ここ数日、悪魔を宿した女は大人しかった。悪魔なんて物はもっと悪辣で厄介で、やばいやつだと思ってたが、どうやらそこまで『力』ってやつは強くないらしい。いや、まあ野々野足軽のせいではある。だって今野々野足軽の中には2つ分の悪魔の力がある。あれって本当なら、きっと用が済んだなら元に戻ったり……するのかは実際わかんない。
もしかしたらもっと別の……それこそ悪魔に取り憑かれたやつを増やすことで、実はどんどんとその人間から何か……それこそ生命力とかを得て、悪魔は強大になっていく……とかいう特性があったりするかもしれない。
最初に力を分割して人を操るだけでは単純に力を分けただけで、弱くなってしまうが、新たに寄生した宿主の中で悪魔が育っていけば、もしかしらオリジナルの悪魔にも力が分譲される……とかいうね。
そんな事があるかも知れない……と野々野足軽は思った。まあけどそれを検証しようとは思わない。なにせ……だ。今二人に分け与えてた悪魔の力が野々野足軽の中にあるわけだが、それらは弱々しくなってるから無害なのだ。
これに力を戻すつもりは……今のところない。どうやら人が寝るとかするように、時間経過で悪魔もある程度回復することは出来る……というのはここ数日でわかってる。
けどある日、悪魔がより回復してる時があった。それは何故か? まあ実際野々野足軽には問題はなかった訳だが、その変化ってのは『悪魔』という存在よりよく知るのに重要だろう。あの時何があったのか……考えてみた時、アースに野々野足軽はこんな事を言われた。
『あの時はイライラしてたのでは? あの男は授業なんてのも、仕事なんてのも関係なく、ただ単に見た目だけなら極上の女性を朝も昼も夜も抱いてたのですから。それを見てたら羨ましいとも思うでしょうし、ムラムラともするものでしょう。
いやらしいとかじゃないですよ。動物としての本能と言うことです。いくら力を覚醒してようと、貴方もまた動物ですからね』
とかなんとかだった。否定したいところではあった。けど確かに監視という名目で覗いてた野々野足軽はたしかに最初はグヘヘとか思ってた。
なにせあの美女は流石に美女だけあって、その体も美しかった。だから裸を見れるだけでも眼福……といって差し支えない。でもそんな相手が四六時中変な仮面を被ってる男といたしてるのである。
流石に野々野足軽だって四六時中は見てない。けどふと見てみると……「まだやってる」――となるのである。それが何回も続くとどうなる。男として、『羨ましい』と思うのは仕方ない。そしてなんであいつに? とかおもうだろう。
そもそもが悪魔が取り憑いたあの美女はなんで本当にあの仮面の男に心酔してるのかなぞなんだ。それがあの仮面の男も悪魔に取り憑かれてる――となればわかりやすい。