uenoutaの日記

好きなものを描いたり、買ったものを紹介していきます。

転生したらロボットの中でした(ただし、出ることはできません)運命という世界線を壊せ 650

「も……もうダメだ……」

 

 眼の前で仲間だった奴がその顎で上半身と下半身が分かれてる。残された腹からは真っ赤な血が吹き出して、そして臓物がなんかうごめいてた。それは一つだけじゃない。そこら中にそんなのがある。

 ここサーザインシャインインラを囲んだ砂獣達がついに攻め込んできた。俺たち兵士は勿論だが駆り出されることになった。故郷を守るための戦いだ。それに否を唱えるやつなんてのは……残念ながらこの軍にはたくさんいる。なにせ一応兵役があるが、色々と賄賂や親のコネ、そんなのを使って楽をしてる奴等がたくさんいるからだ。

 そしてそんな奴等を批判するどころか、大体の奴等はそんな奴等の下に行って、気に入られようとするんだな。気に入られたら、色々と自分自身も優遇を受けられるからだ。いくら真面目にやってたとしても、そういう親の力、それにコネ……どれだけ訓練や仕事を頑張っても、そんな物では評価されることはない。

 だからこそ、皆が権力に群がっていく。そして真面目にやるやつなんていなくなって……軍なんて名ばかりのチンピラ集団でしか無い軍隊となった。

 

「おい!! 俺様を助けろ!! 俺様を助けたら親父に言って、望みの地位をやってや――」

 

 そんな事を言ってたいつもふんぞり返ってた奴もただの肉塊になった。なんでも手に入って、金で悪事をもみ消して、そして女を大金で買うようなやつだった。酷いやつだ。その瞬間を見たら吐き気よりもある意味でスッキリとした。

 でも周囲には同僚たちの躯が転がって、嫌なニオイが立ち込めてる。そして自分自身もその中に加わるのは時間の問題だ。前の奴等はあらかた居なくなってしまった。いや後ろか? ただ橋の所で砂獣がひしめき合ってて、もう命令形等も滅茶苦茶だ。既にきっとサーザインシャインインラの中央の宮殿まで砂獣は進んでるかもしれない。

 逃げる場所なんてなくて、そしてこの光景を見たらわかる。この街は終わりなんだと。誰もが絶望して逃げ惑い、そして武器をその場に落としてる。俺も変わらない。震える体にはもう、闘志なんてもの一切ない。ただ頭では「死にたくない」と連呼してる。

 でも死は迫ってくる。理不尽に……そして絶対に。自分は弱者だとは思ってたが、いまここで世界の真実をしった。砂獣という圧倒的な力と数には人なんていう生命体が弱者なんだ。このとてつもない流れ――『波』――には逆らうことなんて出来やしない。

 

「はは……はははは……」

 

 乾いた笑いが漏れる。なんで笑ってるのかも自分でもわからない。けどもう笑うしかない精神状態なんだろう。そんな自分に砂獣がぶつかってきた。

 

「ぐふっ!? がはっ……」

 

 その巨体にはねられて、地面を転がり、何かにぶつかった。それでもまだ生きている。全身がいたい。さっきの一撃で殺してくれれば痛いのなんてなかったのかもしれないのに……最後までなんて自分は運が無いんだろうと思った。

 ノシノシ、何かが背後で動く。どうやらぶつかったのは別の砂獣のようだった。そういうこともあるだろう。なにせここには砂獣がたくさんいる。そして、砂獣がその口を向けてくる。どうやら頭をボリボリと食べようとしてるらしい。

 

(これで……終わりか……)

 

 一体自分の人生は何だったのだろう――そう思った。小さいときから家の事で馬鹿にされてきた。頑張って兵士になっても、そこですら権力が幅を利かせていた。いくら努力をしたって、それを見てるやつなんてのはいない。

 誰もが努力じゃなく、賄賂や悪事を頑張るような……そんな街だった。見た目だけがきれいな、中身真っ黒な街がここ、サーザインシャインインラだ。だからこそ……

 

(こんな街、こんな終わり方が相応しいのかもな……)

 

