uenoutaの日記

好きなものを描いたり、買ったものを紹介していきます。

転生したらロボットの中だった(ただし、出ることは出来ません)運命という世界線を壊せ 244

「なんだ?」
 
 そう思うのも無理はないと思う。だって穴に目玉がぐりッと収まってるからだ。聖剣が吹き飛ばした壁に開いた穴。そこにぴったりと収まってる目。
 
 つまりはその目はとても大きい。人の体くらいある目がそこにあった。
 
「ヴいヴいヴいヴいヴいヴいヴいーヴいヴいーヴいヴいヴー」
 
 意味不明な声が響く。それを聞いて、後ろの皆がおびえだす。
 
「なんだこの声?」
「いったいどこから?」
「なんだか……ふわふわしてきます」
 
 最後の言葉……嫌な予感がした。敵かどうかわからないが、中央で俺たちに味方がいるほうが珍しい。ならば敵だと思って行動する方がいい。そもそもあんな味方しらないし。どことなく、あの目玉、ピローネと同じ感じがする。でもピローネよりも相当強いプレッシャーを醸し出してもいるんだ。油断はしない。
 
 俺は聖剣を今度は下側に構えた。半身を前に出して、態勢を前傾へ。けどその時、バチッとその目玉と目が合った。その瞬間、何やら体に違和感が。というか、向こうの力が流れ込んでくるのがみえた。
 
(させるか!!)
 
 俺はその力の流れを聖剣にたまってた力を開放することで、強引に切り裂く。
 
(よし!)
 
 そう思ったとき、穴から目はなくなり、次に鋭利な爪をもった、毛深い腕が穴を拡張させながら入ってきた。
 
「うああああなんだ!?「
「「きゃあああああああ!?」」
 
 さすがにでっかい腕が入ってきたら皆気づくか。目玉は気づいてなかったようだけど、腕はもう、めっちゃ目立ってるからな。目の前まできた腕がその手のひらを晒す。するとそこにもでっかい目玉が一つあった。そして再び力を流し込もうとしてくる。
 
 多分だけど、この力が体に流れてくると、体の自由が利かなくなったり、最悪精神操作とかもされるんじゃないだろうか? そのくらい強力な力だ。下手に避けるとか流すとかしない方がいいだろう。わざわざ弱点を晒してくれてるんだ。
 
 俺は聖剣の切っ先を謎の腕に向けて、床をけった。それは単純な攻撃であるただの突きだ。でも俺のスピードなら、それこそこいつが瞬きするよりも早く結果は出てる。
 
「なに!?」
 
 聖剣は確かに謎の腕を貫いた。けど、そこに目はなかった。どうやら避けたらしい。腕の別の所に目玉が出てる。どうやら体を自由に移動できるらしい。
 
 でも……そうじゃない……
 
(まさか避けるとは)
 
 そこだ。少なくとも今の俺の動きが奴には見えてたってことだ。これは間違いなく、ピローネよりも強い……俺は気を引き締めて突き刺してた聖剣を引き抜く。

転生したらロボットの中だった(ただし、出ることは出来ません)運命という世界線を壊せ 243

「危ないです勇者様!」
「大丈夫ですよ。でも、危険なのは確かなので、皆さんは近寄らないでください」
 
 俺はそう言って倒れてる二人に近寄っていく。あとはピローネをもとの人の体の形に戻して、ペニーニャイアンを縛るだけだ。いや逆か。どう考えてもピローネの方が大変だ。ならさっさとペニーニャイアンを縛っておこう。
 女の腕力かなんかこわくはないが、ペニーニャイアンは魔法を使える。そう思って進んでると、近くに扇子があった。
 
(これは……)
 
 そう思って俺は扇子を拾う。これはペニーニャイアンが口を覆ったりしてたやつだ。魔法を使うことにも使ってたように思う。魔法を発動するための触媒か? とか思ったんだ。それなら回収しておいた方がいい。
 
 濃い青のふわふわした毛で作られていて、先端は白い。掴むところには何やら文字の様な、ただの飾りの様な模様。
 
(この世界の魔法文字か?)
 
