uenoutaの日記

好きなものを描いたり、買ったものを紹介していきます。

ある日、超能力が目覚めた件 409P

「何をしてる? 嫌がってるじゃないか!」
 
 救世主……そんなのは意図して現れるものじゃない。そう……まさに運命の様にそこに……その場に導かれてるような……そんな存在なのかもしれない。そいつは大きかった。
 周囲の大人たちよりも一回り……いや二回りくらい横にも縦にも大きい。休みなのに学ランの様な服に身を包んで、けどその袖は破り捨てられてる様にギザギザ。それになぜか足元は下駄で頭にはハチマキといったどこぞの応援団みたいな格好をしてる。
 はっきり言って関わり合いたくない人間……でしかない。けど今やこの街にはこのくらいの変態は多い。むしろこのくらいは序の口である。なのでそんなで驚く人はいない。けどそれに慣れてしまったからこそ、朝倉先輩たちにもなかなか声をかけなかった……というのはあるかもしれない。
 
「うるさい」
 
 つまらなそうに、悪魔が宿った女性が声をかけてきたそいつをみた。彼は桶狭間忠国……その筋肉が特徴的な心優しい男子である。彼は変な集団を率いて、この街の治安を守るような……そんな活動をしてた。
 だからこそ、困ってそうな彼女を見捨てることができなかったのだろう。桶狭間忠国はなるべく穏便に……と思って声をかけた。きっと同じ学校の先輩だと言うことにはきづいてない。なにせ朝倉先輩は制服をきてない。最初に声を荒げたのは、まずは意識を自分に向けさせるためだ。
 その後は二人の間に入って話を聞こう……と思ってた。けど……悪魔の宿った女性の目は怪しく光る。相手はか弱い女性である。それがたとえ成人した女性であっても、2メートルを超えてる桶狭間忠国とは大層な格差がある。普通ならいきなりそんな大男から声をかけられたら、女性なら誰であっても怖がるものだろう。
 けど悪魔が宿った女性はそんなことない。それをすぐに桶狭間忠国は察した。彼の危機感知の感覚が鋭く警告をならす。それは彼がこれまで鍛え上げてきた肉体と共に獲得してきた精神。
 武道を通じて鋭い感覚を彼は磨いてきた。だからこそその女がただの女性ではない……とわかった。異様な圧力……それを感じる。
 
(これは……)
 
 でも何をされるのか、出来るのか……それはわからない。それに下手に桶狭間忠国が手を出すわけにはいかない。なにせ桶狭間忠国の体は鍛え上げられた鋼といっていい肉体だ。それに対して二人の女性はとても華奢だ。これが脂肪でもついて横とかに太かったら、まだ簡単に掴むとかできたかもしれない。それでも問題にはなるだろうが……それでもちょっとやそっとでは折れないとは思えた。
 でも桶狭間忠国が割って入った二人の女性はどちらもとても細かった。桶狭間忠国からみたらどっちの体もまさに小枝のようだ。下手に体を抑えるなんてできないし、ちょっと触れただけでもポキっと折れそうと思えるほど。
 だからこそとりあえず二人の間に……それだけでも抑制にはなるとの判断だ。でも……
 
「うっ……」
 
 視界が霞むような目眩。そして頭に入ってくるなんらかの思考。それが桶狭間忠国に語ってる――
 
『ここは大丈夫』
 
 ――と。そしてなぜか口から「そうか」とついて出てた。