uenoutaの日記

好きなものを描いたり、買ったものを紹介していきます。

転生したらロボットの中でした(ただし、出ることはできません)運命という世界線を壊せ 1066

ガゴオオオオン――そんな音を出して扉がしまった。扉からあの化け物へと伸びてた光も消える。鬼に殴られて、砂漠に沈んでた化け物。やつは今まではどこか淡く光ってたような……そんな感じだったけど、それが静かにきえていく。すると――
 
「きっキェエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!!」
 
 ――という風に頭を抑えて何やら暴れ出した。その髪の毛がビーンと伸びて周囲に走って、更にはその頭を何回も砂に打ち付けてる。頭を打ち付けるのはともかく、髪の毛は鬼とかの体を貫通したり、ネナンちゃんが守ってた街の守りを貫いたり、砂の上で戦ってた皆さんに被害が及んでた。
 
 どうにか止めたいが……あまりの暴れように、近づくことができない。それに……
 
「はあはあ……アイ!」
 
 自分はアイを抱きかかえてた。両腕で彼女の肩と脚を抱えて彼女の容態を心配する。無茶のし過ぎだ。本当に……実際もう動ける状態じゃなかったろうに……それなのに扉を閉める為に更に無茶をした。
 だからこれだけの状態になってしまった。とりあえず一度アイを安全な場所に……きっとミレナパウスさんの魔法でもアイを治すことは叶わないだろう。出来るのはきっとG-01殿だけだ。
 
 一番今のこの世界で安全と言えるのはどこか……G-01殿の傍? けどあの方はまだ動き出してない。自分の言葉が今の状態で届いてるのかも謎だ。ならやっぱりネナンちゃんだろうか? とりあえずアイを安全な場所において、扉の化け物を止めないと。
 きっとあいつの特性、その力……それは今かなり落ちてるはずだ。発光がなくなった扉の化け物はその雄大さやら威厳……そして神秘性を失ってしまってるように見える。ただの大きな化け物……それに成り下がってる。
 体に巻き付いた螺旋はなんか鈍い灰色でその下に赤黒い様な肌……相変わらず光ってるのはその口だけで、その光も弱々しい。そして髪も黒い長髪って感じになってしまってる。下半身に広がるひらひらとした部分もなんか汚れてるように見えるし……本当に神秘性はなくなった。
 
 頭を何回も砂にぶつけてた化け物はようやく僅かに落ち着きを取り戻したみたいだ。なんとか、自分は髪の毛の猛攻を裂けてネナンちゃんのところにアイを届けた。ネナンちゃんは驚いてたが、アイの体は頑丈だ。そこまで心配することはないだろうし、G-01殿が通常状態になったら、すぐに回復してくれるだろう。
 
 今はそれよりも……そんなことを思ってると、なんとか現実を受け入れた扉の化け物が動き出してた。その扉にむかって手を伸ばす。けどその手は扉に拒絶された用に見えた。そしてその事に驚いてるのか、動かなくなったそいつに鬼が向かう。けど髪の毛だけで鬼を相手にしつつ、グリンと奴の顔が至るところをみる。それはこっちだったり、街だったり……だ。その度にいきなり動いて止まる……みたいなことを繰り返すし、そもそもが一回転したからびっくりした。
 けどあれは生命体ってわけじゃない。だから通常の生物として考えるのが間違い。そんなあの化け物が目に止めたのは、膝をついて動かないG-01殿だった。

ある日、超能力が目覚めた件 426P

『たたた大変ですーーー!!』
『なんかやばいことになってるぞご主人!!』
(どうし……ん?)
 
 なんかスマホに通知が届いてる。ピロンピロンピロンと何事と思って見てみる。いつもは野々野足軽スマホは黙ってることがおおい。通知も特定の人だけで、フォローというかスマホに入れてるアプリの通知の方が多いくらいだ。そして実はこれもそんなアプリの通知だった。
 それだけでいつもなら再びスマホを置くだろう。けど今回はスマホを置くことを野々野足軽はしなかった。なぜなら、その通知から見える部分。二行くらいの分に興味をひかれたからだ。
 
