一度折れた心をもう一度奮い立たせるにはどうしたら良いか? それはとても難しいことだと思う。私はけっこう楽天的に考えてたね。そのせいでちょっとイライラだよ。
「こいつ等、こんな他力本願で良い訳?」
とかG-01の中で私はつぶやくよ。けどそれって私がG-01という強力な機体の中にいるから言えるんだよね。もしもただ一人の少女として、世界に放り出されてたら、きっと誰かに頼るしかなかったと思う。
実際、私も勇者も暴れまくって良いのなら、それが1番楽だ。その力を見せつけて、世界を救う……って事が出来ないわけじゃない。今の勇者なら、波を一人で退けるくらいはきっと出来る。でもあくまでも抑えるだけにとどめてるのは、このサーザインシャインインラの人々に立ち上がってほしいからだ。
隊長さんはめっちゃ頑張ってる。でもこのままあの人一人で戦ってたらゲームオーバーだよ。ゲームじゃないけど。流石にアズバインバカラの援軍も彼一人の抑えでは間に合わないし……誰もがきっかけが必要なんだけど……きっと誰もが「誰かがやってくれる」って思ってる。
自分じゃない誰かが、きっとどうにか解決してくれるって……そんな風に思ってるんじゃないだろうか? 一般人ならそれこそ軍がって思ってるだろうし。でもここまでとはね。目の前に力があってそしてその強力さも見せつけてるのに、誰も求めないなんてなかなかに予想外だよ。
(もしかして守りすぎてる?)
ここにいたら大丈夫……という安心感がまずいのでは? と私は思い始めた。この武器を取らないと行けない状況にすれば……流石に自分たちがやらなくてもいい……なんて思ってられないだろう。
『ちょっと過保護過ぎましたね』
『何をするつもりですか?』
『少し荒療治ですよ。自分たちも当事者なのだと、ここの人達には思ってもらいましょう。なので一体、砂獣を見逃してください』
なるべく勇者は教会の建物に砂獣が近寄らないように立ち回ってた。それで実際、一体もこの建物に近づけなかった。どうやら砂獣は生命反応でも探知してるのか、沢山の人が避難してるここに狙いを定めてる。
だから絶え間なくこの建物に向かってくるわけだ。沢山いるから、中央の宮殿の方にもいってるが、ここにも相当数きてる。宮殿のおえらいさんがいる方は大砲みたいなのもあって、時々勇者がいくって感じでどうにかなってるが、こっちの市街の方は本当に無防備だ。
なのでちょっとミスりました……っていう体でやれるでしょう。
『それで誰かが死ぬのは……』
『そこは大丈夫ですよ。うまく調整します』
ドローンでの戦闘は厳しいが、護るくらいは出来る。それにこれはちょっとした演出だよ。勇者だってこのままじゃ誰も隊長さんの後に続く人がいないとわかってるだろう。だからこれは必要なことなんだ。