 俺の世界では魔法は特殊な文字を使って発動するのもあった。言わゆる古代魔法とかそのたぐいの奴だ。俺は解読とかできなかったが、勇者の魔法は古代魔法的な側面も強かったから陣の中に何度もみたことはある。
 でもやっぱりだけど、文字が違う気がする。世界が違うんだから当たり前ではある。でもすべてが違うかというと、そうでもないともいえる。
 
 まあ実際、俺自身が自分の世界の古代魔法文字に精通してる訳ではないから印象でしかないが……でもこうやって俺や魔王は世界を超えてる。
 そしてジゼロワン殿はそれをやってきた節がある。なら……世界を超える術を確立してる世界がどこかにあるはず。その世界がもしも他の世界にもいろんな魔法や技術を与えていったのだとしたら……共通点かあってもおかしくない。
 
 これはほとんど俺の妄想的な考えだが……でもありえなくはない。なにせ俺の世界の伝承では魔法は謎の人物……それが神だったといわれてたが……その一人が伝えたとされてる。
 もしかしたら、その人は……ジゼロワン殿と同じように世界を渡れる者だったのかもしれない。
 
「発動はしないか」
 
 俺は試しに扇子に力を流してみた。でも何かが起きるわけではない。そもそもがとても力が通りにくい。俺の聖剣やそれに類する物……魔法親和性が高いアイテムはとてもするりと力か入っていく感覚があるが、これにはない。
 
 はっきり言って魔法的なアイテムとは思えない。ただの扇子か.でももしかしたら、俺とこの世界の力の質の違いってこともありえる。だからいくら可能性を考えても全て保留するしかない。
 
「ペニーニャイアンに色々と聞けばいいことだな」
 
 俺はそう思って、扇子をパチンと閉じる。するとその時、びくっとした。何が? 俺以外の皆は後ろだ。見えはしない。そしてペニーニャイアン側で動ける奴らは一人もいない。けど何かがびくっとした。俺はそれをみる。それは俺が聖剣で開けた大穴から覗く巨大な目玉だった。

アニメーションを作りたい……

#中須かすみ ふりふりかすみん - uenoutaのうごイラ - pixiv

 

 本当はLive2Dをもっと使いこなしたいなーと思って色々とやってたんですけど……フィギュアを撮ってそれをLive2Dで動かそうかなーと思ってレイヤー分けしてたり……でもかなり面倒だと……まあそれなら最初からゼロから描いたほうが早い? とかね。

 

 でもLive2Dで動くようにするために細かくレイヤー分けするのは結局面倒というか……なら最初から描いてしまったほうが……とかも思ったから、やってみようかなって。

 

 まあでもこれだけでも結構大変でした。一応これは同じ絵を使って左右に揺れるのは手を抜いてるけど、一つ一つ描かないといけないですからね。

 

 どうなんでしょうね? とりあえずこれは中割も描いて色も塗って完成させたいです。

転生したらロボットの中だった(ただし、出ることは出来ません)運命という世界線を壊せ 242

「殺したのですか?」
「いや、どっちもまだ生きてると思うよ」
 
 俺は訪ねてきたローワイヤさんにそういった。壁に大きな穴が開き、その傍で倒れてる二人。酷いのはピローネの方だが、ペニーニャイアンもそれなりのダメージを負ったはずだ。なぜなら、そうなるように俺がしたし……ペニーニャイアンが他人を使いつぶしていいと思ってるのは自分が特別だと思ってるからにほかならない。
 
 そしてどこかで自分は特別だから何かで守られる……とか思ってたんじゃないだろうか? あいつはそんな奴だと思う。実際、俺はペニーニャイアンは捕えるつもりでいたから殺すまでの攻撃を加えるつもりはなかったしな。
 一応最初にぶっ刺したけど、それだって肩付近だ。重要な臓器がある場所じゃない。殺す気なら、最初から首をはねてるしな。そうすれば、そもそもが魔法を使えようが関係はない。
 
