私は砂を派手に蹴って横方向に展開してる砂獣に近づく。どうやら今回襲ってきてる砂獣はかなり多種多様みたい。大体は蟻が八割で後はその他って感じの構成が多い。
まあ今回も蟻が最も多いのには変わりは無い。けど、それ以外も多い。やっぱり数か? 数が今までよりも圧倒的に多いからだろうか? 常識外れの数だから沢山の砂獣が寄り集まってるのかもしれない。
「まあ考えても仕方ないけどね!」
私は近づいて蟻の一体を殴り飛ばす。蟻は吹っ飛ぶことなく砕け散った。そしてG-01の拳の余波でその直線上に居た蟻数十体が同じように砕け散る。
いや格好良く砕け散る――とか表現したけど、もちろんだけど近くに居る奴は砕け散るけど、遠くに居る砂獣達は穴が空く程度とかにとどまってたりする。砂獣の生命力だとそれだけじゃ死んだりしなかったりするから……厄介。 けど、そこら中に居るから、そこら中の奴らをぶん殴ってれば――
「うらうらうらうらうらうらうらうらうらうらあああああああ!!」
――数秒で数百体は砕け散らせたはずだ。てか別に直接殴る必要も無いんだよね。そもそも空中に居たときからこの小手で遠距離攻撃出来たからね。流石にG-01がヤバいと砂獣達も理解したからかこっちに寄ってこないようになってしまってる。
でも私を避けるように移動したって無駄なんだよ!! てか襲ってこないのなら、こっちは自由に動けるってことだからね。それは……とっても愚策だと思う。
「無理矢理にでも私を無視出来ないようにしてあげる」
私は私を無視する砂獣達に襲いかかる。もうどっちが悪役なのかわかった物じゃないかもしれ無い。だって私から砂獣達は逃げてる。雑兵的な蟻なんて、こっちに向かうの絶対にイヤって感じだ。
まあわかる。だって対峙したら絶対にやられるんだもんね。それはイヤになるよ。普通こうなったらもっと上司的な奴が出てこないといけないだろう。上司が上司の役目を放棄してるブラックな職場なのかな? それはご愁傷様だ。
「ジゼロワン殿!」
勇者が私に向かって叫んでる。私が暴れたおかげか、賞金稼ぎと非戦闘員達を乗せた乗物は結構距離を稼いでるね。これなら安心か? とか思ってると、砂の中からどでかいサソリが現れた。
こいつ前にも見たことあるね。でも今回はそれが四体……上司が現れたようだけど、こっちに向かってこないな……あくまでも狙いは弱い奴? それとも何かあるのかな? でも貴重な物とかあの中にあるっけ? ないと思う。王様達は既にアズバインバカラに居るし……うーん謎だね。
とりあえずサソリの大きさだとすぐに賞金稼ぎ達に追いついてしまう。そしてあの大きさは彼らにはどうしようもない。ただ押しつぶされるだけだ。そうなると困るからいっちょやりますか。
『勇者、一体くらいやれますか?』
「見くびらないでくださいジゼロワン殿。今の自分と聖剣なら全部いけますよ」
おお、大きく出たね。それはそれで見てみたいけど……まあ効率を考えたらここは――
『なら二体は任せます』
「光栄です!!」
――そういうわけで半分こすることにした。