uenoutaの日記

好きなものを描いたり、買ったものを紹介していきます。

転生したらロボットの中だった(ただし、出ることは出来ません)運命という世界線を壊せ 555

「サラサラ返す気は無いと……そういう事ですか」

「さっきから同じ事を言わせるな。そうだと言っている」

「そうですか……では仕方ないですね」

 そう言うとアイの奴はその自身の手をまっすぐにピンと伸ばして、そして手首部分から高速回転させ出した。キュイイイイイイイイン――という甲高い音がこだましてる。

「ジゼロワンに近いからと言って、我に勝てるつもりか?」

「やってみないとわからないでしょう。私は貴方の回収を命じられているのです。なら、一端機能を停止させてでも、連れて帰りましょう」

 一触即発の空気が流れてる。けど二人は動かない。互いの隙をうかがってるんだろう。てか言いたいことがある。なんかアイの奴私のせいにしてない? 私が何が何でも魔王も連れ戻せ……的なことを言ったみたいに言ってるけど……言ってない!! 私はそんなことは一言も言ってない!! 魔王の考えを聞いてそれを伝えてくれるだけで言い。てか通信できるでしょうし、それでいいよ。魔王は私からのチャンネルを閉じてるからそれは今や出来ないけど、アイを通せば良い。

 

 その報告で私が考えてそれを伝えるくらい出来るじゃん。それにもしかしたらその報告が違ったりするかもしれない。それはそれでいい。だって私はこうやってちゃんとした魔王の考えを聞いている。それならそこをアイに突けるしね。けど……どうやらアイはこの時点で私に報告する気は無いみたいだ。

 まだ一応魔王との繋がりは残ってる。だからそれを使えば強制停止くらいは出来そうだが……二人とも強制停止する? うーんどうしよう。やっぱり私もいったほうがいいだろうか? だってアイの奴、話し合う気が無いとしか思えない。最初から頭ごなしで上からいってるし……私はただ、私の元を離れたいという魔王の真意とそうなった経由が知りたいだけなのに……別に止める気なんて無いよ。

 確かに魔王はその根底に魔王としての破壊衝動があるんだと思う。何言っても、魔王とは魔王という存在なのだ。なんか哲学的だけど……そういう役割を担ってる……とかじゃなく、魔王はただ魔王として、いや、魔王だからこそと言うべきか、戦いが好きなのだ。それを私はちゃんと知ってる。それは魔王という存在だからじゃ無くて、魔王という人格がただそういう危ないやつってだけね。

 二人がにらみ合ってると、なんか横から砂獣がやってきた。いつもの蟻型の砂獣だ。それぞれ魔王とアイに噛みつこうとする蟻型の砂獣。けどその頭を互いに同じタイミングで吹き飛ばした二人はそのまま戦闘に入った。

 ああもう……何でこんなことになってるんだろうね。これも全部アイが悪い。