 ペニーニャイアンは俺と、ピローネの戦いを見て、次第に本当はあの時、自分は殺されてたのでは? とか思ったはずだ。でも殺さなかった。その理由だってあいつならたどり着くだろう。執拗に俺は降参するように言ってたしな。
 だからこそ、高をくくってた。でも別に死にかけてたって、力を使えば元に戻せないわけじゃない。そしてペニーニャイアンには責任があると思った。
 
 それはピローネだけへ……ってわけじゃない。これまでのすべてとこれらかのことに対してだ。世界をないがしろにしてきたことへのちょっとした報復だと思ってくれればいい。
 
 多分ペニーニャイアンだけじゃなく中央の上の方は力もその手段もあるのに、何もやってこなかった。その責任。だからちょっとばかし生死の境でもさまよってもらおうかとな……
 
「今の内に殺した方がいいんじゃないか?」
「ああ、せめてそっちの小さいほうだけでも……」
 
 そういうのは賞金稼ぎの面々だ。まあわかる。確かにピローネは危険だ。すでに人の形になってないし。化け物……そう呼ばれる類の姿になってしまってる。ピローネのことを考えたら、一思いに……とか思うが、でもピローネはやっぱりまだ子供で……そしてそうしてしまった責任はすべてこのペニーニャイアンにあるわけだ。
 
 ある意味で、こいつを裁くのはこのピローネかなと思ったから、一応まだ生かしてはいる。今はペニーニャイアンを殺されるのは困るが……ある意味でも都合よく育てて使ってきたピローネに最後の決定権があったら……それは皮肉がきいてそうだし……
 
「ん? やっぱりか!」
 
 俺は話しつつ、もう一回軽く聖剣を振るった。するとペニーニャイアンへと向かってたわずかなピローネの触手を切り裂く。今のは……明らかにペニーニャイアンを食べてその力を僅かでも回復させようとしてたんだと思う。
 やっぱり別に何か契約的な縛りがあの二人の間にあるわけではないようだ。
 
(すまないなピローネ。まだそいつを殺させるわけにはいかない。それに今はお前自身じゃないだろうし)
 
 ただの砂獣として食らうのと、ピローネとしてちゃんとその意思を持って裁きを下すのとでは違うだろう。実際ピローネが戻ってこれるかはわからないが……一応努力をしてみるつもりだ。

転生したらロボットの中だった(ただし、出ることは出来ません)運命という世界線を壊せ 242

「殺したのですか?」
「いや、どっちもまだ生きてると思うよ」
 
 俺は訪ねてきたローワイヤさんにそういった。壁に大きな穴が開き、その傍で倒れてる二人。酷いのはピローネの方だが、ペニーニャイアンもそれなりのダメージを負ったはずだ。なぜなら、そうなるように俺がしたし……ペニーニャイアンが他人を使いつぶしていいと思ってるのは自分が特別だと思ってるからにほかならない。
 
 そしてどこかで自分は特別だから何かで守られる……とか思ってたんじゃないだろうか? あいつはそんな奴だと思う。実際、俺はペニーニャイアンは捕えるつもりでいたから殺すまでの攻撃を加えるつもりはなかったしな。
 一応最初にぶっ刺したけど、それだって肩付近だ。重要な臓器がある場所じゃない。殺す気なら、最初から首をはねてるしな。そうすれば、そもそもが魔法を使えようが関係はない。
 
 ペニーニャイアンは俺と、ピローネの戦いを見て、次第に本当はあの時、自分は殺されてたのでは? とか思ったはずだ。でも殺さなかった。その理由だってあいつならたどり着くだろう。執拗に俺は降参するように言ってたしな。
 だからこそ、高をくくってた。でも別に死にかけてたって、力を使えば元に戻せないわけじゃない。そしてペニーニャイアンには責任があると思った。
 
 それはピローネだけへ……ってわけじゃない。これまでのすべてとこれらかのことに対してだ。世界をないがしろにしてきたことへのちょっとした報復だと思ってくれればいい。
 
 多分ペニーニャイアンだけじゃなく中央の上の方は力もその手段もあるのに、何もやってこなかった。その責任。だからちょっとばかし生死の境でもさまよってもらおうかとな……
 