 なんのために守ろうと思ってたのか……血が広がる地面の中で思った。砂獣の臭い息がすぐそこにある。自分が死んだ後にはきっとここの住人がすぐに追ってくるだろう。そう思って目を閉じる。

 けどいつまで経っても死は来ない。それどころか、なにやら暖かな何かが自分を包む。

 

「なに……が?」

 

 目を明けるとそこには砂獣の死骸が広がってた。自分たちがまるでなぶられるだけだった砂獣。それが一瞬で数十体は躯になってる。そして返り血一つついてない彼が光の剣を携えてこういう。

 

「大丈夫か?」

 

 彼こそが、希望だと思った。

ある日、超能力に目覚めた件 13P

「アクアなのか?」

 しばらく見つめ合って……まあその女性の形をしてるお湯は目なんて無いんだけど、野乃野足軽はなんとなくだけど目があってる気がしてた。そして現れたにしては何もしない、むしろなんか言いたそうに見つめてるその存在になくしたアクアを思ったんだ。

 てか、こんな水が意思を持って動いてるのを見ると、アクアと捉えるのが普通だろう。だって他にこんな存在を野乃野足軽はしらない。そんなことを思ってると、その存在はブワッと広がった。そして全体を使って野乃野足軽を包み込もうとしてくる。

「うわ!?」

 

 思わず力を発動させる野乃野足軽。念力を使って、引き伸ばされたお湯を静止させる。けど……向こうもなんとか動かそうとしてるのがわかる。

 

「くっ」

 

 少しずつだけど、押されてる野乃野足軽。このままじゃ押し負けると思った野乃野足軽はなんとか会話に望みをかける。

 

「アクアじゃないのか? なら一体何なんだ? 別に俺は敵対する気なんてない!」

 

 そんな事を必死に伝える。勿論、その言葉が伝わってるかなんてわかんないが、こういう超常の生物とかなら、その力で伝わってるかもしれない可能性に賭けてる。すると――

 

(弱まった? やっぱり言葉がわかるのか!)

 

 ――と野乃野足軽は思った。力が緩んで、押し合いをする必要がなくなったから野乃野足軽自身も力を緩める。けどその時だった。素早く、しかも水の一部が野乃野足軽の顔を覆う。

 

「くはっ!?」

 

 一瞬にして息ができなくなった。まさかこんな素早く……しかも少ない範囲を操ってくるなんて野乃野足軽は思ってなかった。なにせ最初にこのお風呂の水ぜんぶを使ってるんだ。やってくるなら、その水を使って来ると思ってた。

 しかも最初はそのとおりだった。でも油断させた後にこんな……こんな最小の容量で最大の効果を出すような事をしてくるなんてこの水の生物はかなり賢いようだ。

 

(息が……しし……死――ぬ)

 

 何回も顔を覆う水球を掻きむしろって取ろうとするが、指で掻き出せる水なんてすぐに補充されて意味なんてなかった。野乃野足軽がこの状況でも冷静で居られたら、それこそ力を使ってどうにかできそうではあるけど、彼にそんな余裕はない。

 息ができなくなったことで、パニックなってるようだ。

 

(落ち着いて……落ち着いてください)

 

 なにやら野乃野足軽の頭に響く声。けど、それに野乃野足軽は意識できてない。パニックなってるから、その声に耳を傾けるというか、意識を向けることが出来ないようだ。それからも何回もその声は響くが全然反応してくれない野乃野足軽

 それに業を煮やしたのか、その声は控えめなそれから、脳を揺さぶるような衝撃になった。

 

(落ち着きなさい!!)

