メタリファーの手はアズバインバカラへと伸びる。あれにはどんな障壁も意味をなさない。今アズバインバカラはネナンちゃんが作り上げた幹のドームによって覆われてる。けどそれをあの手はなにも無いかのように通り抜けることだろう。
「だめえええええええええええ!!」
そういってネナンちゃんが叫ぶ。その目には涙が溢れてた。でもそれをメタリファーが……その中にある魂が聞くわけはない。だってあの中にいるのは教会の魂だ。
寧ろ他人の不幸を嘲笑っていることだろう。そういう奴らである。けど流石に精神崩壊とかは私も望んでるわけじゃない。ネナンちゃんはまだ子供だ。あまりの心への負担はその心を壊しかねない。
だから私は一斉に周囲のドローンを集めた。今やこの世界の全ての人達はアズバインバカラとジャルバジャルに集まってるといってもいい。
わずかにサーザインシャインインラにもいるが……それは本当に数人だからいいだろう。
私はドローンに結界を展開させる。勿論だけど時空間へと対応した結界……障壁だ。それを察知した手は、ドローンを避けようと移動する。けどさせないよ。
私はドローンで手の動きの先を読む。そうやってちょっとの時間を作る。それに……だ。実際既にあの手の情報も集めてる。ドローンの障壁に触れた手によってもたらされた情報。
それをG-01によって解析を掛ける。触れたドローンはちょっと持ったけど、やっぱり同じように時空間の狭間へと押しやられたみたいでこっちの操作を受け付けなくなった。
実際今のままなんとか先回りをして手を抑える……ってのは無理だ。だっていくら私がこの世界で過剰なくらいにドローンを作り上げたって言っても、物質的なドローンと物質ではないあの手では増やせる手段が全く違う。
はっきり言ってこれ以上ドローンは増やせない。けど、あの手は簡単に増える。分裂だっていいし、元の場所から出てる量だって増やせるだろう。
だからドローンで防ぐのも限界がある。なので私は直ぐにG-01の解析力を使ってあの手の力に対応できる結界を作り上げてる。
そしていくつかのドローンを遠隔でアップロードして指定の位置に配置してアズバインバカラとジャルバジャルを覆うつもりだ。それで少しは安心してくれたら……
「ジーゼ様……ありがとう……」
そういってネナンちゃんはメタリファーをみる。いや違う……睨んでる……と言ったほうが正しいだろう。そしてメタリファーを指さしてネナンちゃんはこういった。
「私はもう貴方を許しません!!」