「よし!」
ついにこの扉の化け物を扉から引き剥がすことができた。まあ実際はなんか扉からこの化け物へとなんか伸びてる。どっちを優先するべきだ? 自分はそこでちょっと迷った。どっちというのは、このままこの化け物に追撃をするかどうかってことだ。実際、今ならちゃんと攻撃が通るかもしれない。
けどこの扉と化け物を繋いでる光の線も気になる。なので扉を閉めた方がいいのでは? って気持ちもある。すると……
「今なら断ち切れるわ!」
そういってボロボロの体に鞭打ってアイが動いてた。どうやらアイは扉を閉める気のようだ。なら……自分の行動も決まった。片側だけ一つずつ閉めるよりは二人で一気に扉を閉じたほうがいい。それに……だ。
(今、一瞬鬼と目があったような……)
そんな気がした。鬼は背負投げの要領で化け物を投げ飛ばして一緒に地上へと降りてる。そんな鬼がこっちを観てたような気がした。合わさった視線で「行け」と言われたような……本当にあの鬼はネナンちゃんの……とりあえず今はやるべきことをやることにした。
アイが張り付いた扉の反対側に張り付いて、肩を使って観音開きしてる扉を押した。ズズズズズ……そんな風に少しずつ動き出す。自身よりもかなり大きな扉だ。それはそうだろう、なにせ手を伸ばせば地上に届くような化け物をだしたのだ。……いや、流石にあれが出てくるなんて物理的にはおかしいサイズ感の違いはある。
本当ならあいつの頭だって出るわけ無い。いくらこの扉が大きいからといっても、流石にあの化け物は更にサイズ感が違う。けどきっと自分たちの常識なんてのは捨てたほうがいいんだろう。
なにせ自分の中にある常識はまだあの頃……勇者として世界を救ってたあの年月で培われたあの世界の常識だ。けど一度世界を飛び出してしまえば、その世界の常識なんてのは意味をなさない。それこそ世界の外側ならなおさらだとしった。
今までなら……世界の内にいただけなら、知り得なかった外側の世界。そこには想像の埒外の存在が沢山跋扈してるんだ。それこそ鬼もそうだ。そしてこの化け物もそう。
色々と理解の外にいる存在だ。だから今は深く考えたところで……だ。とりあえず今はこの扉を閉める。それに力を注ぐ。
何やら大きな音が聞こえた。それこそ世界が振動するような……そして自分たちへと迫る腕。けどそれは届くことはなかった。鬼だ。鬼が化け物の体を掴んで止めてる。そしてもう一体が顔面を豪快に殴り飛ばした。
(守ってくれてるのか!)
そう思った。