 

 その瞬間、野乃野足軽の眼球がグルンと上むいて気絶した。そしてなんかそんな反応に慌ててる水の体の女性。カオスな状況になってた。

ある日、超能力に目覚めた件 12P

「ただいま~」

 

 そう言って野乃野足軽は家に入る。既に晩御飯の準備が佳境に入ろうとしてるのか、家の中は晩御飯の匂いで満たされていた。実際のところは海に行ってもアクアを見つける事もできなくて、しかもしかも、平賀式部に翻弄されたことによって疲労感があった。そもそも海でかなりの力を……

 

「あれ?」

 

 そこで初めて野乃野足軽は違和感というか、異常に気づいた。その異常とはなにか……それは思ったほどに疲労が体に来てないことだ。今までの感覚なら、あの海で吸われた力は、いつも限界近くに消費する感じの力の出て行き方だった筈だ。

 だから下手すればあのまま気絶しててもおかしくないし、何時もの感覚でやばいと思ったからこそ、野乃野足軽は『死』を感じたんだ。普通死を感じるほどに疲労するとソレは確実に体に何らかの異常が出てる筈だ。

 だって死を感じてるんだから……それが気の所為とかじゃない限り、体は少なくともボロボロだろう。でもいまここに来て気づく野乃野足軽。そう、自分がそこまで疲労してないってことに……

 

(おかしい……絶対にあの時はソレだけの力が抜けて行ってた筈だ。戻された……とか? いや……馬鹿な。どのタイミングでだよ?)

 

 混乱してる野乃野足軽色々と考えていく内に気の所為だった線が濃厚になりそうになる。なにせ体からはたしかに疲労感を感じるが、それはあくまで通常の範囲内の疲労感だ。死を意識するような……そんな滅茶苦茶な疲労感ではないのは確かだ。

 

足軽、帰ってきたんならさっさとお風呂に入りなさい。アンタなら五分もあれば出てこれでしょう。そしたらすぐに晩御飯にするからね」

「いや五分って……」

 

 なんで制限時間を付けて入らないといけないだよって野乃野足軽は突っ込みたくなった。まあけど早く晩御飯も食べたいし、お風呂にも入りたいから依存はなかった。ただ制限時間が納得できないだけだ。

 

「アンタがこんなに遅くに帰ってくるからでしょうが! 晩ごはんまでに入って出てこれるのアンタくらいでしょう。お父さんはまだ帰ってきてないし。だから早くしなさい」

 

 野乃野足軽のお母さんはそう言って晩御飯の用意に戻っていった。もう晩御飯の時間を動かすことは不可能に近いと悟った野乃野足軽はさっさと脱衣所に向かった。そしてさっさと服を脱いで風呂場に入る。

 とりあえずさっさと体を洗って、湯船に浸かると色々何かが出ていくような……そんな深い溜め息を吐いた。

 

「ふぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 

 やっぱりお湯にはなにか体の毒素を流しだすような特性があるのかもしれない。いくら疲れてても、お風呂に入ったら疲れが取れる気がすると思ってる野乃野足軽

 

「ん?」

 

 極楽極楽……と思ってたらなんか風呂がぶくぶくしだす。別に野乃野足軽の風呂にはジャグジーなんて高級な機能はついてない。なら一体これは……そんな事を思ってると、お湯が人の……なんか女性の体の形になった。

 おっぱいとかくびれとか、丸みを帯びたお尻とか、その体の特徴は女性を確かに表してる。そしてお湯がなくなったことで、野乃野足軽の裸が赤裸々に……つまりはお風呂で男女がスッポンポンってことぉ!?

 これはいけない。そんな雰囲気は一ミリもないがこれはまずい。

ある日、超能力に目覚めた件 12P

「ただいま~」

 

 そう言って野乃野足軽は家に入る。既に晩御飯の準備が佳境に入ろうとしてるのか、家の中は晩御飯の匂いで満たされていた。実際のところは海に行ってもアクアを見つける事もできなくて、しかもしかも、平賀式部に翻弄されたことによって疲労感があった。そもそも海でかなりの力を……

 

「あれ?」

 

 そこで初めて野乃野足軽は違和感というか、異常に気づいた。その異常とはなにか……それは思ったほどに疲労が体に来てないことだ。今までの感覚なら、あの海で吸われた力は、いつも限界近くに消費する感じの力の出て行き方だった筈だ。

 だから下手すればあのまま気絶しててもおかしくないし、何時もの感覚でやばいと思ったからこそ、野乃野足軽は『死』を感じたんだ。普通死を感じるほどに疲労するとソレは確実に体に何らかの異常が出てる筈だ。

 だって死を感じてるんだから……それが気の所為とかじゃない限り、体は少なくともボロボロだろう。でもいまここに来て気づく野乃野足軽。そう、自分がそこまで疲労してないってことに……

 

(おかしい……絶対にあの時はソレだけの力が抜けて行ってた筈だ。戻された……とか? いや……馬鹿な。どのタイミングでだよ?)

