィィィィン! 甲高い音が響く。そして……腕に感じるしびれ。
(これじゃあだめですか)
簡単に弾かれてしまいました。あんな硬いものに刃物がとおるなんて……そんな……そんな想像がしにくいのは確かです。私のそんな「ありえない」という部分がポニ子アーマーに迷いをあたえてるかもしれません。
(ポニポニ!)
「はい、そうですよね」
私はポニ子ちゃんにそう答えます。ポニ子ちゃんは「頑張って」といってくれてました。そうですよね。ポニ子ちゃんはすでに私の為に色々と頑張ってくれてます。私の意思を汲んでくれて……色々とその体を変化させてくれてる。それがどれだけの負担をかけてるのか、私には全くわかりません。
嬉しそうにしてくれてますけど、ありがとうの気持ちでいっぱい。私のために頑張ってくれてるポニ子ちゃん。私はそんなポニ子ちゃんを信じます!
「もっと、鋭くです!」
私のイメージで刃物を再現したけど、私の世界はとても遅れてた事はわかってます。だから刃物といっても聖剣とかよりきっと切れ味は悪かったでしょう。
勿論聖剣と同等なんてのはおこがましいでしょう。でも……私は可能な限り薄くしてみました。
「はあああああ!!」
勇者様とアイ様の攻撃の合間に改良した刃物を差し込んでみます。けどパキッとあっけなく壊れました。どうやらうすすぎて強度がなかったみたいです。
むむむ、難しいですね。どうやらいつの間にか勇者様が聖剣を取り戻してます。きっと腕力では取り返せなかったから、一度収納したのではないでしょうか? 勇者様は聖剣はいつでもどこからでも便利に取り出せると言ってましたから。
きっとそれを利用したのだと思います。
「ごめんなさい勇者様」
私は先にそう謝りました。そしてポニ子ちゃんにお願いします。
「私はやっぱり刃物とかよくわかってない。だから、私が最高の一品だと思ってる聖剣を再現してください」
私がそう言うと、重ねた手の先からプニプニとアーマーが蠢いていって、剣の形を再現してくれました。