メタリファーもある意味では被害者といえる。だって神によって強引に螺旋の封印によって縛られてしまったんだ。だから可哀想なやつではある。その上、いらん魂を押し付けられるわけだからね。
けど……
『やめ!? ああああ!!』
『ああ!? なんだ!? 全てが……きえてい……』
『あああああやめろおおおおおお!? 楽園へ……楽園へいくん――だ……』
そんな魂の叫びが聞こえる。それは私が集めてそしてメタリファーへと押し付けた魂の叫び。教会の奴らの交わったその魂は、メタリファーへと吸い込まれていく。すると……だ。
『あぁ……あああああああああああああああああああああああああああああ!!』
――という感じの美しい旋律をメタリファーは叶えだした。声……というよりもまるで楽器の様な音。さっきまでの怪物のような圧力のある声とはまるで違う音をメタリファーは出してる。それにきっと周囲の人達は驚いてるだろう。
今度は一体何だ? とか思っててもおかしくない。けど、その美しい旋律に心安らいでる人もいるかもしれない。それだけ今までのメタリファーが出すとは思えない……そんな音だ。
そしてそれは喜びを表してる。メタリファーは久々の魂を得て、歓喜を感じてる。だからこその声なのだ。そして上機嫌になってくれたのなら、怒りを沈めて帰ってほしい。それが私の狙いだ。メタリファーは別にこの世界の存在じゃないし、もうこの世界は崩壊する。それは間違いない。だから、縛りもおわりだ。
だから穏便に帰ってもらうのが一番。それには生贄が必要だった。そう、その生贄となったのが、教会である。だってこれまで散々地上の人々を好き勝手に使ってきた奴らである。最後くらい、この世界のために貢献してくれてもいいだろう。それにメタリファーが時空間の間に戻れば、輪廻へと教会の魂も流れるだろう。その後に人に転生出来るかは運でしか無いが……それが輪廻というもの。
楽園へと行ける事はないが、次の生をどうにか謳歌してほしい。
「「「まだ……です(だ)(じゃ)」」」
ん? なんか明確な言葉をメタリファーが発した。そして聞こえる声は3つ分。重なり合ってる様なそれ。まさか、メタリファーの中で自我を保つことが出来る魂が?
「あああああああああああ」
いや、完全にはメタリファーの意識を乗っ取ってる……わけじゃない。メタリファーはまだ喚起してる。ただ気にしてないだけ? するとその浮いてるメタリファーの腕がG-01へと向かってくる。喚起しながら、一部では足掻きつつ、一部の支配権を奪ってるみたいな状態? なんかややこしい事になったなって私は思った。