uenoutaの日記

好きなものを描いたり、買ったものを紹介していきます。

転生したらロボットの中でした(ただし、出ることはできません)運命という世界線を壊せ 660

二人はしばらくの間額を合わせてた。その間ずっと、若い神父はヌメリアさんの手を撫で回してて、その鼻息は確実にヌメリアさんに届いてただろう。それでも一切反応を示さなかったヌメリアさんは凄い。さすがこれまで数多の男を手玉に取ってきただけのことは有る。私なら「いやぁぁぁ!」とかいって突き飛ばしてるね。

 それくらいしてしまうくらいにはあの若い神父はキモい。いや顔はそこまで悪くなんてないよ。ちょっと頼りなさそうだけど、そこがいい……とか母性本能をくすぐるとか言って気に入る女性はいるだろう。まあこんな世界には珍しい線の細さであるけどね。

 まさにボンボンな感じが出てる。それでもそこまでクズになってないのは評価できる……が、その分どうやら変態になってるようだ。クズか変態か……なかなかに優劣って付けれないね。そして一通りにヌメリアさんを堪能したんだろう。満足したのか、若い神父は立ち上がった。

 

「さあ、これで貴方にも信仰心が芽生えたでしょう。その心が教会に届いてくれます」

「……ありがとうございます」

 

 微妙な魔があったヌメリアさん。今更彼女に信仰心が芽生えることなんて無いだろうけど、ここで否定してもう一度さっきのをするのは嫌だったんだろう。一応肯定してた。

 

「私の信仰心確認してくれましたか? でもこのままじゃ……すぐに信仰心がどこかに言ってしまいそうです……」

「そんなことはありません。毎日祈れば、信仰心が蓄積されていきますよ。そして祈るのが日常になるのです」

 

 信仰心なんかではいきていけないだろうって私は思ったりする。毎日祈ってたら腹がふくれるのかってね。信仰心を可視化して教会が何かを支給してくれるんなら、たしかに信者になる価値とかあるかもだけど、そういう制度は聴いたことない。

 

「でも……サーザインシャインインラにはこのままでは明日は来ません。私はどうやったら教会への信仰心を維持できるのでしょうか? 心強い支えがあれば、違うのですが……」

 

 そう言ってヌメリアさんは神父に寄り添う。はかなげてか弱い女性……そんな女性を彼女は演じてる。そして明日もないこの街で信仰心を保つためにはその切り札を観てみたい……的な事を暗に言ってる。さすがヌメリアさん。うまいね。こうやって自身が信仰心を目覚めさせた信者から信仰心がなくなるのはきっとイヤだろう。

 だからさっきの気持ち悪いお祈りにも彼女はつきあったんだろう。こうやって貴方自身のおかけで信仰心が目覚めました……けど、そのためには――って感じで攻めてるんだ。こうなると通常よりもどうにかしないと……という気持ちが高まると思う。

 そして実際、若い神父はこういった。

 

「そうですね。今の貴女なら、きっと認められるでしょう。常に教会への感謝を忘れないと誓ってください。それならば我らの切り札の場所に案内しましょう」

「誓います」

 

 そう言って手を組んで祈りをするヌメリアさん。その言葉に……行動に一切の迷いなんてなかった。でもそこに信仰心はもちろんない。それを言うだけで信じてくれるなら、なんと安いことか……そんな事を思ってきっとやってるに違いない。

 その証拠になんか「素晴らしい!」といって抱きしめてきた若い神父の顔が横にあるなか、彼女は舌を出してた。

ある日、超能力に目覚めた件 22P

(チラチラと平賀さんを見てるのわかってるぞ……)

 

 とか野乃野足軽は思ってるが、それを言えるかといえばそんなことはない。野乃野足軽には力がある。それを使えばこんな奴ら……とかも思うが、そんな事ができないのも野乃野足軽だった。

 

「あ、えっと……」

 

