uenoutaの日記

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転生したらロボットの中だった(ただし、出ることは出来ません)運命という世界線を壊せ 384

「なんで……」
 
 ん? 何か勇者……じゃなくて、勇者を乗っ取ってる奴が呟いた。
 
「なんで貴様のような奴が出てくるんだ!!」
 
 そう言って何回もその拳を打ち付けてくる。まあ拳なのは片側だけなんだけどね。なにせ右手は聖剣が同化して銃となってるからね。それならその銃を撃てばまだ遠距離から攻撃出来ていいと思うんだが……
 
『聖剣が認めたのは勇者であって、アレではないので手を貸してないようですね』
 
 という AIのお言葉。実際さっきから一度も撃ってない所を観るとそうなんだろうと思う。だってちゃんと使えるなら、まずは遠距離攻撃をするだろう。正体がわからない相手に行き成り近接戦を挑むのはリスクが高い。
 てか腕の一つが完全に変化してて其れ特化になってるのなら尚更だと思う。でも此奴はそれをせずに、しかも無理矢理銃になった右手でも殴ってきてる。これはつまりはAIがいってたことを証明してるんだろう。
 
 この体の中身が勇者じゃないから、聖剣は力を出してない。それならはっきり言って脅威にはならない。聖剣がそのまま使えるとなったら、こっちに手傷くらいは負わせることが出来たかもしれない。
 でも……いくら強大な力を内包してるといっても、結局の所は勇者も魔王も私のG-01の一部なんだ。自分の体に傷つけられる奴がいるのかって事だよ。
 しかも本体はこっちだ。聖剣はその意味では独立してたからね。いや同化してるけどさ、でも聖剣の力自体は特殊というか、特別だった。だからG-01の力に染まってないんだよね。だからこそ聖剣の力を普通に使えたら面倒だなって思うくらいには対応に困っただろう。
 でもそれもないのなら、後はきついお灸を据えてこの何かをおとなしくさせるだけだろう。
 
「よーし、じゃあこっちもパンチで返してあげようじゃない!」
 
 そう言ってパンチをはなつと、ペチッて感じで黒い勇者が吹っ飛んだ。まあ私の感覚からはペチッてな感じだったわけだけど、多分向こうからしたら、ドッガーン!! という擬音がふさわしいくらいの衝撃だったと思う。
 なにせこの廃墟の街の端っこまで一気に吹き飛んだもん。いやー、向こうの勢いも乗ってたからやばいくらいの衝撃になったみたい。生きてるだろうか? それは心配してないけどね。こっちでモニタリング出来てるし。バイタルはある。
 
「こんなもの!!」
 
 瓦礫から出てきた黒い勇者はどうやら聖剣……いや聖銃を邪魔に思ってるみたいだ。まあ使えない腕だもんね。しかも聖銃が力の流れを乱して節があるし。ちょっとしたアシストをやってくれてる。
 でもだからこそ――
 
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
 
 ――そう叫んで黒い勇者は自身の腕に同化してる聖銃を引きちぎった。ためらわずにそういうことが出来るのは感心する。私なら無理だし。いや、G-01の腕を――とかならいいけど、自分の腕を……となると無理。
 でも……片腕で私に、G-01に勝てるとでも?