王様が各地の街へと今のこの現状やら教会の暴露をしてから、いろいろとあわただしい。まあそれはそうだろうね。あんなことをして、暢気にできる……なんて思ってる奴はいなかっだろう。今日も今日とて、アズバインバカラへと長蛇の列がやってきてた。それはサーザインシャインインラからの難民とかもそうだし、ほかの街からの移住者とか……それとお偉いさんたちだ。
なんでアズバインバカラへと住民が移住してきてるのかというと、自分たちの街が不安になったからってのもあるし、戦力を結集するために、それぞれの街の防衛の為ってのもある。なにせそれぞれの街をそれぞれの街の戦力で守る……というのははっきり言って現実的ではない。それに……だ。今回のサーザインシャインインラのことで判明してるが、教会は砂獣を操るすべを持ってる。もしも同時多発的に『波』を起こされたらどう考えても守り切れない。私や勇者、それとアイとかいても……だ。すでに魔王はどっかに行ったから、戦力としては数えることはできない。スキャンしても反応はないから、上手く隠れてるのかそれかもうこの世界を出たのかもしれない。
あのバトルジャンキーの事だから、大きな戦いが起こるとなれば、勝手に参戦する可能性もあったかもしれないが、この世界にいないのであれば、そんな確率は万の一つもないだろう。
アズバインバカラとそしてジャルバジャル、二つの街は比較的に近い。だからそれぞれの街を拡大させて、移動してきてる人たちを受け入れるために、建物をたくさん増産してる。
これができるのも私が作った施設のおかげだ。エネルギーさえぶち込めば、基本的な資材を吐き出してくれるそれはとてもありがたいからね。なにせこの世界には資源がすくない。なにせどこもかしこも砂だらけだからだ。
だけど、ちょっとした……といったら全然ちょっとしたことではないが、変化がおきてた。それはアズバインバカラから見えるところに緑があるのだ。
「おお、あの方が……」
「あんなに小さいのに……」
「ありがたや、ありがたや」
人々がそう言って拝んでる先にはラクダのような生物が引く籠が動いてる。そしてそこには王様と一番上の王子、さらにはネナンちゃんが真っ白な服に身を包んで乗っていた。
そして人々は一番誰に拝んでるのか……というとそれは王様ではない。もちろん敬意とかはあるだろうが、皆が一応にありがたがってるのはなんと「ネナンちゃん」なのであった。
それはどうしてか……王様たちはアズバインバカラから見える緑地場所へとやってくる。そしてそこでネナンちゃんが祈りを行うのだ。すると、乾いた砂の大地からニョキニョキと木々が生えてくる。
それを皆は奇跡だといってネナンちゃんに対して拝んでるというわけだ。でも、みんなに拝まれてるはずのネナンちゃんは何やらあんまり楽しそうではない。子供としての無邪気な顔……それが消えてるような……そんな感じだ。