「今の内に殺した方がいいんじゃないか?」
「ああ、せめてそっちの小さいほうだけでも……」
 
 そういうのは賞金稼ぎの面々だ。まあわかる。確かにピローネは危険だ。すでに人の形になってないし。化け物……そう呼ばれる類の姿になってしまってる。ピローネのことを考えたら、一思いに……とか思うが、でもピローネはやっぱりまだ子供で……そしてそうしてしまった責任はすべてこのペニーニャイアンにあるわけだ。
 
 ある意味で、こいつを裁くのはこのピローネかなと思ったから、一応まだ生かしてはいる。今はペニーニャイアンを殺されるのは困るが……ある意味でも都合よく育てて使ってきたピローネに最後の決定権があったら……それは皮肉がきいてそうだし……
 
「ん? やっぱりか!」
 
 俺は話しつつ、もう一回軽く聖剣を振るった。するとペニーニャイアンへと向かってたわずかなピローネの触手を切り裂く。今のは……明らかにペニーニャイアンを食べてその力を僅かでも回復させようとしてたんだと思う。
 やっぱり別に何か契約的な縛りがあの二人の間にあるわけではないようだ。
 
(すまないなピローネ。まだそいつを殺させるわけにはいかない。それに今はお前自身じゃないだろうし)
 
 ただの砂獣として食らうのと、ピローネとしてちゃんとその意思を持って裁きを下すのとでは違うだろう。実際ピローネが戻ってこれるかはわからないが……一応努力をしてみるつもりだ。

転生したらロボットの中だった(ただし、出ることは出来ません)運命という世界線を壊せ 241

「おい! これ以上はやばいぞ! ピローネを止めろ!」
 
 ピローネの動きがどんどんと人間をやめていくような動きになっていく。俺が切り伏せても、すでに気にしてない。一瞬で治ってるわけじゃない。血をぼたぼたと流しなからもそんなことに一切執着しなくなってきてる。
 
 当然だけど、すでに何回か声をかけたが、ピローネは「グルルルル」と獣のように唸るだけになってる。すでに俺の言葉を認識してない。ただ、目の前の敵……障害を排除するためだけに動いてるみたいだ。
 だからこそ、俺はペニーニャイアンへと声をかけた。もしかしたら彼女の声はまだ届くかもしれない。でも……
 
「なぜ……止めるのですか?」
「お前!! このピローネをみても何も思わないのか! こいつ、すでに理性がなくなってるぞ!!」
 
 ピローネはどこを切り飛ばしてもすぐに向かってくる。それは既に生きてるか死んでるか分かったものじゃない格好になっても……だ。腕がブランブランとしてたって関係ないし、首が半分切れて、振り子のように頭が揺れててもお構いなしだ。むしろこれ幸いと首を長くして噛みついてきたくらいだ。
 
 さらに切れた腕の先から新たな腕を生やしたりして……傷口から肉体の一部が出てくるようになったせいでその姿はもう……人とは呼べなくなってる。
 
「わたわたわたわた――ごろごろごろごろ――す!!」
 
 言葉も忘れてただ襲い掛かるだけの存在。こんな姿を見てなんとも思わないのがペニーニャイアンか。最初から、奴にとってはローワイヤさんもピローネも神託の巫女を演じさせる道具でしかないと……
 
「力が高まってるのが分かりますよ。本能を理性が邪魔してたのなら、ちょうどいい。際限なく高まる力はいずれ貴方を超えるでしょう」
 
 そう言って扇子で口を隠してほくそ笑む。この魔女め。まだそんなことをいうか……俺はさすがに怒ってるぞ。
 
「勇者様!!」
「大丈夫ですから、どうか女性の人たちは一瞬でいいから目を閉じててください」
 
 俺は両手で聖剣を握り仁王立ちになり、体の中心から少し右側に聖剣を上に向けて構える。ただ直線的なピローネの攻撃。そしてその後ろで余裕ぶってるペニーニャイアン。
 
 いまここで現実を教えてやる!! 聖剣に再び光が集う。そして次の瞬間、ピローネは吹き飛び、半身が消失した。そしてその余波はペニーニャイアンまで届き、いや、この建物の壁さえも吹き飛ばして夜の明かりをのぞかせる。
 
