パチパチ――と素早くまばたきをする野々野足軽。別にそれで誰も不審になんて思わないから色々と何やら話し合ってる小頭とおっさんたちをしり目にサイコメトリーを駆使する。そしてその頭に草陰草案の記憶の残留思念が流れてくる。
余談だが、残留思念というのは明確には記憶ではない。残留思念っていうくらいだから、記憶よりも思いに強い。強い思という感情が、周囲に影響を残すように残ってるのが残留思念なんだ。まあだからなんでもかんでも読み取ってると、おかしなものがあったりして面白かったりする。それこそ夢みたいな……そんな意味不明な情景が見えたりもして、野々野足軽はちょっとした趣味みたいに、サイコメトリを活用してた。
だからこれは馴れたもの。可笑しすぎる変な光景ならすぐにこれはまともな感情ではないと気づくくらいの経験を野々野足軽は積んでた。だから無駄そうなら、すぐにサイコメトリをやめればいいだけ。
でも、さすがにそんな事にはならないと思ってる野々野足軽である。なにせすでに強い感情を感じてる。サイコメトリに大切な残留思念というのは、感情が大きく動けば動くほどに大きく残る。
(待って!!)
真っ先にそんな声が響く。それはいつか聞いた草陰草案の声だと思った野々野足軽だ。そして追いつくように映像が頭に流れる。その光景はこの場所なのは間違いない。どうやら草陰草案は何かを追ってるようだ。
(いったい何を? この後に何かあったのか?)
そんなことを思いつつ、サイコメトリを続ける野々野足軽。そして角を曲がったとき、何やら白い尻尾がみえた。どうやら草陰草案は猫を追ってるようだ。そして次の瞬間……いきなり視界が回った。
「つっ!?」
「お兄ちゃん!?」
サイコメトリで視界がおかしくなった影響をもろに受けてしまった野々野足軽はその場でいきなりふらついてしまった。いきなりの自分の身内のそんな動きに野々野小頭は驚いて「お兄ちゃん」なんて言ってしまったみたいだ。
一応野々野足軽は近くにいたミカン氏によって支えられて無事だった。それにふらついたのは一瞬だ。流石に倒れてしまう……程ではなかった。
「ありがとうございます」
「いえいえ、気を付けて」
そういうミカン氏。皆さんは話し合って、この建物を調べることにしたようだ。なにせポーチがあったのだ。ほかにも何か手掛かりがあるかも……と思うのは当然だろう。それは野々野足軽にとっては都合がよかった。なにせどうやって……そうどうやって草陰草案を発見させるか……それを考えていたからだ。
(あまり悠長にやってられる時間はないみたいだからな)
一応すでに野々野足軽は草陰草案の姿を確認してた。けど、ここですぐに草陰草案を見つけた――なんて言えない。どうにかして、彼らに見つけさせないといけない。
(あっ)
そこで野々野足軽は思い出した。そういえばものを探すのが得意な人がいたことに。けどその人はすでにそれを……ダウジングする為の棒をもってない。でもあれを使ってくれれば、簡単に誘導できる……と考えたから野々野足軽はチャブ氏に声をかけることにした。