uenoutaの日記

好きなものを描いたり、買ったものを紹介していきます。

転生したらロボットのなかだった(ただし出ることはできません)運命という世界線を壊せ 861

「「「勇者殿(様)!!」」」

 

 その場にいる皆が期待するような目で勇者を見る。そこにいるのはほとんどがそこそこ歳いったおじさんたちである。別に期待のまなざしを向けられたとしても、うれしさとかはないだろう。一応王妃様とか控えてる侍女の人たちとか綺麗な人たちもいるにはいるが、そんなのに反応する勇者ではない。

 

「それが本当の姿……なのかはわかりませんが、こちらでちょっと改良しただけです」

「改良……そんな事が?」

「基本的には安定化と、その力の引き出しやすさを重点にやったんとか……んん! やりました」

 

 下手に勇者以外がやった……とかしたくないから、まずいことを言おうとした所をごまかす勇者。どうやら皆さんきれいな都市核に注目してて、勇者の失言には気づいてないらしい。実際彼らにとっては勇者の言葉よりもどうしても目の前の変わり果てた都市核へと意識が行ってしまうんだろう。それは仕方ないことだ。

 

「それよりも都市核は専用の台座に収めてないとダメなのですか?」

「ええ、そもそもがその台座もはるか昔からあるのです。そして都市核があるところに人が集まり、町になったのです」

「なるほど……」

 

 それなら都市核を外せるようにしてる意味ってなくない? と私は思った。勇者だって思ってるんでは? そしてどうやらラパンさんの言葉の感じでは、その台座に置くことで都市核はその力を正しく発揮してるって感じなんだろう。

 だからこそ都市核の力が発揮されてる領域は人が住めるって感じか。それなのに私はそんなのなくてもいいようにしてしまった。

 

「これで本当に都市核が安定してるのなら……あの案も本気で検討できるかもしれないですな」

 

 一人の領主がそんなことをいった。あの案……つまりは本気でそれぞれの街を放棄して都市核を一つに纏めるってことだろう。そんな話ししてたし。でもそれでの問題はつまりは指定の台座に収めないと結局のところは都市核は宝の持ち腐れになってしまうってことだったんだろう。だからこそ、町の放棄は……ってことだったんだと思う。

 でもきれいになったうえでさらにはその力も引き出せる状態にできるとなれば話は別である。けど私はあることを思ってた。

 

(台座と都市核がセットってことは、そこには何か意味があるんじゃないの?)

 

 ってことである。