uenoutaの日記

好きなものを描いたり、買ったものを紹介していきます。

ある日、超能力に目覚めた件 245P

(そういうことじゃありません。彼女は貴方に興味がありますが、あの子はそれが貴方とはわかってない……という状況です)

(どういうことだ?)

 

 アースの説明は野々野足軽にはちょっと難しかった。だって自分に興味があるはずのなのに、その興味の対象が目の前にいる人物とは結びついてないという。野々野足軽の頭にははてながいっぱいだ。とりあえず扉から離れて、カバンをおいて上着をぬぐ。それをハンガーに掛けて、シャツも脱いで、それはベッドに投げた。ベルトを緩めてズボンを脱いで、パンツ一丁になる野々野足軽。いや靴下ははいてた。

 朝に脱いだ服をまた来て一言「ふう」といって、とりあえず脱いだ服はまとめて椅子において、自分はベッドに腰掛ける。

 

(まだ使えますか?)

(知ってるだろ? 俺の力は、とどまることを知らない)

(まだまだ矮小ですがね)

(お前にとってはな!!)

 

 せっかくちょっとカッコつけたのに、まだまだと言われたからちょっとムッする野々野足軽。それに日々成長をしてるのは確実なのだ。なにせ最近はずっと寝てる状態の力の扱いに困ったものだった。けど一応の解決策を出してた。

 それでここ最近は安全に寝ることができてる。けどそれでも……だ。けどそれでも、地球という一つの星そのものであるアースにとっては一生命体の野々野足軽の力はいくら強まろうが、結局はその程度――でしかない。

 

(それでさっきのことだけど……)

(覗いてみたらわかりますよ)

(いや、でもそれって……不味くないか?)

 

 倫理的に妹の部屋を覗くってのは抵抗感があるらしい。まあそれは当然である。いくら家族だからってプライバシーというのは必要だろう。親しき仲にも礼儀あり――という言葉もある。

 

(放置してても、その内知ることだとは思いますけどね)

 

 そんなことを言ってアースは「ふふふ」と笑う。そんな風に言われると気になる野々野足軽だ。それにその内知ることになる……のなら今知ってもいいんでは? みたいな気持ちにもなってきた。ベッドに座りながら、野々野足軽は目をつむる。けど真っ暗だったのはほんの一瞬。視界はすぐに開けた。そして野々野足軽自体は移動してないのに、視界だけが移動していく。

 自室の扉をすり抜けて廊下へ、そしてそのまま目の前の野々野小頭の部屋の扉をすり抜ける。更にそこで聴覚を付け加える。これは透視をしてるときに「視界だけじゃ不便だな」って思ってたらできたことだ。

 なにせ視覚を飛ばしてるのである……なら聴覚を飛ばせない理があるだろうか? ということでやってみたら、なんと遠く離れた場所の音を聞くこともできた。

 今、野々野足軽は妹の部屋を覗き見て、その会話を聴き放題である。これがもしもバレたら軽蔑される行為だろう。けどバレることはない。なにせそんな事ができるのは野々野足軽ただ一人なのだから。