断末魔の叫びを上げて、敵の体が燃え上がる。白い炎に身を焦がし、のたうちまわるがその炎の勢いは消えることはない。聖炎は罪を焼き切るまで決して消えない炎だからだ。
奴は燃えながらもなんとか聖剣を抜いてその炎を消そうとしてるが……聖剣も邪悪な存在には触れられない代物だ。なのでその腕が弾かれてる。
(これで終われるか?)
一応警戒しつつそう思う。聖炎は一度灯れば決して消えないから、後は時間がかかってもそのうち相手は絶対に死ぬから、必殺の一撃と言って良い。でも……
(魔王のような例もあるからな)
それを考えて自分は警戒してる。魔王はその存在自体が邪悪だからな。まああいつは邪悪と言うよりも、むしろ純真なのかもしれないが……そんな議論は今はいい。
あいつは聖炎を食らっても動けるって事だ。即死するような技じゃないからな。確かに燃える痛みはある。まあ自分自身食らったことがないから想像でしかないが、焼かれるのは普通に耐えがたい苦痛だろう。
でもあいつ動くからな。魔王がおかしいのか……どうなのか……
(魔王がおかしいよな……)
そうであると思いたいが……すると頭のヘビ達の目が赤く強く光り出す。そして念力か何かで聖剣を引き抜かれた。
「その手があったか……」
確かに触れられないのなら、触れなければいい。でも既に灯った聖炎は消えることはない。残念だったな。とりあえず抜かれた聖剣を自分は回収する。近づく必要は無い。ただ手をかざせば聖剣は自分の手の中へと戻ってきた。
「あああ……あああああ」
そんなよくわからない声を出しつつ、奴はその裂けた口を開く。そしてなんと聖炎をかぷっと食べ始めた。
「え?」
それには流石に驚いた。まさか食べるなんて発想はなかったからだ。てかそれって意味あるか? 中から燃えるだけでは? そう思ってると、頭のヘビ達も口を開けて聖炎を吸い出す。大きな口と無数の小さな口が聖炎を取込んでいき、そしてついにはその全てを食べきった。
「マジか……」
聖炎にそんな弱点があったなんて初めて知った。内部から燃えないかな? と思って見てたが、なんか炎がなくなったら再びイケイケで攻めてきた。なんか影響ないっぽい。
(どういうことだ? 聖炎は消えないはず。食べてもその内部で燃え続けるのでは?)
わからないが、そうだと思う。けど食べきった後のこいつには影響が見えない。自分は再び奴の攻撃をかいくぐり、今度はその腹を×印に切ってかっさばいてみた。
(お邪魔します……と)