「よし、各個撃破だ!!」
ドローンには強力な攻撃性はない。そんな機能を詰め込むことはできなかったからだ。けど、電気ショックくらいはできる。人なら簡単に昏倒できるほどの電気ショックを放つことが出来る。けどやっぱりだけど、電気ショックって近づいてそして触れないとだめなのだ。これが遠距離攻撃とかできたら強かったんだが……でも無理だからね。
流石にそれは無理だった。私はドローンたちを水蒸気で白い中動かす。流石にバレバレな中でだと近づく前に落とされるだろうが、今なら近づけるはずだ。なにせ向こうは視界が悪い……と思う。だって奴ら変な格好してるからね。
三角錐みたいなものを被って、体はローブですっぽりだ。この暑い中、そんな格好を皆がやってる。きっとあれが教会の正装なんだろうけど、拷問だよね。まああれで汗だくのやつを見たことないから、もしかしたらあの格好には暑さを和らげる効果とかあるのかもしれない。
ドローンのセンサーで白い水蒸気の中でもこっちには相手の場所がよくわかる。これで全滅……なんてのはもちろん思ってない。けどある程度数を減らせたら、きっと更に警戒するはずだ。
「まずは一人」
その瞬間「ぎゃっ!?」とかいって教会の一人が倒れる。ピクピクしてる。けどこれも五分くらいだろう。さっさと数を増やさないと。
「何が起きてる」「攻撃が――ぎゃ!?」「何も見えないぞ!!」
「くそっこうなった――ぎゃ!?」
ふむふむ、なかなかにいいペースである。けど周囲にもダンゴムシはいるわけで、そしてこの水蒸気に巻き込まれてない教会の奴らもいる。だからもちろんだけど、全体を見渡すためのドローンだって残してた。周囲の教会の奴らが動いてる。魔法陣でどうやら風をだしたらしい。水蒸気が流されていく。
その前に私は奴らが乗ってるダンゴムシ……それにちょっかいかけることにした。これには流石に一体ではどうにもできないし、電気ショックもデカいから効きそうにないからね。ここはドローンを通じて私が魔法を使うことにした。混乱の魔法だ。
三機のドローンを駆使して、私は魔法を遠隔発動させる。そして教会側が反撃に出る前に、再びドローン達は距離をとった。一番前のダンゴムシに乗ってる奴らの半分くらいは昏倒させる事ができたね。それは上々だ。けど周囲の奴らから今度は炎じゃない魔法が飛んでくる。それは不可視の風の刃。それは一回当たった程度ではドローンも壊れない。けど、教会の奴ら、めっちゃ撃ってくる。しかも不可視だからね。避けるのが難しい。てかドローン達の自律的な行動ではどうやら攻撃をされてる――と認識できないみたいだ。
数十のドローンを全て私が手動で動かす? 流石にきつい。何機かのドローンが落ちていく。むむ……前のダンゴムシの教会の奴らを倒せたが、これではトントン……いやこっちのほうがもとから数は少ないからまずい。けどここでようやく混乱させたダンゴムシが動いてくれた。
「「「う、うわあああああああああああああああ!?」」」
「なんだどうし――」
そんな混乱した声が聞こえる。なにが起きてるのか。それは混乱したダンゴムシが他のダンゴムシに突進してるのだ。よしよし、これである程度時間を稼げるだろう。
「あっ、落ちた」
ダンゴムシの衝突の衝撃で上に乗ってる教会の奴らが何人か落ちたりしてる。