uenoutaの日記

好きなものを描いたり、買ったものを紹介していきます。

ある日、超能力が目覚めた件 425P

 どうやら悪魔の尻尾は的確に心臓を貫いてたようだ。心臓は肋骨にも守られてる訳だけど、その肋骨だってもちろんだけどぶっこわれてる。そしてそれらのぶっこわれた骨も内臓を傷つけてた。
 
 本当なら手遅れだ。流石にここまでなったら、今の医療技術がいくら進んできた……といってもこれはもう医者からも「手遅れです」といわれるだろうと野々野足軽は思う。けど……
 
(俺ならまだ助けられる)
 
 実際こいつを助けたとしても……とも思わなくもない野々野足軽だ。でも流石にここまでの事になるなんて思ってなかったのも事実。ちょっと懲らしめる程度の気持ちで仮面を取れないようにしてた。
 それなのにまさか命までなくしたら流石にかわいそうだろう。だってこいつ事態はそこそこの顔のチャラ男でしかなった。変な仮面を売りつけてくる詐欺師だが、自分が原因で死んでもらったら目覚めが悪いと野々野足軽は思った。
 
(心臓の代わりに血液を循環させつつ、心臓を再生させる。それと同時に負傷した内臓……肋骨ももとに……)
 
 むむむ……と野々野足軽は自分の部屋のベッドで横になりながら、空中に伸ばした手を色々動かしてる。そんな様子をちょっと空いてたドアから見てる姿があった。
 野々野小頭である。
 
(なにやってるの?)
 
 そんな風に思ってた。そしてその手の動きを見つつ自身の胸を守る様に抑えた。
 
「そんなに女に飢えてるんだ……」
 
 野々野足軽は知らない所で妹に変な同情をされてた。けど野々野足軽は至って真剣である。なにせ実際既にボロボロで動きを止めてしまってた心臓を再生させてるのだ。一度ぶっ壊されたせいで、体内にだってその血液が大量にぶちまけてられてる。
 全てを元通りにするためにも、それらも血管に戻して再び心臓が動き出したのを確認して……ようやく野々野足軽は「ふう」と息をはく。実際野々野足軽は自分がどうやって傷や病気を治してるのかをよくわかってない。
 傷なら細胞を増やして直してるのか……病気なら原因を消滅させてるのか……そこらへんはよくわかんなかった。けどなんか力を集中させて「治れ」と思うと治る……そういう感じだった。
 そこにはなんか理屈はなかった。でもどうにか解明したい気もしてる。なにせどうやって治ってるかわからないって野々野足軽的には気持ち悪い。それにいい事だけしかない……ってあるだろうか? という疑問もある。
 
 世の中の大体の事にはいい面と悪い面がある。例外もあるかもしれないが、それが普通だろう。なら力で治すことに何か悪い部分もあってもおかしくないとも思えるからだ。
 けど今の所、それは見えない。そんな事を考えつつ、ぼーとしてると、天使っ子と悪魔っ子から頭に声が届く。