『緊急速報・〇〇駅周辺でテロ!? それともバイオハザードか!? 人が人を襲う!?』
 
 そんなのだった。とりあえず続報的に次々に同じニュースが更新していってる。それの一つをタップしてみてみる野々野足軽。するとそれには動画がリンクしてあった。記事を読むよりもそっちが早いだろうと野々野足軽は迷わずタップして動画サイトへと飛んだ。そして生放送の映像が見えてくる。
 
 いや、違った。その映像は最初からおかしい。どうやらちゃんとしたキー局のスタッフとアナウンサーがいたらしい。いたらしいというのは、既に画面がおかしくなってるのだ。見えるのは人の足元だけだ。たくさんの人がいるのはわかる。それだけの足がみえてる。時々途切れるカメラからの映像。そして現場ではなく、スタジオの方から掛ける声が聞こえてた。
 
『大丈夫ですか? どうしたんですか?』
『スタッフ誰か!』
 
 実際大手のキー局となれば、一人二人しか現場に行ってない……なんてことはないだろう。誰かが応えるはず……そんな願望を込めた声……けど応える人はいない。コメントでも「これやばくない?」「なんかいきなりふらふらとしだしたな……」「集団催眠?」 「なんか裸の女いたぞ!!」「嘘乙」そんなコメントが流れてる。他にも誰かが面白がって配信してるんでは? とSNSとかで探して……みようと思って野々野足軽はやめた。
 
(なんでそんな普通の事をしようとしてるんだよ)
 
 そう思ったのだ。野々野足軽はてんぱってしまってたみたいだ。だって野々野足軽には誰か……を頼る必要なんて基本ない。この部屋にいたって野々野足軽はどこだって見ることが出来るんだから。自身の力……それを信じればやることは自然に見えてくる。野々野足軽は今度はさっき動画でみた場所へと視線を飛ばす。あの仮面の男のアパートからきっと悪魔は駅の方向へと向かったんだろう。
 すると……だ。なんとまあ簡単に分かった。なにせ人の波が簡単にその場所を押しえてくれたんだ。自分の家にいたから気づかなかったが、どうやら仮面の男のアパートの地域はかなりの大事になってるようだ。そういえば遠くでサイレンとか聞こえる気がする。

転生したらロボットの中でした(ただし、出ることはできません)運命という世界線を壊せ 1065

「よし!」
 
 ついにこの扉の化け物を扉から引き剥がすことができた。まあ実際はなんか扉からこの化け物へとなんか伸びてる。どっちを優先するべきだ? 自分はそこでちょっと迷った。どっちというのは、このままこの化け物に追撃をするかどうかってことだ。実際、今ならちゃんと攻撃が通るかもしれない。
 けどこの扉と化け物を繋いでる光の線も気になる。なので扉を閉めた方がいいのでは? って気持ちもある。すると……
 
「今なら断ち切れるわ!」
 
 そういってボロボロの体に鞭打ってアイが動いてた。どうやらアイは扉を閉める気のようだ。なら……自分の行動も決まった。片側だけ一つずつ閉めるよりは二人で一気に扉を閉じたほうがいい。それに……だ。
 
(今、一瞬鬼と目があったような……)
 
 そんな気がした。鬼は背負投げの要領で化け物を投げ飛ばして一緒に地上へと降りてる。そんな鬼がこっちを観てたような気がした。合わさった視線で「行け」と言われたような……本当にあの鬼はネナンちゃんの……とりあえず今はやるべきことをやることにした。
 アイが張り付いた扉の反対側に張り付いて、肩を使って観音開きしてる扉を押した。ズズズズズ……そんな風に少しずつ動き出す。自身よりもかなり大きな扉だ。それはそうだろう、なにせ手を伸ばせば地上に届くような化け物をだしたのだ。……いや、流石にあれが出てくるなんて物理的にはおかしいサイズ感の違いはある。
 
 本当ならあいつの頭だって出るわけ無い。いくらこの扉が大きいからといっても、流石にあの化け物は更にサイズ感が違う。けどきっと自分たちの常識なんてのは捨てたほうがいいんだろう。
 なにせ自分の中にある常識はまだあの頃……勇者として世界を救ってたあの年月で培われたあの世界の常識だ。けど一度世界を飛び出してしまえば、その世界の常識なんてのは意味をなさない。それこそ世界の外側ならなおさらだとしった。
 
 今までなら……世界の内にいただけなら、知り得なかった外側の世界。そこには想像の埒外の存在が沢山跋扈してるんだ。それこそ鬼もそうだ。そしてこの化け物もそう。
 色々と理解の外にいる存在だ。だから今は深く考えたところで……だ。とりあえず今はこの扉を閉める。それに力を注ぐ。
 
 何やら大きな音が聞こえた。それこそ世界が振動するような……そして自分たちへと迫る腕。けどそれは届くことはなかった。鬼だ。鬼が化け物の体を掴んで止めてる。そしてもう一体が顔面を豪快に殴り飛ばした。
 
(守ってくれてるのか!)
 