 

 混乱してる野乃野足軽色々と考えていく内に気の所為だった線が濃厚になりそうになる。なにせ体からはたしかに疲労感を感じるが、それはあくまで通常の範囲内の疲労感だ。死を意識するような……そんな滅茶苦茶な疲労感ではないのは確かだ。

 

足軽、帰ってきたんならさっさとお風呂に入りなさい。アンタなら五分もあれば出てこれでしょう。そしたらすぐに晩御飯にするからね」

「いや五分って……」

 

 なんで制限時間を付けて入らないといけないだよって野乃野足軽は突っ込みたくなった。まあけど早く晩御飯も食べたいし、お風呂にも入りたいから依存はなかった。ただ制限時間が納得できないだけだ。

 

「アンタがこんなに遅くに帰ってくるからでしょうが! 晩ごはんまでに入って出てこれるのアンタくらいでしょう。お父さんはまだ帰ってきてないし。だから早くしなさい」

 

 野乃野足軽のお母さんはそう言って晩御飯の用意に戻っていった。もう晩御飯の時間を動かすことは不可能に近いと悟った野乃野足軽はさっさと脱衣所に向かった。そしてさっさと服を脱いで風呂場に入る。

 とりあえずさっさと体を洗って、湯船に浸かると色々何かが出ていくような……そんな深い溜め息を吐いた。

 

「ふぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 

 やっぱりお湯にはなにか体の毒素を流しだすような特性があるのかもしれない。いくら疲れてても、お風呂に入ったら疲れが取れる気がすると思ってる野乃野足軽

 

「ん?」

 

 極楽極楽……と思ってたらなんか風呂がぶくぶくしだす。別に野乃野足軽の風呂にはジャグジーなんて高級な機能はついてない。なら一体これは……そんな事を思ってると、お湯が人の……なんか女性の体の形になった。

 おっぱいとかくびれとか、丸みを帯びたお尻とか、その体の特徴は女性を確かに表してる。そしてお湯がなくなったことで、野乃野足軽の裸が赤裸々に……つまりはお風呂で男女がスッポンポンってことぉ!?

 これはいけない。そんな雰囲気は一ミリもないがこれはまずい。

転生したらロボットの中でした(ただし、出ることはできません) 運命という世界線を壊せ 649

「まあそうなるよね」

 

 一瞬……本当にほんの三分くらいは橋に出てきた砲台で砂獣を押し返すかもしれない……なんて思った時期があったかもしれない。実際、そこで阿鼻叫喚してる兵士たちはあの兵器に希望を持ったことだろう。けど……アレがたくさんあるのなら、そもそもがサーザインシャインインラに入られる前に、防衛線として配置しておくべきなのだ。

 それをここの上層部が渋ったのか……それともそんなに数がないのか……多分だけど後者だと思う。流石に自分たちがピンチのときにまで出し惜しみなんてしないでしょう。しないよね? そこまで馬鹿なのか……それともここまでされてもまさかとは思うけど、まだ教会が助けてくれる――なんて思ってないよね? 

 

「さて、私達はどうしようか?」

「どうもこうも、出ないとここは落ちますよ」

 

 二人っきりだし、堅苦しい言葉遣いは不要だよね。いや、最初はそれこそ勇者の前でも堅苦しくやってたけど、最近ボロが出てるからね。それに気心がしれた中になりたいじゃん。勇者はあの魔王と違って私を舐める……なんて事もしなさそうだし、ラフに接していってもいいでしょ。

「でも、私たちは干渉し過ぎじゃないかな? まあそこら辺気にしないのならいいんだけどね。そもそもがここがこれだけ押されてるのって、ここの人たちが教会に頼りっぱなしだったのが原因でしょう。

 ここで私たちが出て、窮地を脱したとしても、今度は私たちに頼りっぱなしになるのでは? 私達は確実にこの世界から居なくなりますよね。それなのに頼られると困ります。特に今の意識のままでは……まあ勇者がやりたいようにやればいいですけどね」

