uenoutaの日記

好きなものを描いたり、買ったものを紹介していきます。

転生したらロボットのなかだった(ただし出ることはできません)運命という世界線を壊せ 962

「ぐわあああ!!?」
「ぎゃああ!?」
 
 そんな悲鳴が戦場に響く。別に戦場に悲鳴が響くことなんてのは別に珍しいものじゃない。寧ろ当たり前だろう。なにせここは戦場で、戦場なら痛い事は当たり前にある。だから悲鳴なんて当然だ。けど……
 
「痛い……痛いよお……」
「ああ……なんで私がぁぁぁぁぁ!?」
「うわあああああん! ああああああああん!」
 
 とかいう情けない悲鳴はこちら側の……地上側の兵士たちから漏れる声じゃないとは絶対にいえる。だって普通は戦場に立つ以上、ある程度の覚悟はしてるからだ。
 けど彼らにだって当然恐怖はある。覚悟を上回る恐怖が襲ってくることだってあるだろう。そんなことがあったら、泣き叫ぶかもしれない。けどそれでも、向こうのそれは見るに堪えない代物だった。
 実際あんな悲鳴ならこれまででも聞こえてたのでは? となるだろう。だって接近戦になった時点で、教会側の奴らには沢山の被害が出てたのだ。その過程で沢山のそんな情けない悲鳴なんて飛び交ってるはずだ。
 けど実際はそうじゃなかった。だってだ。だっていま地上側の皆が装備してる武器は一級品である。今までの彼らの装備はそれこそ三級……いやいうなればギリギリ切れるか? という感じの武器を騙し騙し使ってた状態だった。
 なにせこの世界には物資がない。刃こぼれしたって直す材料さえ不足してる有様である。質のいい装備……なんてのはそれこそ夢のまた夢。
 でもそれも解消された。彼らが使ってるのはまさしく一流の……いやいうなればこの世界の技術から一段飛び越えたかもしれない武器だ。まあ参考にしたのは教会が作ってた魔法の武器だからギリギリの世界の技術レベルから逸脱してないと思うけど、いうなれば私たち……というかG-01の技術で再現したらオリジナルを超えたという事である。
 
 そもそもが教会が寄越してた武器でも砂獣を一刀に伏せる鋭さがあった。それよりも良い装備を人間に向けるとどうなるか? まあ即死以外ない。なのできっとこれまであの武器で切り伏せられた教会の奴らは自分が切られたと認識する前に絶命してただろう。
 それこそ手足を意図的に斬られたりしてない限りは。でもそもそもが今、教会の奴らを蹂躙してるのはこっちの兵力ではない。奴らが出した奴らの兵力だった筈の砂獣である。
 そして砂獣は普段なら絶対人間殺すマシーンだが、今はただ餌に群がる虫である。その進路上にいる邪魔な虫けらの事なんて気に留めてない。
 だから止めをされてない教会の奴らがその痛みにのたうち回ってるのである。いい気味ではある。なにせ教会の奴らは全員、もっとちゃんと『痛み』って奴を知った方が良い。まあもう手遅れかもしれないけどね。
 
 そして当然だけどこっちの兵士たちもそんな教会の奴らなんて気にしないで目標に迫るのみ。そいつらを足蹴にしたり踏んづけたりしたりしても気になんてしない。
 無様に命乞いをする教会の奴らに目を向けずに、ただ前の砂獣を皆みつめてる。