uenoutaの日記

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転生したらロボットのなかだった(ただし出ることはできません)運命という世界線を壊せ 925

 ある日、仕事に行こうとしたときこの建物の周囲に沢山の人たちが集ってるのに気づいた。先に来てた人たちに何が起こってるのか? と聞くと、そんな必要ない声が聞こえて来た。

 

「貴様らはここから出ていけー!」「出ていけー」

「お前たちが来たせいで、この町が危険になってるんだーーー!」「そうだそうだーーー!!」

 

 そんな声が聞こえて来た。どうやら外にはかなりの人数がいるらしい。それもきっと発してる言葉から察するに、皆が地元……つまりはこのアズバインバカラの住人なんだろう。

 

「一体なんで……」

 

 そんな風に思わず言葉がこぼれてくる。自分たちは何もやってないはずだ。ただ早く受け入れられようと、必死になって仕事をこなしてた。確かに酔って騒ぎを起こす奴らはある程度いたが、それだって流石にここまで大量の人たちに迷惑なんて掛けてなんかないだろう。

 確かに人が一気に増えたことで問題は多々あったとも思う。それに沢山の人がいるということは、いろいろと生活に必要なものが一気に増えることを意味する。だから実はその皴が既存の住民たちに行ってた……としたら? それなら確かに「どうして?」と思うかもしれない。

 

(けど、そんな事にはなってなかったはずだ)

 

 実際、普通ならそうなる。確実に。一気に複数の街の住人を、それこそ全部受け入れる? そんなのは自分たちの常識なら不可能だ。なぜなら、いつだって人々の暮らしはカツカツだったからだ。余裕があるのなんてそれこそ中央とかしかないと思ってた。だからこそ、俺たちだってここにきて実際生活をするまで不安だった。

 でもそんな不安は今やもうない。誰もが豊かに自由に暮らせる……それがここアズバインバカラだ。間違いない。でもだからこそ、これには違和感がある。だってよそ者である俺たちが来たから自分たちが食べる分までも割を食ってる……となれば元からいた人たちが『出ていけ』というのもわかる。

 だがそれがこのタイミングでおこるだろうか? 街の現状をわかってるのはもちろんだが、そこに暮らす人々のはずだ。もしも自分たちが来て食料に困るとわかってたのなら、そもそもが自分たちに良くなんてしなかっただろう。でも最初の数日は本当によくしてくれていた。

 それに自分たちが予想よりも食べて食料が圧迫してきた……というのなら、まず削られるのは自分たちの食料ではないだろうか? 真っ先にお代わり禁止とかになるだろう。でもそんなことにはなってない。つまりはこの運動は食料とかではないってことだ。

 

「一体、彼らは何に怒ってる?」

「あいつら、こんないい生活してるくせに、俺たちを追い出そうってのか? そうなったら死ぬしかねーじゃねえか!」

 

 理不尽? な抗議に、こっちの人たちも反発心といか反抗心というか、そんなのが出て来てる。それに最初と違って、さいきんはちょっと地元の人たちの態度が変わってたのもあるだろう。その不満……それが爆発しそうになってる。

 これは不味い……そう感じた。なにかわからないが、とても悪い流れ……みたいなのが流れてる気がする。

 

「まて、皆落ち着くんだ!」

 

 そんな風に叫ぶのは俺だけじゃない。けど、興奮してる奴らにその理性的な声はかき消されていく。