uenoutaの日記

好きなものを描いたり、買ったものを紹介していきます。

転生したらロボットの中だった(ただし、出ることは出来ません)運命という世界線を壊せ 460

「強い王の姿を民衆は求めている……そういう事か」
「はい」
 
 俺は王様の言葉に頭を下げる。別に他の人達はさっさとアズバインバカラへと入って貰って構わない。けど王様だけは駄目だ。それに実際このままだとアズバインバカラの重鎮達の中にだって厄介なお方を引き込んでしまった――と思うような奴だって出てくる可能性はある。なにせアズバインバカラは王族派筆頭になるのだ。これから協会を頼ることは出来ない。
 実際、アズバインバカラはそんなに教会に頼っては居なかった。だから抵抗がある人達は他の所よりも少ないのは分かってる。けど……それでも……だ。宗教ってそれだけ厄介。心に根付いてるだろうし、いきなり教会と対立する――とかなると不安は避けられない。
 だからこそ、皆が安心できるような伝説があれば、その信仰心を王様へと向けることが出来る――かもしれない。かもしれないってだけだけど、何もやらないよりはマシだろう。
 
「私はどうすればよいか?」
 
 これは王様はこっちの意見を飲んでくれたと言うことだろうか? まあ多分そう言うことだろう。なら必要なことをさっさとやってしまおう。ジゼロンワン殿が今は動かないとなれば、俺が動かないと軍と賞金稼ぎの被害がヤバいことになる。これから忙しくなるからな。さっさと伝えとこう。
 
「陛下は後方で堂々としていてくださればよいかと。そして機を見てこれを」
 
 俺が出したのは細長い金属質な棒みたいな物だ。
 
「それは?」
「それはジゼロンワンを呼び出すための物です。ここぞと言うときにお使いください。ジゼロンワンが陛下のために、陛下のお言葉で砂獣を蹂躙する。その姿を皆に示すのです」
「なるほど、よし分かった」
 
 納得してくれたみたいだ。ちらっと足を見ると震えてるが……まあ神輿役くらいはちゃんと務めてくれるだろう。いやそのくらいはやって貰わないと、王とたりえない。この世界で逃げ続けるなんて事は出来ない。教会とは対峙しないといけないんだ。そして教会には魔法があり、砂獣を生み出す力も持ってる。王がそれに怯えてたら戦えない。皆が不安になる。だからここでそれらを乗り越えて貰おう。
 ジゼロンワン殿もきっとそう思ってのことだろう。もうただの傀儡ではないと、そういう風に教会にも見せつけるのだ。
 
(まあけど……あの渡した棒はただの棒だけど……)
 
 なんかそれらしい物がないかな? ――と服をごそごそしてたら出てきた。多分だけど、地下に落ちたときにでも拾った物だろう。なのであれにはジゼロンワン殿を操る力なんて一切無いが……まあいいだろう。きっとよしなにしてくれる筈。
 
「陛下、すぐそこまで砂獣の大群が迫っております。号令をお願いします」
「うむ」
 
 そんなことをやってる間に王様以外の人達はアズバインバカラへと入ってく。とりあえずペニーニャイアンとピローネは狭い部屋にでも閉じ込めておくように言ってた。さて……やるか。
 王様が誂えられてた壇上にあがる。多分もともとはラパンさんがここにたって号令とか言うつもりだったんだろう。そこに王様が立つ。大丈夫かな? とか思ってたけど、壇上に立ち、前を向いた王様はりりしい顔つきをしてた。どうやらちゃんと王様だったらしい。