 とか言ってしどろもどろになってる。あんまり格好悪い所平賀さんには見せたくないなって思ってチラリと野乃野足軽も隣をみるが、平賀式部は全くもって興味なさげにすでに本を広げていた。それにホッとしつつ、陽キャ共に向き直る。今までなら、いつまで経っても上手く話せなくて、いつの間にかどこかに言ってた。そんな調子だから、友達も出来づらくて、クラスでも話すのは数人くらいだ。

 こんな奴らからは認知さえされてない――とそんな風に野乃野足軽は思ってた。まあけどこの人達が悪い人たちってわけじゃない。それもしってる。別になにか特別かまってくるとかないし、嫌味を言われたことだってない。ただ自分がコミュニケーションに問題があるから、あまりうまくやれないだけ。

 付き合えないだけなんだ。複数人で来られるとその圧が……それが野乃野足軽は苦手だった。勿論向こうにはそんな気はないだろう。でも勝手にそんな事を感じてしまうんだ。クラスでも1番美人な平賀式部とはそれなりに話せたのは、彼女に勝手に共感性を感じてたってのも有る。それに彼女は常に一人。それもある。

 だいたいの陽キャって複数人でやってくる。それが野乃野足軽は苦手だった。でも野乃野足軽ももうちょっと学校生活を充実させたいとは常々思ってた。友達事態は居るから高望みはそこまでしてないが、もっとワイワイできてもいいのかも……とか。それに野乃野足軽の友人関係はそれこそ学校の友だちは学校だけ、それ以外のネットの友達はネットだけ……みたいな割り切りがあった。

 それこそ野乃野足軽が部活にでも入ってたらまた違ったのかもしれないが、野乃野足軽はあいにくと帰宅部だ。それに今は超能力が楽しい。誰かに言えることでもないし誰かと共感できることでもない。誰かに知られるとリスクしかない力だ。

 けど、そんな超能力が今の野乃野足軽に自信をつけさせてるのは事実だ。いざと成れば力を使えば良い……勿論使わないんだが、それにそんな強くもない力だが、それが有ると無いのでは心の支え的な部分が違ってきてる。

 

「そうだね……俺は最近はマジックとか」

「おお、いいねえ」

「へえ、そういうのに興味あるんだ」

「以外だな。でもアレできたらモテそうだよな」

 

 そんな風に「モテそう」という時、ちらっと陽キャは平賀式部の方を見てた。もしかしたら野乃野足軽がそのマジックで平賀式部の気を引いてるのか? とおもわれてるのかもしれない。まさかとは思うが、後日このクラス内でマジックが流行ったり……

 

(そんなわけないか)

 

 嘘……ではないが、別にマジックとかで野乃野足軽は平賀式部の気を引いたわけではない。そもそもが彼女が野乃野足軽に話しかける事事態、本人がわかってない。だからもしもこのクラスでマジックが流行ってそれに平賀式部が反応しなかったとしても、その責任を取ることは野乃野足軽はできない。

転生したらロボットの中でした(ただし、出ることはできません)運命という世界線を壊せ 659

「えっと、誰もが言ってますよ。教会はサーザインシャインインラを見捨てたんだと」

「そんなことはない!!」

 

 ヌメリアさんが事実を言うと、若い神父はそれまで温厚だったのが嘘のように怒鳴った。それに目もなんか血走ってるし……瞬間的に「こいつやばいな」って思ったよ。こういう一見大人しそうなやつほど、凶暴な本性ってやつを隠し持ってるっていうね。

 

「貴方もそんな狂言に踊らさせてるのですか? 教会はこれまでどれほどこの街のために尽くしてくれましたか? それを忘れてはなりません。これは試練なのです」

「試練?」

「そうです。教会を我々を救うに値するか……楽園に誘うに相応しいかを試しているのですよ」

 

