uenoutaの日記

好きなものを描いたり、買ったものを紹介していきます。

ある日、超能力が目覚めた件 370P

「くっ……」
 
 一瞬視界が暗転した。きっとあのドラゴンに食われたからだ。けど、すぐに野々野足軽は穴の向こうの空間に新たな目を出した。けど更にバクンとされた。
 
(こいつ……)
 
 そして何回も何回も……視界を確保するために野々野足軽は目を向こう側に飛ばすわけだけど……その度にドラゴンに食われてしまう。実際野々野足軽には肉体的なダメージはない。けどあることを野々野足軽は感じてた。
 
(力が食われてる……)
 
 そうなのだ。ドラゴンにバックンバックンとされる度に、野々野足軽は自身の力が減ってることを感じてた。だからいくらでも食わせてやれるってわけじゃない。勿論だけど野々野足軽だってドラゴンに食われるために何回も挑戦してるわけじゃない。けど……なぜかドラゴンは野々野足軽が次に視界を表す所に先回りしてるかのようにやってくる。きっと力に敏感なんだろう。
 
 
「ふう~」
 
 野々野足軽は気を入れ直した。今までは戸惑いが大きかった。だから後手に回ってた。逃げるように視界を出すことだけを考えてた。けどそれじゃあだめだ。
 
(とりあえず落ち着いて……一つ一つが駄目なら……一斉にだ!!)
 
 その心で一気に力を高めた。そして沢山の力を使って……使って……とりあえず野々野足軽は手を穴に突っ込んだ。なにせ……だ。なにせ穴の向こうの力は有限だった。だって最初に手を突っ込んでから空間に流した分の力……しか穴の向こうでは使えないからだ。普通の世界ではいくらだって力を使える。なくなっても回復する。けど向こうの空間ではそれはない。野々野足軽が事前に流してた分しか使えない。けど……それではあのドラゴンはどうしようもない……と思った。
 だから手を突っ込んだ。全く持って力を排除した手を――そして穴の向こうで再び力を体内を通して穴の向こうに力を流す。その時だった。
 
「あが!? があああああああああああ!!」
 
 そんな声……いや悲鳴を野々野足軽が出した。なぜか? それは激痛が野々野足軽に走ったからだ。今までに感じたことがないような激痛……思わず手を引き抜こうとしたが……無理だった。なぜなら、力を纏ったままの手では穴を通れないからだ。脂汗が吹き出る。何かが野々野足軽の腕をガジガジとしてる感じがある。肉に食い込んで、骨をかじってる……そんな感じ。じっくりと感じたくもないが、それでも伝わってくる。そしてそのまま引っ張られる。
 
「ぐっ!?」
 
 なんか空間にビダーーーンとぶつかる。引っ張られる。けどこの穴には力がある部分は入れない。でも引っ張られる。
 
「あっが……がっ……」
 
 無理矢理引っ張られる野々野足軽は空で見えない壁に引っ張れてるようになってる。傍から見たらパントマイムでもやってるんのか? となるだろう。けどそんなギャグをやってる気は一切ない野々野足軽だ。寧ろ大ピンチだ。野々野足軽には肉がちぎれていく感覚があった。
 
「や、やめろおおおおおおおおおおおおおお!!」
 
 野々野足軽は穴の向こうで力を一気に高めてそれを開放した。それでようやく、手をひっぱる力がなくなった。あらい息を吐きながら、野々野足軽はゆっくりと穴から手を出す。その先がまだあるか――を確かめるためにだ。