「くっ」
さっきから自分は黄金の鬼に対して、聖剣を叩き込み続けてる。けど……
(効いてないです)
「そうだな」
聖剣がそういうようにいくら切っても、黄金の鬼のエネルギーは変わってない。いや、減ってはいるのかもしれない。けど、そのエネルギーの総量が膨大すぎで自分の攻撃程度ではその減りがわからない。
(ノア、そっちはどうだ?)
(そうっすね。やつのエネルギーを奪う。それはめっちゃ良い考えだと思うっすけど……)
(難しいのか?)
(自分の術式では無理っすね。ただ……)
(ただ? 何か手があるって言いようだな?)
(そうっす。G殿から渡されたユグドラシルシステムの概要。そしてその一部がこの体にもあるっす。それを使えば……)
なるほど……と思った。確かにG-01殿が鬼のエネルギーをその身に変換してるのはユグドラシルシステムがあってのことだ。そして自分自身は彼の眷属だ。この体には完璧ではないにしてもそのシステムがある。だからこそ、それを使えば……実際この体に搭載されてる簡易的なユグドラシルシステムでは力の変換はできないんではないだろうか? 本当なら。だってそれができるのならこの世界に来たときに彼が定期的に自分や魔王にエネルギーを供給するって手間をかけるよりも、その使い方を教えるのが早かった。まあまだ信頼がなかった……のかもしれないが。
でもそこでノアだ。ノアはこの世界の力を自分の力に変換してくれてる。その特性がある。つまりはユグドラシルシステムとノアのその特性を組み合わせることで、あの鬼のエネルギーさえも変換できるようになるのでは? ってことだろう。
制限があるユグドラシルシステムだけでも、ましてやノアの力だけでもできないが、その二つが合わさることで、一つ上の可能性が見える。やってみる価値はある。
「何か必要なことはあるか?」
(なるべく近くで、接近戦をお願いするっす)
「きついな……だがわかった!!」
これだけ力の差が大きいと一手間違うと押しつぶされる可能性が高い。そのエネルギーは絶大なんだから、そもそも近づくのもリスクは高い。だがわかる。きっと接してたほうがデータが取りやすいってのもあるんだろう。
自分は力を溢れさせてそれを纏う。エネルギーによる自身の保護。それをなして、鬼の懐へと入り込む。