 なんかやばい妄想をしてるな……って私は思った。いや私だけじゃないね。きっとヌメリアさんも「こいつ何言ってるの?」とか思ってると思う。勝手にそこまで好意的に捉えれるんだね。ある意味でうらやま……しくはないね。だって教会にとってはめっちゃ都合いい信者じゃん。

 だってなにやったってこういうやつって勝手に都合よく捉えてくれるんだろう。それってもう何でも出来る。間違ったことを受け入れちゃ駄目でしょ。

 

「この波を乗り越えてこそ、私たちには救われる価値があるということですか?」

「ええ、ただ救いを待つだけなんて傲慢だと思いませんか? 我々も生きる力を見せなければいけません。教会は素晴らしいと、この状況でも信じてこそ、救われる価値があると示せるのです。一緒に祈りましょう」

 

 そう言って若い神父はヌメリアさんの手をとる。そしてその手をめっちゃさわさわとしてる。てを取るのなら、ただ手を取ればいいのに、めっちゃ指を動かしてヌメリアさんのすべすべの綺麗な手を堪能してる。いやいや、煩悩! それ煩悩ですよね!? 

  チラチラとヌメリアさんはどうしようかとこっちをみてる。この狂信者はかなりヤバそうでは有るが……切り札の事をしってるし、その情報はほしい1もうちょっと付き合ってもらうしか無いか……外の状況は勇者が出たから、そこらの砂獣は勇者が倒すからそこそこ持つはずだ。勇者の相手になりそうな存在なんてあの黄金の鬼くらいだ。まあヌメリアさんが産んだ砂獣がどんな物なのか……特別な個体となってるのか……それはわかんない。けどそれでも都市核も無いような存在にはさすがの勇者は遅れは取らないと思ってる。勇者だって成長してるからね。

 

「分かりました。でも私……その恥ずかしいのですが、これまでそんなに信心深くなくて……どうしたら良いか不安で……」

「分かります。それならばお互いに触れ合ってお祈りしましょう」

 

 そんな事をいう若い神父の顔に私はうわーと思ったよ。これがエロいことを考える男の顔か……録画しとこ。これが鼻の下を伸ばす顔ってやつね。真面目な事を言ってるのに、その顔に下心が丸見えである。いや本人は気づいない。多分至って真面目な顔をしてると思ってるだろう。けどね……もうめっちゃ出てるんだよ。

 きっとそれにはヌメリアさんも気づいてる。けどヌメリアさんは嫌悪感なんて出さずに両手を組んで、目を閉じさせられる。そして若い神父はその両手を自分の両手で包んで、ちょっとだけ「ふひひ」とかいってた。もうね、キモチワル!!

 そして二人は互いに額を合わせてお祈りを始めた。それ本当にある祈り方だろうな? とか思ったよ。

ある日、超能力に目覚めた件 21P

「おはよう野乃野くん」

 

 そんな事を教室に入ってきて言うのは平賀式部だ。昨日あんなことがあったから、ちょっと意識してしまうが、野乃野足軽はなるべく意識なんてしてませんって普通の感じを意識して「おはよう」と返した。

 

「野乃野君、昨日は大丈夫だった? 今日は休むのかと思ってたけど……」

「だ、大丈夫。もう一晩寝たら元気いっぱいだからさ」

「そう、それなら良かった」

 

 何気ないクラスメイトとの会話……平賀式部にとっては多分そんな感じなんだろう。けど声をかけられた野乃野足軽はそうじゃない。クラスでも、いやこの学校で特に綺麗な女子である平賀式部に朝から声を掛けられる。それはこの学校の男子にとってはその一日を占うほどのことなのだ。

 それに平賀式部はほぼ普段喋らない。基本一人で居るし、その声を聴くのは授業中に教師に当てられて朗読する時くらいだ。

 そしてそういう時、クラスの男子はその耳を最高潮に研ぎ澄ませる。なにせ彼女の声は貴重だからだ。そしてそのか弱そうな体に相応しいそのささやくようなか細い声を一言さえも聞き逃すまいと、誰もがしてる。

