uenoutaの日記

好きなものを描いたり、買ったものを紹介していきます。

転生したらロボットのなかだった(ただし出ることはできません)運命という世界線を壊せ 926

「俺たちは絶対に出ていくなんてしねーぞ!!」

「そうだそうだ!! 俺たちはきちんと仕事だってやってる!! 出ていく理由なんてねえーー!!」

「ああ、その通りだ!!」「先に住んでたのがどんだけ偉いっていうんだ!!」

 

 そんな風にこっちの建物にいる外から来た側の俺たちも興奮して窓から外の抗議してる連中に文句を言う始末だ。こんな風になったら双方から暴言が飛び交うという感じになって、さらに雰囲気が悪くなる。一応まだ距離があるわけだが……今にもこの窓から飛び降りて走り出していきそうな……そうなん感じになっていってる。

 外からこのアズバインバカラへと来た奴らはこの建物だけではない。ほかにも何棟かある。そこにも現地の人たちは抗議に行ってるんだろうか? わからないが、彼らの怒り? を見るに実際ここだけで済んでる……なんて思えない。きっとどこも同じ状況だろう。

 そんなことを思ってる時だった。

 

「うわああああああ!?」

 

 ――と悲鳴が響く。何が起こったのかとおもったら、どうやら硬い何かが投げ込まれたらしい。それに窓の傍にいた奴が当たって血を流してる。これにはこっちの血の気の多い奴らがプッツーンとした。一斉に窓から飛び降りていく奴らが多数。何人かはまだ止めようと叫んでるが、仲間を傷つけられたとあっては簡単には止まれない。確かに自分たちは生まれた街も違えば、いきた環境だって違うだろう。

 けどここでは一つ屋根の下、一生懸命頑張ってたんだ。まだたった一週間ほど。でもそれでも一緒に仕事して、食事をとって、飲んで寝て……仲間意識は十分に生まれてた。だから見て見ぬふりなんてできないって奴が多かった。

 それに何よりだ……向こうの言ってることに納得なんてできない。それが大きい。心当たりなんてなかった。だってアズバインバカラはとても豊かだ。それなのに……自分達だけでこの豊かさを独占するつもりなのか? ってそんな怒り……それが沸いてきてるんだろう。

 飛び出した奴らは一斉に集まってるアズバインバカラの住民たちへと走ってる。このままでは素手での殴り合いが始まるだろう。そうなると、流石に何のおとがめなし……なんてことはないだろう。下手したら本当に追い出されたり……なにせ俺たちはよそ者だ。どっちの立場が上か? となったら当然元からアズバインバカラにいた人たちだろう。

 ちゃんと理由を審議して公平に判断してくれる? なんて期待なんて俺たちにはできない。だって悪さなんて賄賂を渡して揉み消すなんてのは、当たり前の事だったからだ。ここがどうだかはわかんないが、俺たちが元居た街はそんな感じだった。

 

「やっぱり、俺たちに行くところなんて……」

 

 そんな言葉がこぼれる。ここでなら豊かに暮らせると思った。皆、そう思った筈だ。なのに……一時の感情でそれを手放そうとしてる。それはおろかな事だ。確かに現地の人たちが言ってることはよくわからない。

 でも少なくとも、ここの人たちには余裕があって、余裕があるからこそ、心にだってゆとりが合った筈だ。こんな攻撃的ではなかった。何かがおかしい……とそんな風に思える。するとその時だった。

 

ズドォォォォォン

 

 ――と、振動が響いて、誰もが地面に尻もちをついた。そして太陽に照らされる巨大な姿が現地の人たちとよそ者であるこっち側の間にちょうど現れた。あれはそう……ジイゼロワンと呼ばれる巨人だった。その様相……そして巨大な姿に皆の勢いが縮こまった。