「何だあれは?」
「よそ見してる暇はないですよ。まずいのが来ます」
アイがそんな事をいってくる。確かにそうだな。アレはまずい。今は腕を切って、そしてやつの主要な攻撃手段だった髪も大半を同時に切ったことで、扉から出ようとしてる化け物の攻撃手段は大きく減ってる。
でもそのくらいで止まる存在ではなかった。そいつのポッカリと空いた口……そこに強大なエネルギーか集まってる。それも今まで感じたことがないくらいの量であり……質だ。
あんなのが放たれたら最悪世界が崩壊する。それでもいいとあの存在は思ってるのか? それはつまり、この世界の役目はおわったということだろうか? わからないけど、迷ってる時間はない。腕から発生した化け物も気になるが、それよりも自分たちはこっちだろう。
地上の方は地上の者たちに任せるしか無い。G-01殿が動けない今、これを抑えることが出来るのは我々しかいない。少なくともあれを撃たせるわけには行かない。
「チャージ率120%。撃ちます!」
そういってアイは自身よりもかなり大きなその銃から特大の光を放つ。それはこれまでよりもより強く……そして自分が見た中では一番太い光だった。そしてそれが化け物の口に収束してる光へとぶつかった。
これで暴発してくれれば……あわよくばヤツ自身を倒せるかもしれない。けど……どうやらそんなに上手くはいかないらしい。そんな安々と倒されてはくれないってことだ。
どうやらあの扉の化け物はぶつかる直前で向こうもそれを放ったらしい。それによって、なんとか口内ではなくその外で拮抗することができたらしい。
「っ……」
アイが苦しげに歯を噛む。それもそうだろう。最初はそれこそ後一歩だった。あと一歩でヤツの頭を吹き飛ばすことが出来る……そんな位置だった。けど化け物の放った光線は一気に大きくなった。それによってアイ嬢が放った光線を押し戻してる。
まさかアレだけの攻撃を、あそこから押し返すなんて……
「いや、まだだ!」
そうだ。まだ! 自分がいる。すでに髪もまともに機能してない。そして腕は言わずもがな……光線はアイ嬢が引き受けてくれてる。なら自分がやるのは何か。最大の攻撃を無防備な奴へと叩き込む! そういこうことだろう。全力全開だ。ここで足し惜しみなんてしない!!
聖剣と心を通わせ、そして自身の中のノアにも力をださせる。新たな形態を取り出す聖剣。自分は化け物の頭上からそれを振り下ろす為に動く。