 そんなわけで、この朝からの開口一番の声かけは野乃野足軽にとっては驚くサプライズだった。クラスの男子たちは普段どおりを装いつつ、実は驚愕してた。平賀式部のことは男子は暗黙の了解で眺めるだけ……みたいな空気ができてた。なにせ誰が声を掛けても、それこそイケメンと呼ばれてる先輩やら同級生が声を掛けに来ることはよくあったが、それらすべてを袖にしてきた平賀式部は自然と眺めるだけの存在になってたんだ。

 そんな平賀式部が声を掛けた。ある意味で話題になるような事態だ。

 

(面倒な事にならないといいけど……)

 

 そんな風に思ってた野乃野足軽だが、一時限目の休み時間、それは起きた。複数人のクラスカーストの上の方の奴等がなんか絡んできた。絡んできたというか、なるべく平賀式部への印象に配慮したのか、普段は絶対に話なんて振ってこないんだが、ある意味で近くの席のところで話してる風を装って自分たちの話題に野乃野足軽を巻き込んで会話に混ぜる……そんな事をやってきたんだ。

 

「いやー最近あのチャンネルさー、ネタがそろそろやばいと思わないか?」

「やっぱり過激なのは限界があるよな。どう頑張っても犯罪スレスレになるし、そうなったらリスクとリターンが見合ってなくね?」

 

 どうやら彼等は自身が見てるチャンネルのこれからをあんじてるようだ。野乃野足軽はそういうチャレンジ系の動画チャンネルは見てないからよくわからない。そんな風に思いつつ、実は教室でも超能力筋トレ(超トレ)をしてた野乃野足軽。今は誰にも気づかれないようなことをやってる。アクアではなくアースという地球の概念的存在をそばに置いた野乃野足軽は今、面白い事を実験してた。それはアースが言ってた野乃野足軽を通して世界を見るということの逆である。

 アースが野乃野足軽を通して野乃野足軽の世界を見ることが出来るのであれば、その逆だってできておかしくない。というわけで、野乃野足軽はアースを通して地球の歴史を見る訓練をしてた。授業よりも正確で真実の歴史を実はしってるアースである。

 それはなかなかに面白い……と思ってたところでなにやら雑音が入ってくる。

 

「そういえば、野乃野君はどんなチャンネルとか見てるの?」

「おおーなんか興味あるかも」

「自分たち、なんか趣味とか似てるから同じ様なのばかりになっちゃってさ。なんかおすすめとかあったら教えてほしいな」

 

 そんな風に友好的なふりをしつつ、にじり寄ってくるクラスカーストの上の方の圧力を野乃野足軽は感じてた。

転生したらロボットの中でした(ただし、出ることはできません)運命という世界線を壊せ 658

(やっぱり男ってチョロいな)

 

 とか私はヌメリアさんに篭絡されてる神父を見て思うよ。神父とかそういうのを抑えこめるような人がなるんではないの? とか思ったり……まあそういう人も勿論いる。アズバインバカラにある教会の施設の神父さんとかは本当に好々爺だからね。まあでもそっちのほうが珍しいか。そもそもがこの世界の教会は権力に溺れてしまった奴等の集まりである。

 権力に酒に女……そんなのに溺れてしまった奴らだ。だからまあこれはその通りというほかない。ヌメリアさんはとても美人だしね。あの神父は教会の人間にしてはまともみたいだけど……けど、実際この状況までどうしようもしてない時点で……ね。同罪と言わざる得ない。

 なにもしないことだって罪だよね。

 

「それはこの状況を覆せるようなものなのですか? 波が起きると、全てを飲み込んでしまうと聞きます」

 

 しなだれかかったヌメリアさんがそんな事をいう。それだけでもう相手の神父はグッと何かを堪えるかのような動作をしてるよ。本当ならきっと今すぐにでもヌメリアさんを押し倒して子種を中に出したいとかおもってると思う。