 そう思った。

ある日、超能力が目覚めた件 425P

 どうやら悪魔の尻尾は的確に心臓を貫いてたようだ。心臓は肋骨にも守られてる訳だけど、その肋骨だってもちろんだけどぶっこわれてる。そしてそれらのぶっこわれた骨も内臓を傷つけてた。
 
 本当なら手遅れだ。流石にここまでなったら、今の医療技術がいくら進んできた……といってもこれはもう医者からも「手遅れです」といわれるだろうと野々野足軽は思う。けど……
 
(俺ならまだ助けられる)
 
 実際こいつを助けたとしても……とも思わなくもない野々野足軽だ。でも流石にここまでの事になるなんて思ってなかったのも事実。ちょっと懲らしめる程度の気持ちで仮面を取れないようにしてた。
 それなのにまさか命までなくしたら流石にかわいそうだろう。だってこいつ事態はそこそこの顔のチャラ男でしかなった。変な仮面を売りつけてくる詐欺師だが、自分が原因で死んでもらったら目覚めが悪いと野々野足軽は思った。
 
(心臓の代わりに血液を循環させつつ、心臓を再生させる。それと同時に負傷した内臓……肋骨ももとに……)
 
 むむむ……と野々野足軽は自分の部屋のベッドで横になりながら、空中に伸ばした手を色々動かしてる。そんな様子をちょっと空いてたドアから見てる姿があった。
 野々野小頭である。
 
(なにやってるの?)
 
 そんな風に思ってた。そしてその手の動きを見つつ自身の胸を守る様に抑えた。
 
「そんなに女に飢えてるんだ……」
 
 野々野足軽は知らない所で妹に変な同情をされてた。けど野々野足軽は至って真剣である。なにせ実際既にボロボロで動きを止めてしまってた心臓を再生させてるのだ。一度ぶっ壊されたせいで、体内にだってその血液が大量にぶちまけてられてる。
 全てを元通りにするためにも、それらも血管に戻して再び心臓が動き出したのを確認して……ようやく野々野足軽は「ふう」と息をはく。実際野々野足軽は自分がどうやって傷や病気を治してるのかをよくわかってない。
 傷なら細胞を増やして直してるのか……病気なら原因を消滅させてるのか……そこらへんはよくわかんなかった。けどなんか力を集中させて「治れ」と思うと治る……そういう感じだった。
 そこにはなんか理屈はなかった。でもどうにか解明したい気もしてる。なにせどうやって治ってるかわからないって野々野足軽的には気持ち悪い。それにいい事だけしかない……ってあるだろうか? という疑問もある。
 
 世の中の大体の事にはいい面と悪い面がある。例外もあるかもしれないが、それが普通だろう。なら力で治すことに何か悪い部分もあってもおかしくないとも思えるからだ。
 けど今の所、それは見えない。そんな事を考えつつ、ぼーとしてると、天使っ子と悪魔っ子から頭に声が届く。

転生したらロボットの中でした(ただし、出ることはできません)運命という世界線を壊せ 1064

 聖剣は再び扉の怪物の顔へとささる。けどこれで効くのか? 一度同じ様に顔に聖剣を突き刺した。そのときは結局元に戻った。そういう存在だとアイはいう。けど今回は……
 
 声にならない声……そんなものをこの化け物は出してる。そしてすごく暴れてる。前のときは反応も薄くて、すぐに元の状態に戻ったと思う。でも違う。やっぱりこの二体の鬼……ネナンちゃんの親なのかは自分には判断なんてつかない。だってそういう要素は自分には一切わからないからだ。
 
 でもここからどうするのか……それは同じ思いがあったようだ。それは……
 
「うおおおおおおお! 引っこ抜けええええええええええええ!!」
 
 そう、自分もそして鬼もこの扉の化け物をこの扉から引っこ抜く気だった……ということだ。そもそもが自分は最初、こいつは扉から出したら駄目なんだ……と思ってた。どうにかして扉の向こうへと押し込めて返さないといけない……と思ってた。でもこいつはどれだけ攻撃をしてダメージを与えたとしても、そのダメージをなくして復活してしまう。
 時空間を司ってるらしいこの存在はダメージをそもそもが「なかった」事にできるとみていい。それだけ強力な存在だ。ならさっさと扉からでて、この世界を終わらせられるんじゃないか?
 