 涼しい風が肌を凪いで、空気の循環でもうもうと立ち込める埃を外へと流していく。
 
 そして穴が開いた壁のそばにピローネとペニーニャイアンが倒れてた。
 
「すごい……」
 
 誰かのそんな声がきこえた。

転生したらロボットの中だった(ただし、出ることは出来ません)運命という世界線を壊せ 240

「ああ!? あああああああああああああああああ!!」
 
 ピローネの叫びが部屋に木霊した。ピローネは自分の傷に衝撃を受けて思わず膝をついてこちらをにらむ。
 
「なんでなんでなんで!!」
「これが実力差だ。わかっただろう?」
「そんなわけない! そんなわけない! そんなわけない!! 私は負けないんだ!!」
 
 聖剣の力でピローネの力は拡散されて、傷の治りが遅くなってるはずだけど……どうやら力を集中させて、完治を速めたみたいだ。どんどんと自分の力の使い方を学んでいくな。大元の力の総量に差があるとはいえ、俺の力は今は補充できない。
 ピローネの力がどういうものなのか……はわかないが、多分時間を置いたら回復できる代物じゃないか? 生物は普通は自分の力を回復することが出来るものだ。
 
 それに俺もここですべてを出し切るわけにはいかない。リミッターはある。聖剣も抜いてしまってるし、そこまで悠長にやってるわけにはいかない。負ける気はしないが、あまりにもエネルギーを減らされると困る。
 
 ここはしょうがない。ピローネじゃなくペニーニャイアンへと言葉をかける奴を変えるか。
 
「もう諦めてください。貴女はわかったのではないですか? ピローネでは勝てないと」
「そ……そんなわけが……」
 
 必死に否定しようとしてるが、ペニーニャイアンの声は震えてる。実際信じられないんだろう。今のピローネはこの世界で最強と言っても多分間違いないはずだからだ。
 そんなピローネが及ばない相手……そんなのはペニーニャイアンの想定にはない。
 
「ペーニャ私は負けないよ! 大丈夫! 私は! 私は負けない!!」
 
 さらに鋭く突っ込んでくる。確かに早い。でもさっきまでと違って直情的だ。感情に支配されてしまってる。だから動きがとても単調になってる。
 これならこっちは最小限の動きと力でなでるように……
 
「あがああああああああああああああ!!」
 
 今度はピローネの羽がもがれた。そこからは緑色の血が流れてる。けどそれもすぐに回復させてさらに触手をいくつも伸ばしてくる。それらを冷静に対処する。
 
「待ちなさいピローネ! それではダメよ!!」
「あががががが!! 死ね死ね死ね死ね死ね死ねええええええええええ!!」
 
 俺は冷静にすべての触手とピローネの直接攻撃をさばいていく。感情的になったピローネは俺しか狙ってない。というか見えてない。これなら逆にやりやすい。やはり子供だな。
 戦場では冷静さが大切だ。それを失ったら、勝率なんてなくなる。
 
 ピローネは明らかに無茶をしてる。奴の体にものすごいエネルギーが内包されてその体も特別な物になってるとしても、それでも限界というものはある。
 
 ピローネは俺の聖剣の攻撃を受けては回復して迫ってきてるが、こっちが有効打を何回も入れてるのに対して、まだピローネは一発も有効打をいれられてない。
 
 そして当然、回復するのにだってエネルギーは必要だ。それに聖剣の力の影響でピローネの回復のエネルギー効率は著しく落ちてる。もともとは再生能力が高い体みたいだが、その再生能力を聖剣の力が阻害してる。それでも再生出来てるのは、ピローネがエネルギーを過剰に使ってるからにほかならない。
 
 あれだとあともう少しもすれば……
 
「あががが……がが……ころ……ごろごろごろす――」
 
 なんだか様子がおかしい。どんどんと言葉が言葉になってないような……もしかしてだが……怒りに理性が飲まれてただの砂獣の本能が出てきてる? 
 
 もしかしたらこのままだとピローネという人格が飲み込まれてなくなってしまうかもしれない。