 それを抑えるだけ彼は理性が有る。そこは評価できるだろう。教会の関係者なら我慢なんてしないのが基本だと思ってたからね。だってなにせ権力を傘になにやってもいい……と思ってるのが教会の奴らって印象だからね。

 だから相対的に教会のやつとしてはましなんだよね。実際今はそんな子作りなんてしてる暇はないからね。さっさと何を隠し持ってるのか、教えて欲しい。

 

「確かに、波に対抗する手段は無いと言われていた。けど我ら教会がずっとそれをそのままにしていると? 我らは皆を守るために、日々研究を重ねてるんだ」

「……」

 

 なんか彼は熱く語ってるが、ヌメリアさんの目は相対的に冷たくなってる。まあ分かる。だって今の状況、今のサーザインシャインインラの状況わかってる? 自分たちの状況わかってる? といいたいんだよね。そのとおりだよ。サーザインシャインインラは教会に見捨てられた。いや、地上を教会は切り捨てた。

 それなのにその言葉が出てくるって、まあこの人は教会の人だからね。教会が地上を見捨てる……なんてことは信じられないんだろう。それはまあ分かるけど、でも現状を見てほしいよね。

 

「ちなみにですが、その兵器を見たことってあるんですか? 私、どうしても伝え聞くだけでは不安で……」

「それは……そうだろう。だが私を教会を信じてほしい。これまで世界を守ってきた教会を」

 

 その言葉、今のヌメリアさんに1番響かない言葉ですよ!! そう言って上げたかったけど、笑いを堪えるので精一杯だったよ。

ある日、超能力に目覚めた件 20P

「ごちそうさま」

 

 そう言って野乃野足軽は食卓を立つ。今日の晩ごはんはハンバーグでいつもよりも沢山食べた。というか……

 

「いつから大食いに目覚めたわけ?」

「いやいや、このくらい男子高校生なら普通だろ?」

「そう……かな?」

 

 そう言って引いてる妹、野乃野小頭は足軽の事を訝しむような目で見てる。確かに実際はこの事実……大食いをしてしまったという事実に野乃野足軽は驚いてた。普段の野乃野足軽はそんなにたくさん食べる方ではない。寧ろ男子高校生を基準に言えば少食かもしれない。

 そんな自分が、食べても食べても満足しない感覚に陥るなんて思ってなくて、野乃野足軽には自制が効かなくなってた。

 

「まあアンタはいつもはあんまり食べないからね。このくらい気持ちよく食べてくれたほうが作る側としては嬉しいわよ」

「そうそう、食べることは良いことなんだよ。お前も過度なダイエットなんてやめろよ。大切なのは体重じゃなくて、体型だろ?」

「うっさい。女子は体重が有ると人権がないのよ」

 

 なんかとんでもないことを言ってる妹のことは置いておいて、野乃野足軽は自室に戻る。そして自室の扉を締めて、そして息を吐いてこういうよ。

 

「やめろよ。人の体をいじるのは」

(弄ってなんていません。ただ本当に美味しかったから、もっと食べたい――と思っただけです)

 

 普段はそんなに食べない野乃野足軽だが、今日大食いした理由はこれだった。どうやら野乃野足軽の中に入ってる彼女がハンバーグで感動してそれを求めてきたのだ。食事中ずっと「うんまい! 美味しいです! もっともっとください」とか脳内でうるさかった。

 そして体を勝手に使って食べまくってた。両手を勝手に弄って、食べだすから驚いた野乃野足軽だ。ナイフやフォークなんて使ったこと無い彼女が主導権を握ると、もうね、野生児のように食べるしかなくて、流石にそれには二人は引いてた。

 

「こら、足軽! もっと綺麗に食べなさい」

 