 けどこいつは扉から上半身を出した状態でとどまってる。最初こいつがこの状態になったとき自分は「まずい」と思った。もう少しで完全に出てくる……とそう思ったんだ。
 でもそれからどうだ? こいつは完全に足まで出る時間はあったはずだ。けどこいつは出ようとしてない。そもそも今の状態になる前は無理やり出ようとしてた。でもその様子が今は一切ないじゃないか。もしかしたら、こいつは今の状態が一番いいのては? と思った。
 だから引っこ抜くことにしたのだ。
 
 頭に聖剣を差して、そして刺した状態で、聖剣の形をかえる。先端を広げて抜けない様にした。返しを付けた。そして聖剣を引っ張る。左右から鬼たちもこの化け物の手を肩に抱えて、全体を使ってくるっと回るようにして背負投げの要領で引っこ抜こうとしてる。最初どこかが引っかかってるような抵抗感があった。でも自分と鬼二体の力……それが加わったことでやつはでてきた。
 
 その腰から下はそもそもがなかったが、何やら長い布の様な物が広がってる。やつが砂に落ちたときに、それが広がった。

ある日、超能力が目覚めた件 424P

 悪魔から怪しい気? オーラとも言えるものが立ち上ってる。赤い様な……赤紫のような……彼女から立ち上ってるからなんかいやらしい物のように野々野足軽には思えた。
 それが一気に周囲に放たれた時、この狭い部屋にあったものが色々と吹っ飛んで壁までよっていった。軽いものは壁にぶつかって――ガン! ゴン! ――とか音を立ててた。人も微妙にずれてた。まあダメージ事態はなさそうだ。
 尻尾に胸を貫かれてた仮面の男……そいつは貫かれてるからこそ、その場から移動することもなかったわけだけど……ポスン――と仮面が落ちた。ずっと付けた仮面。
 それこそ眠る時も食事の時もお風呂のときだってあの男はその仮面を付けてた。どうやら仮面は完璧に外さなかったら、その効果を切らさないようでちょっとずらす程度は問題なかった。だから食事とか水分補給とかは問題なかった。
 そもそもが自分の意思では外せなかったんだが……きっとあの男も自身の本当の顔……それを見たくなかったんだろう。自分自身でその顔……仮面が見せる顔こそが本当の自分の顔だと、そう思い込みたかったのかもしれない。実際は野々野足軽は仮面の男の元の顔もそんなに悪くなかったとは思ってた。
 確かにイケメン……ではなかったかもしれない。でもブサイクでもなかった。そこらにいるちょっとチャラチャラとした軽い印象をした顔だった。絶対に彼女ができない……とか悲観するほどの顔面ではなかった。普通に女性と付き合うことだって出来るくらいではあっただろう。
 はっきりいって丁度いい……と言えるくらいの顔面だったかもしれない。だれだってイケメン……それに美女には憧れがあるだろう。それは野々野足軽だってわかる。けど、そういう美女やイケメンにだって苦労はあるだろうし、案外美女は不釣り合いな人と付き合ったりもしてる。
 だからある意味で元の彼の顔は「丁度いい」と感じた。そのくらいの顔。まあ野々野足軽は自分も人を評価できるような顔をしてる……とは思ってない。イケメンではないと自覚してる。
 
 でもきっと彼は強いあこがれがあったんだと思う。それこそ普段からナンパをしてるようなやつである。所謂陽キャ……といえる方の部類である彼は野々野足軽の様に普段は女に興味ないって姿勢とはある意味で真逆だろう。
 自分からグイグイと行くタイプ。だからこそ、顔がもっとよければ……とか思ってたのかもしれない。イケメンへの情景、焦燥……そして憧れ……それらはきっと野々野足軽の比じゃなかった。だからこそ、理想の顔……それを手に入れたら手放すことなんてできなかったんだろう。
 でもその仮面が今……とれた。野々野足軽は何もしてない。まるで死を仮面が認識したから、もう必要ないだろうと……仮面事態が見限ったかのようだ。
 
