uenoutaの日記

好きなものを描いたり、買ったものを紹介していきます。

転生したらロボットの中でした(ただし、出ることはできません)運命という世界線を壊せ 1028

『だから狂信者は嫌なのよ』
 
 嫌なものを見た。私はその場にはいないが、この戦場のどこよりも私はこの戦場の情報を得てるだろう。だからこそそれを見た。勇者が倒した聖騎士達がその最後を迎えたところを……まあ実際あれは勇者が最後を与えたわけじゃない。自身で最後を選んだ――って感じだった。そう考えると、奴らは幸せだったのかもしれない。
 なにせこの残酷で過酷な世界では自身の死を選べるほうが少ない。でも奴らは少なくとも、自ら進んで死へと進んだ。まあなんか騙されてそうだったけどね。だって奴らの最後の言葉……『次の世界』とか、『その資格を』とか、そんな事を言ってたが、実際まだ空の扉には変化はない。中央にいる奴らはなにかやってるようだけど……聖騎士達の死では変化はみえない。つまりは奴らは騙されたのでは? って思うんだけど……まあ同情はしない。
 どうせ敵だ。敵に感情移入していいことなんてない。
 でも……だ。
 
『でも、ただ死んだだけ……なんて思えないよね』
 
 勇者も警戒してたが教会とはろくでもない奴らである。なら碌でもない事をやってくるハズ。その警戒は間違ってないと思ってる。奴らは勿論こっちの人たちをなんとも思ってない。けどそれは仲間だってそうだ。奴らにはとってはこんな戦場に真っ先に投入するような奴らってのはきっとそれこそ生贄だ。その生命なんてどうでもいいと思ってるだろう。だからこそ、死だって計画通りだと思う。
 死ぬときはこうすれば先に楽園に行ける――そんな甘言をつかって聖騎士たちを誘導してた様に見える。
 
『仕込んでたのは聖騎士……ではなく、砂獣なんでは?』
 
 そう思った。その時だ。何やらこの戦場にいる砂獣全体にその変化は訪れた。いや全体は言い過ぎか……空を飛んでるハエみたいな砂獣にはない。アイツラは教会が産みだした砂獣だからだろう。まあけど、普通は教会が直接関わってる方に何らかの変化? ってやつは出そうなものだ。でもなんか違う。砂獣の場合は自然発生的な方にそれは起きてる。
 それは既に『強化』がなされてた砂獣共だ。そいつらには空に現れたなにかの残骸……それを食らって既に強化されてて、その甲殻にひび割れのような模様が浮かんでた。禍々しい模様だった。
 それが今、光ってる。それはさっき食べた聖騎士の光が内側から溢れてるかのよう。あのヒビのようなものは実際ただの模様だと思ってたんだけど……どうやら違ったらしい。なにせそのヒビが入ってた部分から砂獣達は生まれ変わって行ってるからだ。