(ハゲになってしまったぞ……)
なんだがつるつるの頭を見ると、不安になってくる。いや、自分自身がそんな風になる……なんて思ってはないけど……それに別にハゲが悪いわけじゃない。
似合ってる人だってこれまで何度も見てきたし……でも少なくともこいつは似合ってない。頭から落ちたヘビ達は地面で陸に上がった魚のようにピチピチとなってる。
蛇なのに? だよ。次第に弱っていくヘビ達は黒い液体になってしまった。そしてそこに腕を突っ込む奴。
なんで床に貯まった液体に腕を中頃まで突っ込めるのか……そこはきっと考えたらいけないんだろう。そう思ってると、奴は状態を起こして蛇の溶けた水の中から何やらごつい剣を出してきた。それは片刃で蛇のうろこのような模様が表面に出てた。しかも……よく見たら……
「腕自体が剣になってる?」
握ってるんじゃない。腕まるごとその刃がはめ込まれたみたいになってた。でもそれってどうなんだ? だって他の腕はまだちゃんと手の形をしてる。それなのに一つだけ武器になるって……ある意味、汎用性って奴が亡くなったとも捕らえられるような?
それだけの性能があれば良いんだろうが……そう思ってると、グニッと変化したその刃が曲がったように見えた。
その瞬間、自分は横に体を動かした。するとわずかだけど髪の毛が切られた。剣同様に堅そうに見えてたが、どうやら鞭のように動くらしい。蛇は確かにその体をグニグニと動かして進むからな。多分だけどそういう同じような動きをしてたと思う。
「ぎゃは」
そんな風に奴は笑った。髪の毛一ミリくらい斬っただけでそんな喜ばれても……そう思ってると、次々と攻撃が襲ってくる。しかも攻撃をしつつ、他の緑色になった腕をその蛇の水の中に突っ込んでいって、次々とその腕を武器へと変えていってる。
そうなると次々と同じような攻撃が増えていく。一本だったのが、二本になり、三本……そして四本とかになっていく。
「厄介な……」
あの変化した腕の武器だからな。下手に聖剣をぶつけたら再び止められる可能性がある。一応剣になったわけだし堅そうだが……でも攻撃自体はとても鋭くしなやかな物だ。剣をめり込ませそうにないけど……でもわざわざ戻して再び出すって……
(面倒……ではないな)
一応一回くらい刃を会わせてみるか――と思って向かってくる攻撃に向けて聖剣を向ける。
「げっ」
聖剣で受けようとした瞬間、なぜか全ての刃の攻撃がそろって向かってきた。いやいや、独自の動きしてたじゃん。だからこそ攻撃の予測もしづらい――みたいな感じだったのにめっちゃ今だけ剣がそろってる。しかもなんか絡み合って一つの強力な刃みたいになってるし。
そんな蛇の刃と聖剣がぶつかり合う。でもその瞬間、蛇の刃は液体のように周囲に弾けていく。