 私はあくまでも積極的に介入したいわけじゃない。面倒ってことじゃないよ。このままじゃ駄目ってことだ。なにせこの街の人達は元々が教会に依存しすぎなんだよ。それが私たちに変わっても彼等はきっと変わらない。

 ただ依存先が変わるだけ。それじゃあ駄目でしょう。

 

「それはそうですが、このままじゃあ彼等は意識を変える暇もなく消えることになりますよ」

「だから勇者が取る行動を止めるつもりはありません。私では出来ないことを貴方ならできるかもしれませんしね。心の奥になにか熱いものを灯すのは勇者の専売特許じゃないですか?」

 

 私が出ると……ね。もう圧倒的じゃん。あの金色の鬼相手にはわかんないけど、そこらの砂獣なんて私にとって雑魚でしか無い。しかもG-01はでかいし、あんな存在他にいないからさ……ここの人たちはそんな圧倒的な存在が居るのなら……って思っちゃうと思う。それはいかんよ。とりあえずG-01が出るのはあの鬼が本格的に暴れだしてからだね。

 一応狙ってはいる。なにせ鬼のエネルギーは美味しいからね。

 

「さて、とりあえず色々と仕込もうかな」

 

 流石に勇者だけでここの人たちの意識を変えるのは厳しいと私だったわかってる。だからそういう空気を作らないといけない。おじさんやヌメリアさんとかは宮殿の方へといって色々と動いてもらってる。あの砲台みたいな何かが他にあるのなら全部出させる気だ。

 そして勇者はなんだかんだ言って戦いに行くだろう。でもそれを誰も知らないとなるとだめだ。後で、教会やら、それこそここの上層部の奴等が勝手に自分の手柄にするかもしれない。そんなのは許されないよ。だから私はドローンたちを使ってここの人たちに今のサーザインシャインインラをしらせてあげよう。

転生したらロボットの中でした(ただし、出ることはできません)運命という世界線を壊せ 648

「うーん、これは無理かもね」

 

 私はコクピット内でそんな事をつぶやくよ。今私の周囲には沢山の小窓が体の周りに展開してる。ソレは沢山のドローン達による映像だ。勿論、今一番話題の場所、サーザインシャインインラの様子を映してるわけだ。

 つい先程宵が開けて、ついに始まった周囲を囲んでた砂獣達による一斉進行。所謂、『波』と呼ばれるこの世界の厄災みたいなものだ。波が起こると街が消える――そう言われてる。そしてそれはまさに現実になり得ようとしてる。

 

「全く持ってないじゃん……」

 

 波が起きたから、サーザインシャインインラにある軍が勿論急いで出動した。でもそれもとても迅速だったか……と言われるとそうでもない。そもそもがそんなに数も居ない兵士たちは、数も居なければ練度も低かった。あと意識。

 だからだろう一斉に広がっていく兵士たちは、各々の担当の場所に行く前に、逃げ出す奴等続出である。砂獣はサーザインシャインインラをまるっと囲んでる。そうなると、サーザインシャインインラ側はただでさえ足りてない軍を薄く広げるしか無い。だからこそ、部隊を分けて配置して派遣するわけだ。

 ソレはまあ良いと思う。そうするしか無いしね。けど問題は絶対にこの段階で前に出る兵士たちの命はないって事がわかりきってることだね。いや、命が無いってことはそういう状況だって軍に居る以上はありえる――と覚悟くらいしてるものだろう。兵士ならね。そう、普通の兵士ならね。けどどうやらサーザインシャインインラの兵士たちは違ったようだ。

 この兵士たちは自分たちが死ぬのが嫌になったらしく、命令を聞かずに、逃げ出した奴等がたくさんいた。でも……そんなのはなんの意味もないっていうね。だってなにせ、サーザインシャインインラは全周囲を砂獣によって囲まれてる。逃げ場所なんてのはない。逃げ出した兵士たちはきっと地位の高い、そう比較的裕福で地位の高い息子たちが逃げ出したから彼等はまっさきにサーザインシャインインラの中央の宮殿に逃げ込もうとした。けどそれは橋の手前で阻まれる。そしてそんな事をしてる間に、砂獣達は街に入り込み、結局橋のところで戦うことになって、彼等は何も出来ずに死んでいくって言うね。

