驚異的な運動神経をみせて、教会の奴らをバッタバタと切り裂いていくザンサンシャカレの兵士たち。すでに先頭にいたダンゴムシの櫓の上にいた教会の兵士たちはほぼ倒し終わったとみていい。それから更に隣のダンゴムシへと……と行きたいところではあるが、いかんせん距離があった。
目隠しの聖女の乗ってるダンゴムシを囲むように隊列を組んでたわけだが、そもそもがデカいダンゴムシである。へたにぶつかったりしないように、距離を開けてたわけで流石に身体能力がすごいこの世界の人達であっても、ジャンプで移動できるような距離ではない。
なので、一つのダンゴムシを制圧した彼らを送り込む手段がない。移動できたのなら、どんどん戦力を追加できてよかったんだが……ドローンがまだたくさんいたらどうにかなったけどね。沢山壊されたからね。なんとか集めたドローンもまずはザンサンシャカレの街の結界の維持に使ってしまってる。更に集めてはいるが……まだ間に合いそうもない。
「ちっ」
「とりあえず勝どきを上げろ! ここを制圧したって知らせるんだよ。それできっと他の所もやる気になる」
「そ、そうだな」
そんな会話をして、制圧した櫓にいるザンサンシャカレの兵士たちが武器を掲げて――
「「「おおおおおおお」」」
――と勝どきをあげた。そんな声は空気を震わせて、他のダンゴムシに居るザンサンシャカレの兵士たちに届く。すると彼らも「頑張らないと」となって、勢いが増した。でもそれでも……
「ひっ! あがっ」
「うおおおお!! ぺぎゃ!?」
「このクソ野郎――が!?」
それは中央……そう目隠しの聖女がいるダンゴムシに降り立ったザンサンシャカレの兵士たちの最後だ。それぞれ胴体を上と下で別れたり、頭が吹き飛んだり、体の内部が爆発したり……そんな感じでそれぞれ肉塊に変わってしまってる。
そして最後のザンサンシャカレの兵士を殺した目隠しの聖女が次に目指すのは……
「ゴミなのに活きがいいですね」
「どうやら調子に乗ってるようです」
「悲しい」
そう言って目隠しをしてる部分から涙が一筋でてきた。それをみて、副官? なのか聖女の執事なのかよくわかんないが、その人が「なげかわしや」とかいってる。
「大切な子たちの魂を救済しましょう。そして、ゴミには罰を」
目隠しの聖女は錫杖をむける。今、まさに勝どきを上げてるダンゴムシのところへだ。そう、教会の奴らの主体は魔法。自身の近くに敵がいなくなったら、遠距離から一方的に攻撃できる。
勝どきを上げてる彼らは気づいてない。今自分たちが絶体絶命のピンチだってことに。