「無意識を意識的に制御とか……できるものなのか？」
自身の成長は嬉しいと思ってる野々野足軽だ。けどその成長度合いが速すぎで、自身の意識が離れてしまうと、勝手に動きだす……的な感じだろうか？
（さすがに動き出してるわけではないですが……ふむ）
（おい、なんだよ。怖いぞ）
前者のほうでそんなわけじゃない――ということでちょっとだけ安心した野々野足軽だけど、その透明な肉体で考える――ということを表す動作をしてるアース。後者はなにか含みを持たせてる。
（その可能性も、あるかもしれませんね。このままなら）
（それはマジ……か？）
（可能性の一つとして、ないとは言えません）
そんな逃げ道を用意しておくかのような言い方にちょっとイラっとする野々野足軽だ。なにせそんなのなんだって言える。明日事故にあわないなんて可能性としては言えないし、明日頭上に隕石が落ちてこないなんて言えない……みたいなさ。
限りなくあり得ないが――絶対ではないみたいな言い訳。そんなの言い出したら、なんだってあり得る。
（その可能性は、お前的には何パーセントなんだよ）
ここはパーセント表示にして、判断しようと思った野々野足軽だ。なにせもしもこれで０パーセント以下、それこそ0，○○○○とかいう可能性ならそんなのはもうあり得ないの方に入れることができる。
（3パーセントくらいですね）
（また微妙な……）
それは野々野足軽的にはもしかしたらの可能性を秘めてる数字だった。それにそれを言ってるのかアースというのもある。アースはそれこそ力の師匠的な感じもあるし、地球と同じく、何億年とか生きてきた存在だ。
つまりは存在が人間とは違って、格上なわけだ。だからアースがいうのなら、その3パーセントという数字だって的外れじゃないんだろう。だから野々野足軽は困る。
（でも、ここで対策をしたらいいんだろ？ 無意識に影響を及ぼすってどうしたらいいんだ？）
意識があれば、意識的に力を使うことができる。けどそれは当然で、当たり前だ。そこでふと野々野足軽は疑問を覚えた。
（なぁ、なるべく寝る前に力を空っぽにしようとしてるわけじゃん？ 寝てる間に力が回復して、制御を離れてるってことなのか？）
野々野足軽は毎日の訓練でなるべく力を使い切るようにしてる。最初はそれこそちょっと力を使うだけですぐにヘロヘロになってたわけだが、さすがに最近はそんなわけない。
寧ろ、力を使い果たすのにちょっとずつ苦労しつつある。アースは普段、野々野足軽の力が肉体から溢れ出てるといった。それなら寝る前はきっとそんなわけない。空っぽにしてるんだから。
けど、力が勝手に暴れてしまうということは、寝てる間に回復して、それが無意識化で暴れてしまうということだろう。実際、寝てる間に力が回復してるのは知ってた野々野足軽だ。
というか人間は寝てる間にいろいろと回復してる。そのいろいろに、野々野足軽には『力』があるというわけだ。
（成長してますからね。昨日よりも今日、今日よりも明日と、日に日に回復して大きくなる力が意識から離れてるのかもしれません。なにせあなたの脳には、寝る前までの力の記憶しかないのですから）
（それって……寝てるときに回復する力は、その前の日以上に回復してるから、その余剰分を脳は勘定してないって……そういうことか？）
（そうかもしれないということです）
（なら、それを意識して寝てみる……か？）
とりあえずそんな事くらいしか思いつかなかった。
