uenoutaの日記

好きなものを描いたり、買ったものを紹介していきます。

転生したらロボットの中でした(ただし、出ることはできません)運命という世界線を壊せ 974

「たった一人で来た事、後悔させてやる」
「私は勝てると踏んできた。やってみろ」
 
 俺たちは暗くなった世界でにらみ合う。遠くでガヤガヤとした音が聞こえてる。きっと俺を探してる音だろう。あまり長くやってられない。長くこいつとやりあってると、それだけ増援がくる確率が増してしまう。一瞬だ。一瞬できめて、この女を手に入れてどこかに潜伏する。
 それしかない。本当ならアズバインバカラから逃げ出したいところだが、既にこことジャルバジャル以外にはいくところなんてない。中央に逃げられたら……と思うが、流石に着の身着のままにドリランドは目指せない。それは自殺行為だからだ。一日でつく距離ではない。
 ドリランドに行けるのなら、それが一番いい。なにせ今や敵同士。その中に紛れ込こむことが出来たら、きっと追手だって寄こすことはできないだろう。でも無理だ。現実問題、教会の道具もなしに街の外に行くなんてのはできない。そんなことをしたら、『死ぬ』と言われてる。黄泉の国に落ちていく……とも。つまりは死だ。絶対的な死……ならジャルバジャルやサーザインシャインインラへといった方がいい? いやそれもダメだろう。ジャルバジャルもサーザインシャインインラもここよりも今や圧倒手的に人が少ない。いや、ジャルバジャルはすでにアズバインバカラに組み込まれてる感じなんだ。元から比較的近かった二つの町はその間を埋めるように聖女が木々を生やし、異世界の奴らが何かを作り出し、そしてほかの町の町長たちが持ち込んだ都市核によって、その結界の範囲がジャルバジャルと交わった。
 そして残ってた街の人たちをすべて受け入れて、その人たちの住む場所をどうするのかというと、二つの町の間が一番いい。そうして開発していったら、次第にその境はなくなっていった。
 だから今やジャルバジャルとアズバインバカラは一つになってる。そしてサーザインシャインインラだが、一応あそこはある。なにせ水源だからだ。けどほぼ今や人はいない。最低限の人がいるだけだ。
 そんなところに行ったとしても、よそ者が行って紛れ込む……なんてできない。だから結局ここなんだ。ここで生きていくしかない。一人ではだめでも……男女で番になれれば……きっとどうにか……今や俺の状況は絶望的だ。
 
 でもそんな中の一筋の光……それが今や彼女だった。敵だけど、こんなにうれしいことはない。
 
「来ないのか?」
「あんまり傷つけたくなくてな。どう調理しようか考えてるんだよ」
「ふん、そんな余裕があるのか!」
 
 一気に突っ込んで来た彼女の剣を俺はなんとか受け止める。