「どうする?」
「もう一回、あそこに行くとか嫌ですぞ!」
「そんなの俺だって嫌だよ」
「ちょっとそこの御仁」
「「「おおう」」」
三人がどうしようか――と悩んでる間に、猩々坊主が通りすがり
のサラリーマンへと声をかけてた。
「はい? 自分ですか?」
「ええ、その通り。つかぬことを伺いますが、ここらへんでちょっとした事件とかありましたかな?」
「事件ですか? 聞いてませんけど……」
「そうですか。ありがとうございます」
そういって深くお辞儀をしてサラリーマンを見送る猩々坊主。そして、顔を上げたときはとてもいい笑顔をしてた。まさにお手本のようなお礼の仕方といっていい。
そしてふと笑顔を解いて、三人の元に戻る猩々坊主。そしてこういった。
「聞きましたかな?」
「はい」
「ええ、でも……ここれって」
「どういう事なんだ?」
三人は……いや、冷静に見えてるが猩々坊主だって混乱してるんだろう。深く目を閉じて試案してる。そしてふとこういった。
「某らは化かされてたのやもしれぬ」
「化かされてた?」
「じゃあ猩々さんは相手は狸だったと?」
「あの一部見たじゃないですか。流石にあれが狸だとは……」
化かすという言葉のワードで、三人は猩々坊主がこれの原因は狸ではないか? といったと三人は解釈したようだ。たしかに狸は古から、化かす妖怪として言い伝えられてる。もちろん、それを裏付けるように、そういう話ってやつは各地にあったりするのだ。
でも実際、現代を生きてたきた彼らにとっては、狸がそんな人を化かす……なんてのは結局のところ想像の中――物語の中での設定でしかないと思ってる。だからいぶかしむ。
「某らは一体どこから化かされてた? 猫が大量に追いかけてきたところか? それとも化け物に襲われたところか? いや、待て――傷はどうだ?」
ふと、猩々坊主が思い出したようにそういった。そしてそれにほか三人もハッとする。もしも化かされてたのなら、あの傷だって幻覚だった可能性がある。
そしてもしもその傷がなかったのなら……本当に化かされてしまってた、といってもいいかもしれない。
「チャブ氏、傷は!?」
ダウジングは既に投げ捨ててしまってるチャブ氏にみんなの視線が集中する。そして彼も自然と頬に手を当てる。そこに傷は……
「ある……な」
あったようだ。