本命はあっちだ。結局のところ、教会側にとっても、波は手段でしか無い。そう、あの扉を開くための……ね。教会の奴らの上の方はそもそもがこの戦場にも来てない。奴らは教会の奥で変な儀式をやってる。そこには人外とそして本当の教会の上層部がいて、今やそこで生きてるのも人外の三人だけ。その三人が教会の古参。
彼らはきっと一番はじめからいた奴らだ。そうでないと説明できない。それこそ彼らの生きてる年月……それはきっと数十年なんかじゃまったくたりないはず。百年? いやもしかしたら千年くらいは生きてるかもしれない。その年月で人外になったかの……それともその為に彼らは人外へと至ったのか。それに……だ。
あの真ん中のやつ……多分あの三賢人の中で一番の立場の奴……それがたくさんの腕や脚を継ぎ接ぎしてる。その姿はこの戦場に現れたたくさんの腕や脚のようだ。そしてそれによって砂獣は強化されたりしてた。真っ赤に染まった部屋で、三賢人は唱えてる。詠唱を……
「お願いします! 本部よ、応答を!! こちらはもう……波までも止まってしま――あぎゃ!? ぎぎぎがっ……そんな、これは……」
「あがっ……ぐっ……ぐるじい……」
「べががががが! がうああああ!?」
そんな感じにこっちの戦場で波を発生させてた教会の奴らが苦しみだした。なんとか本部と連絡を取って次の手段を……と考えてだろう矢先のことだ。そいつらを抑えに言ってた勇者が驚いてる。
「どうした? 一体何が?」
苦しみまくってる教会の奴ら。けどそいつらも最後には皆してこういってた。
「ああ……そうか……私達は先に招待されたんです……ね」
「向こうに……先に新世界へと……行っています」
そんな事を呟いて皆さん静かに目を瞑って……なんて楽に逝けなかった。どうしてかというと、爆散したからだ。そこにいたのは勇者だけで良かった。同時に何やら呪い? みたいなのを振りまいてた。もしかしたら奴らの臓物を浴びてたら、その呪いに感染してた可能性は高い。
けど勇者なら問題なんてなかった。その力によってまとわりついてきてた呪いを振り払うことなんて造作もなかったからだ。けど魔法的な力をなにも持たない現地の人たちはきっとそうは行かなかっただろう。
皆さん教会をボコボコにしたいと思ってたから、残ってたアイツラをそうしたいとおもってただろう。けど止めておいてよかった。さてこれで本当にこの場には敵はいなくなった。けど……嫌な感じ……空気……それは晴れない。むしろ濃く……そして深くなってる。