 とか母親に怒られた。その時は自身の内で彼女と葛藤してたわけだが、頑として譲らない彼女に野乃野足軽が折れたんだ。このまま彼女に体を明け渡したら、野生児の様に食うのを止められない。だからしょうがないから、自分自身で食べるようにした。

 途中からはめっちゃ無理してた野乃野足軽。でも別にお腹がいっぱいになってる感覚はなかった。ただ食べすぎて吐き気が実はずっとしてたというね。

 

(私はこの世の美味しいものを食べつくします。それが私の使命のような気がします」

「そんなわけないだろ」

 

 なんか変な宣言を彼女に野乃野足軽は冷静に突っ込んだ。

転生したらロボットの中でした(ただし、出ることはできません)運命という世界線を壊せ 657

「私達……もうおしまいなのでしょうか? 私……怖いです」

 

 そう言ってしなだれて自然と男性により掛かる。眼の前の教会の牧師の格好をしてる男性は、私が寄りかかると、その体を固くしたが、鼻の下を伸ばして必死に声をだす。震える手を私の肩に置いて、そこから腕に掛けて、ぎこちなくなでてくる。

 

「だだだ、大丈夫。君は僕がまもって、みみみみせるから」

 

 そういう彼はどんどんと鼻息も荒くなってる。死を感じたら人は種を残したくなるみたいな……そんなのがあるらしい。つまりは彼はこうやって不安げにしてる女性をどうやったら合法的に押し倒せるか……きっとそんな事を考えてるんだろう。

 

「でも……軍も太刀打ちできてないって……もうそこまで砂獣は来てるって……教会は私たちを見捨てたのでしょうか?」

 

 涙を拭って、私は寄りかかったその人を見上げる。上目遣い……そして潤んだ瞳、そしてつややかな唇。私にある全ては男性を魅了する。ゴクリと、彼がつばを飲み込んだのが喉の動きでわかった。

 

「教会は誰も見捨てたりなんかしません。あ、安心……してください!」

「でも……中央とは連絡がつかないと聞きました。私達には援軍も期待できないのでしょう? 私……怖い」

 

 キュッと私の肩にある彼の手、その指の一つをか弱くつまんだ。こっちからの再びの接触。それによって、彼はきっと今、私にキュンキュンしてるだろう。いやすでに心臓を撃ち抜かれてるかもしれない。

 

「はあはあ」

 

 そんな風に、どんどんと息が荒くなってるのがわかる。見極めないと。私の子宮も下に降りてきたそうにしてるし、なにかか囁いてくる。頭の中で「やっちゃいなよ。食べちゃいなよ」と聞こえる気がする。

 私がそっちの方に行こうとしたら監視してくれてるドローンさんが止めてくれるだろうが……私はもう、これ以上砂獣なんて生みたくない。私が産んだ砂獣がここサーザインシャインインラを潰すなんて、そんなのは嫌だから。これ以上、私は罪を重ねるわけにはいかない。だから私は必死にこらえる。下半身あたりに当たる硬いものを意識しないようにする。

 私がほしいのは情報だ。そのためにこうやってこのサーザインシャインインラにある教会に勤めてる関係者にあたってる。この人は牧師見習いみたいなそんな人だ。宮殿の敷地内にある教会側の人だから、それなりに偉い人の子で、将来が約束されてる……みたいなのを聴いたことが有る。

 普通なら、そういう人たちは大体が女になれてる感じがあるんだけど、この人はそうではないらしい。どう考えても反応がそれを示してる。きっとこの人は偉くても奢らずにやってるいい人なんだろう。

 そういうのもたまにはいる。けど、そういう人もいずれは……この人がいつか教会を内側から変える日が来るかもしれないが、そんなのを待ってることはできない。だからその純粋さを利用させてもらいます。

 

「安心してください。ここは大丈夫です。私たちにはまだ切り札があります」

 

 そう彼はいう。教会が持ってる切り札。そのワードに私は目を光らせる。