uenoutaの日記

好きなものを描いたり、買ったものを紹介していきます。

転生したらロボットの中でした(ただし、出ることはできません)運命という世界線を壊せ 1009

「なっ何するんだ!!」
 
 いきなり彼女の頬をひっぱたく聖女・ミレナパウス。流石にぶん殴る……なんてできないから、言葉を返す。けが人だぞ!? 聖女じゃないのか?
 
「何って既に治ってるのなら、早く戦って貰わないと」
「いや、彼女はもう……」
「身体は治ってるんでしょ?」
「それは……」
「それなら問題なんてないでしょう」
 
 そう言ってもう一回今度は逆の頬を叩いた。思わず距離をとる。せっかくいい匂いがしてたが……そんな場合じゃない。彼女は死んでたんだぞ。それは俺もだが……そうおもって言い返そうと思った。けど……その言葉は出てこなかった。なにせ聖女・ミレナパウスの顔がとても怖かったからだ。さっきまではニコニコとしてた。とても魅力的な笑顔。この戦場に咲く花だった。けどそれが今はどうだ? その目は鋭く細められて、眉は逆にあがってる。それでも口角は上がってるが、けど逆にそこが怖い。
 
「今は一人でもいなくなっては困る。それはわかる? わかるでしょう? だからこそ、私がこうやってでてきたのです。私の魔法の範囲にいれば、死ぬことはありません。だからあなた達は戦うのです。どんな傷を負っても、どんなに心が折れても私が優しく直してあげます。だからこの戦いが勝利でおわるまで、あなた達は戦わないといけない。それがあなた達の役目です」
「そんな……そんな事……」
 
 俺たちは結局は歯車にしかならないってことか? 悔しい……けどわかってた。俺たちはこの戦いのメインにはなり得ないって……そんな事はわかってたんだ。それに……だ。命を捨てる覚悟を皆がしてただろう。それに、死なないってのは良いのかもしれない。実際、今の言葉を周囲の他の奴らだって聞いてたはずだ。でもそれに文句を言うやつはいない。寧ろ「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」――とテンションが上がってるまである。どうやら俺は覚悟が足りなかったってことなのかもしれない。
 
 皆は死んでもこの世界の大切な人たちを守ることを決めてた。けど俺はやっぱりどこか死ぬことが怖かった。戦場に参加したが、それさえも色々と力があったからだ。確かに力があってもなにが起きるのかわかんないのが戦場だろう。てもそれでも、大規模な戦いになるんだ。そんな中で自分が死ぬ? ――そんな事はよほど運が悪くないとありえないとかさ……
 
「おろしてくれ……」
 
 そんなことを思ってると背中の彼女がそう言ってきた。目が覚めたらしい彼女は俺に下ろすことを求めてくる。けどそんなのは受け入れられない。なにせ彼女は死んでたんだ。後方に下がらせるべきだ。
 
「おい……」
「お前はもう戦えないだろ。このまま後方にいく。その代わりに俺がこいつの分まで敵を倒す……それならいいだろ?」
 
 俺は背負ってる彼女にいって、そして目の前の聖女・ミレナパウスにも言葉をかける。どうだこの覚悟? これなら文句なんて……とか思ってたら、背負ってる彼女からぶっ叩かれて俺は砂に倒れ伏す羽目になった。