「ぐっ……これは」
そういって次々と教会のローブの奴らが倒れていく。それはこっち側の兵士たちの二段構えの攻撃が入ったことを意味してる。さっきの遠距離攻撃、それで放った矢には仕掛けがあったのだ。この世界には鉄なんて貴重だから武器やらお偉い人たちの家とかにしかつかってないから、あれは石で作った矢……というか球なんだ。
まあけど、この世界の岩を切り出して……とか作ったわけでもない。あれは私が作った施設から作り出した岩を加工して大量生産した。そしてさらにあの球はぶつかったらすぐにはじけるのだ。
実際、彼らが使ってる遠距離武器はボウガンのように見えるが打ち出してるのは球体だ。なるべく大量に作るため、そして連射性能をつけるためにそうしてある。
本当ならボウガンは一回一回矢を備えなければいけないだろう。それは面倒だし、この世界はなんでも貴重なのだ。もちろん、木材も施設で生産してるが、単純な方がいいのは確かだし、丸い弾丸だけなら持ち運びだって容易だ。
さすがにカートリッジとはいってないが、それでも一本一本を付け替えるよりは早くこれなら装填もできる。なにせ背後から球が入った数センチ大の箱をセットすればいいのだ。そして背面を押せば弾がころころと内部に転がっていく。
まあこれもカートリッジっと言えなくもないかもしれない。そしてその弾にはただの岩ではなくて、ある種の化合物となってる。この世界で普通にとれるものをつかってるのだ。なにせ流石に施設ではなんでも作れるとはいっても、その生産量には限界がある。
無制限に様々なものを生み出せるわけじゃない。だからなんでも作ってたら優先されるべき絶対に必要なものがつくれなくなるからね。なのである種この世界で取れて、どこにでもあって、さらに有り余ってるもので効果的な物質を作ることにしたのだ。
だってなんだってそうだろう。空気だってこの世界の人たちは普通に吸ってるが、実をいうと、勇者や魔王にはわずかに毒だった。けどあの二人はそもそもがクソ強いからそんなの何の意味もなかったのだ。
そしてちょっと濃度を変えれば、この世界にもともと生まれた人たちにだってその牙は向く。そういうものなんだよね。だからこの球だってそういうことだ。この球が崩れることで、空気中にある種の物質の濃度が濃くなるのだ。それによって体内に異常が生じる。
「あの聖女様はどうやって気づいたんだ?」
私はふと、そう思った。だってこれは科学であって魔法ではない。実は教会は魔法だけじゃなく化学も研究してるのかな?