「あれ――」
「あねう――」
俺はそれなりの声を出そうとした二人の口を押さえつける。確かに今は認識疎外を発動させてこちらの存在を感知されにくくなってる……とは言え、注目を浴びるような行動をすれば、それは例外だ。
わざわざ注目を浴びようとすれば、勿論ちゃん注目されてしまう。まあなにせ俺の魔法では完全に姿を消してる訳じゃない。実は見えてるが、頭がそうだと認識してないだけだからな。
もっというと、見えてるが別に注目に値しないみたいな認識で見えてる……みたいな? 実際は俺の力ならば、完全に姿を隠す……くらいはできる。
だが魔法とは高度なを事をしようとするとなると、その残滓というのが残りやすくなるし、熟練の使い手にはばれやすくなる。まあこの世界の魔法の使い手にバレる様なヘマはしないつもりだが……
でもそれでも、このくらいがちょうどいいんでは? と思ったんだ。なにせここは協会連中の総本山だからな。あんまり強力な魔法を使うとそれ自体を察知されかねないってのがある。
だから見えてるけど、素通りされて都合がいい範囲で認識疎外なのだ。
「お二人とも、注目を集めるような行動は避けてください」
俺はプライムとアヴァーチェの二人の耳元でそうささやく。二人ともちゃんとコクコクと頷いてくたれた。二人とも物分かりが悪い訳じゃない。寧ろめっちゃ物分かりいい。
けどさっきのはちょっと心が焦ったというかはやっただけだろう。けどこういうのはいつ何時でも気を緩めてはだめなんだ。なにせここは敵の総本山。
きちんと脱出するまで、油断はしてはならない。プライムの奴もしっかりとしてるが、ちょっと子供のようである意味子供らしさが残っててよかったがな。
このくらいはちゃんとカバーを俺がやればいいんだ。と言う訳で、さっそく最後の一人を教えてもらう。
「あれが姉上です。あの銀髪に赤がちょっと混じったような――で肌も少し浅黒い」
「あれ……か?」
二人は銀髪にまじりっけは一切ない。それに肌もこの世界には珍しく肌が白いほうだ。
この世界は太陽が厳しいから、肌が浅黒い人たちが多い。それに髪の色だって、濃い色の人の方が多いんだ。だからこそ、王族は特殊というか、特別な色をしてるな……と思ってた。
でも二人が示す女の子は……確かに髪色はちょっと共通項あるけど……肌の色とか違うし……あれって――
(王様……やんちゃしたな)
――と俺は思った。