「違う……違う……こんなの……ちがっ……」
 
 悪魔の女性はそんな風につぶやき、フラフラとベッドから落ちた。そしてそのまま彼女は玄関へと向かう……そのままガチャリ……と扉をあける。彼女はパンツ以外は全てを脱ぎ捨ててる状態である。
 そのまま彼女はフラフラと外に行った。
 
(二人共彼女を見張っててくれ!)
 
 そんな指示を悪魔っ子と天使っ子にする。すぐに二人は動いてくれた。野々野足軽はすぐに命が絶たれた男へと力を向ける。尻尾が抜けたときに、ベッドへと前に倒れ込んだ男。
 
(これは俺のせいでもある……)
 
 そんなことを思いながら、野々野足軽はこの死んだ状態の男の治療を開始した。

転生したらロボットの中でした(ただし、出ることはできません)運命という世界線を壊せ 1063

「行ける……鬼はただあの化け物に攻撃してるだけじゃないわ。相手のプロセスを阻害してる。今なら、攻撃が通る!」
「――よし!!」
 
 アイがそんなことを言った。本当は「よし」以外に言いたいことは山ほどある。どうして? とかどういうことだ? とかである。アイはどうやらあの扉の化け物の情報を持ってるようだった。それはこれまでの言動でわかる。けど今は戦闘中。それを共有はできてない。けどアイが言うのならそうなのだろう。そう思うことにした。
 だって自分たちは仲間……いや運命共同体といっていい。これからもずっと世界を渡っていく仲間。間違ったことを教える必要なんてない。だからそれは真実のはずだ。それに……だ。それに扉の化け物は実際の所、あの鬼二体からかみつかれたときの反応は顕著だった。
 自分たちの攻撃はではそんなに反応は示してなかった。なにが起きてもどうにでもなる……それが出てるようだった。けど鬼の嚙みつきには大きな絶叫を上げてる。効いてるのは確かだろう。
 
 自分は「ふー」と大きく息を吐く。そして内部のノアにありったけのそそぎこまれてるこの世界の力の変換求める。
 
『これ以上は旦那も耐えられないっすよ?』
「それでも……行く!」
『はぁ……仕方ないってね。え? そっちにもながせ? なるほど、そっちと分け合えば……確かにっす』
 
 なにやらノアが話してる。それは自分じゃない。けど誰かはわかる。聖剣だろう。自分は聖剣の声は時々受け取るくらいしかできない。だけど、どうやらノアは普通に会話ができるみたいだ。どうして? なのかは正直分からない。ノアなんてこの世界から出会った筈で、それに対して自分と聖剣の関係は元の世界から数えたらそれこそ十年くらいはある。
 絆は十分にもうはぐくんでるはずだ。それなのにバッとでのノアの方が聖剣の言葉を受け取れるのはちょっと納得いってない。けど今はそんなことはどうでもいいか。重要な事はそういう事じゃない。それに……聖剣の言葉はきっと自分を思ってのことだ。それはわかってる。なにせ自分は幾分か楽になった。流れてくる力は大きくなったし、それに聖剣へと注がれるエネルギーもそうだ。
 
 でもそれでも負担が軽くなったのは聖剣事態もその負担を背負ってくれたからだろう。自分はボロボロのアイをみる。彼女は無理をしすぎた。そもそもが自分のようにこの現地のエネルギーを変換する術もないのに、そのエネルギーを無理矢理使ってたんだ。内部に深刻な問題が出てるだろう。
 
「後は、自分にまかせてください」
 
 そういって空中を蹴る。扉の化け物は鬼に左右から腕を拘束されて、そしてその首筋にかみつかれて全身にヒビの様なものが広がってた。螺旋の様なもよう……それがはがれてる? ボロボロと指先からはそんな風になってた。よくわからないが、けど事実として扉の化け物の動きは止まってる。だから自分は確実に……そして絶対に間違わないように、聖剣を扉の化け物の顔にまっすぐに突き刺してやった。
 
「ひっこめええええええええええええええええええええ!!!」