「貴方は……権力とかそう言うのに興味はないんですか？」
自分は思わずそんなことを聞いていた。なにせこの蜘蛛人間ヌポポは今まで出会った教会の奴等と違って、そう言うのに興味なさそうだから……こうなったらもう直接質問しても良いかなって思ったんだ。教会の奴等は耳障りの良い言葉を人の良さそうな笑顔で言うのが得意だ。けれど……その本心は真っ黒で内心は経典にあるような誰かの……隣人のために……何てのは一切なくて、他人を……いや知り合いさえも蹴落として自分の欲を満たそうとする奴等ばかり。
まあこの蜘蛛人間ヌポポも良い奴なのか……と言われるとそれは違うような気もする。確かに今まで観てきた教会の奴等とは違うけど……善人ではないよな。欲が向いてる方向が違う感じだ。大多数の教会の奴等が権力とか金とかにその欲が向いてるのに対してこの人……人？
「そんな物に興味ないの。儂はの勇者殿……ただ深淵が知りたいのよ。理を紐解きたいのじゃ。そのためなら、人などやめようぞ。ふぇふぇふぇ……儂は最低の神父じゃろう？」
「いや、今まで出会ってきた神父の中では二番目にはまともですよ」
一番はこのアズバインバカラに居る神父様だ。だから二番目。けどこの蜘蛛人間ヌポポが二番目って……冷静に考えたらやばいな。だってこの人は見た目的にはマジで化け物だからね。偏見を持たずに接するのが難しいのは当然だろう。この人はきっと他人には本当に興味がなくて、さっき言ったように世界の深淵……世界の理……そう言うのだけに興味があるから他人の目なんて気にしないんだろう。
もしも他人の目をめっちゃ気にするような人なら、この見た目になった瞬間に自殺とか……選びそうじゃん。そうじゃなくて、この姿になってまで笑える……それは凄い事だと思う。
「二番目か、それは教会も腐った物じゃな」
そう言って更に大きく笑う蜘蛛人間ヌポポ。この人はまだまだ話しやすい方だな。イライラしないし。協会関係者で一番話しやすいのが蜘蛛人間って……改めて考えると教会のやばさが分かる。人の形してる奴よりも、蜘蛛の形してる奴の方が話が通じるってどうなんだ？
そこに教会は危機感を持った方が良いと思う。まあ奴等が危機感を持つことはないと思うけど……
「けどの勇者殿、儂がしっとる限り、一番まともなのはやはり教会の頂点じゃよ」
ひとしきり笑い終わると、蜘蛛人間ヌポポはそう言った。教会の頂点……それって巫女よりもましてや老子会よりも上にいるという三人の内の一人？ その一人がこのヌポポなら……案外その一番上の人なら、話が通じる可能性はあるな。興味ある。
「それって、教皇とかですか？」
