uenoutaの日記

好きなものを描いたり、買ったものを紹介していきます。

ある日、超能力に目覚めた件 230P

 子犬たちはどうやらそれぞれの女子高生たちに拾われたみたいだ。そして一生懸命に親に頼み込んで飼う許可をもらってた。まずはそれぞれ外にずっといたから女子高生とお風呂というイベントを体験した。向こうは子犬だから何も気にしてなんかない。一糸まとわぬ姿でお風呂で戯れた。

 二人の女子高生の家庭環境は結構違ってた。一人はごく普通の家庭だった。お父さんがいてお母さんがいて、弟がいて、おばあちゃんがいる……そんな家庭に子犬が一匹増えた。

 そんな中に増えた一匹の子犬はかわいがられる。一人を除いて。それはお父さんだった。この家のお父さんは昔の頑固おやじよろしく、あまりしゃべらない人だった。だから子犬も最初はお父さんにはあんまり近寄らない。

 けどちょくちょく誰も見てない所で、卵ボーロとかくれてた。それでちょくちょく接してたら、散歩にも連れて行ってくれるようになった。いつしかなぜかお父さんが一番世話をするまでになってた。

そして子犬を通じて、家族がもっと強く繋がれたみたいな……そんな感じになってた。

 

 もう一人の家庭環境は外側からは見えない所ですさんでた。家にはお母さんがいたが、父はめったに帰ってこない。どうやら家族に興味はないらしい。それをいいことに、母親は男を家に連れ込んだりしてる。

 女子高生になった娘はかわいく……そしてムチムチに育ってた。なので母親が連れてくる男たちに言い寄られることもよくあった。家にいても休まることなんてない。早く……高校を卒業したら一刻も早く家を出たい……そうおもってるようだった。

 だから彼女は子犬の世話は全部やった。そしてそれに応えるように、子犬はいつも一緒にいて、男たちが手を出しそうになるものなら「キャンキャン」と吠える。最低な男たちは子犬にも手をだしてくるが、そんなのにひるまない子犬だった。

 どうやら彼女を守る――という意識があるようだった。そんな二人には信頼関係がはぐくまれていく。互いに互いを必要として、そして絶対に裏切らない……そんな関係性を作れていった。

 

 

 二匹の犬はいつしか大人の犬になってた。そのころには女子高生だった彼女たちは大学へ。一匹は実家にいることになったけど、もう一匹はちゃんとペット可の物件まで契約してくれて大学生活も一緒に生活した。

 でもどちらも『家族』と居れたのは間違いない。大学も卒業して、就職……そして人生の晴れ舞台ともいえる結婚。そのころにはなかなかの歳に犬たちはなってた。

 自身の死期が近いことを感じてた。『死』でもそれでも恐れることなんてなかった。ただ最後の時まで『家族』が傍にいると確信できたからだ。

 

 そう、二匹の犬生に未練も悔いも何もなかったんだ。二匹はそれぞれの家族に看取られながら、静かに息を引き取った。