uenoutaの日記

好きなものを描いたり、買ったものを紹介していきます。

転生したらロボットの中でした(ただし、出ることはできません)運命という世界線を壊せ 1032

「なんだこれ……」
 
 誰かがそんな事をいったらしい。眼の前の光景……それが信じられなかったんだろう。
 
「ははっ」
 
 誰かがそんな風に笑ったらしい。眼の前の光景をみて、思わずそんな笑いが出たらしい。そこにあったのは喜びとかでも、ましてや興奮でもなかった。ただの呆れ……そんな感情だった。でもそれもしかたない。今や、この戦場には虚しい風が吹くだけけだ。さっきまで地面は定期的に揺れて、皆の怒号が飛び交ってた。生きるために、生かすために、皆がその生命を燃やして戦ってて、そしてそれを容赦なく摘み取るような、絶対的な暴力という砂獣が進軍してたんだ。
 だからこそ、いろんな音がなってた。うるさいくらいの音。そしてそれはきっとアズバインバカラまで届いてた。けど今やどうだ? G-01が暴れてわずか三分。それで一時間近く戦ってた戦いはあっけなく終わってしまった。実際は砂獣の波の向こう側に教会の奴らがそれなりの数いる。きっと空中を飛んでた蝿を召喚してた教会の奴らだ。
 けどそいつらも蝿は打ち止めなのか、これ以上召喚はないらしい。いや待ってるだけなのかもしれない。なにせ……
 
ドドドドドドド――
 
 そんな振動が再び近づいてきてる。それは第二の波。いや、そもそも波事態は終わってない。だからこそ何度だって砂獣は補充される。あまりにも早く、そして一瞬でこの戦場に居たすべての砂獣をG-01が倒してしまったから、これが第二に思えるだけで、地味にけど、永遠に続くかのように砂獣はずっと補充されてた。そして少しずつ倒すペースよりも増えるペースが増えてしまって、どうすることもできなくなって、飲み込まれる。
 それこそ波の様に……それがこの『波』という現象だ。
 
『ふう……なるほどね』
 
 私はコクピット内でそんな風に呟いた。たった三分で既存の砂獣は倒したが、それで終わりなんてのは私もおもってなかった。波とはこういうものだとわかってたからね。でもだからってずっと波を続けさせる気も私はない。私はこの少しの間のラグ……それを意図的に作り出すのも目的だったんだ。
 だって、こんな風にしたら、きっと教会は慌てるだろう。なにせこんな状況は流石に想定してなかったはずだから。きっと自分たちの安全のために、すぐにでも砂獣を補給するように波をせっつくはずだ。そんな事ができるのか? って思うかもだけど、そもそもが『波』を教会は意図的に起こしてる。
 それは確定してるのだ。それはつまり、そのための手段が教会にあるということで、そして波へと干渉する手段を奴らはもってる。私はそれを観測したかった。術式なのか、それとも何かのアイテムなのか……まあ実際それはどうでもいい。問題はその瞬間。別にこの現場まで来てる奴らがそれをやらなくてもいい。なにせこっちは中央の奴らのところにもスパイはいる。それにこの世界を観測し続けてるんだ。
 だからこそ、そのコードを私は盗める。そしてその思惑は的中した。
 
『もらったよ』
 
 私はそういって世界に走らせる。そう、波の終焉……教会の指示に乗せて、こっちのコードを強制的に世界へと適応させるんだ。