 ある意味で、橋のところには逃げ出してきた奴等が集まってたから、まだ応戦できてるといえばできてるかもしれないが、でもそれも時間の問題だ。それこそ後五分十分の問題。

 一時間二時間とか耐えられそうもない。まだもうちょっと……それこそ街に入り込まれる前に広いところで防衛線でもちゃんと引けてれば……まだ違ったかもしれないが……

 

「ん? あれは」

 

 なんか橋を渡ろうとした蟻型の砂獣が爆散した。何が? とおもったら、橋の先に砲台みたいなのが見える。ああいうの、この世界では初めて見たかも。橋は一直線だからね、当てるのなんて簡単だろう。次々と橋に迫ってくる砂獣をその砲台から放たれる弾が退けていってる。それをみて、押されまくってる兵士たちはなんとかその砲台の方へといこうともがいてるが……そこで踏ん張ろうと思えないのが、この街の兵士の終わってるところだよね……と思う。

転生したらロボットの中でした(ただし、出ることはできません)運命という世界線を壊せ 648

「うーん、これは無理かもね」

 

 私はコクピット内でそんな事をつぶやくよ。今私の周囲には沢山の小窓が体の周りに展開してる。ソレは沢山のドローン達による映像だ。勿論、今一番話題の場所、サーザインシャインインラの様子を映してるわけだ。

 つい先程宵が開けて、ついに始まった周囲を囲んでた砂獣達による一斉進行。所謂、『波』と呼ばれるこの世界の厄災みたいなものだ。波が起こると街が消える――そう言われてる。そしてそれはまさに現実になり得ようとしてる。

 

「全く持ってないじゃん……」

 

 波が起きたから、サーザインシャインインラにある軍が勿論急いで出動した。でもそれもとても迅速だったか……と言われるとそうでもない。そもそもがそんなに数も居ない兵士たちは、数も居なければ練度も低かった。あと意識。

 だからだろう一斉に広がっていく兵士たちは、各々の担当の場所に行く前に、逃げ出す奴等続出である。砂獣はサーザインシャインインラをまるっと囲んでる。そうなると、サーザインシャインインラ側はただでさえ足りてない軍を薄く広げるしか無い。だからこそ、部隊を分けて配置して派遣するわけだ。

 ソレはまあ良いと思う。そうするしか無いしね。けど問題は絶対にこの段階で前に出る兵士たちの命はないって事がわかりきってることだね。いや、命が無いってことはそういう状況だって軍に居る以上はありえる――と覚悟くらいしてるものだろう。兵士ならね。そう、普通の兵士ならね。けどどうやらサーザインシャインインラの兵士たちは違ったようだ。

 この兵士たちは自分たちが死ぬのが嫌になったらしく、命令を聞かずに、逃げ出した奴等がたくさんいた。でも……そんなのはなんの意味もないっていうね。だってなにせ、サーザインシャインインラは全周囲を砂獣によって囲まれてる。逃げ場所なんてのはない。逃げ出した兵士たちはきっと地位の高い、そう比較的裕福で地位の高い息子たちが逃げ出したから彼等はまっさきにサーザインシャインインラの中央の宮殿に逃げ込もうとした。けどそれは橋の手前で阻まれる。そしてそんな事をしてる間に、砂獣達は街に入り込み、結局橋のところで戦うことになって、彼等は何も出来ずに死んでいくって言うね。

 ある意味で、橋のところには逃げ出してきた奴等が集まってたから、まだ応戦できてるといえばできてるかもしれないが、でもそれも時間の問題だ。それこそ後五分十分の問題。

 一時間二時間とか耐えられそうもない。まだもうちょっと……それこそ街に入り込まれる前に広いところで防衛線でもちゃんと引けてれば……まだ違ったかもしれないが……

 

「ん? あれは」

 

 なんか橋を渡ろうとした蟻型の砂獣が爆散した。何が? とおもったら、橋の先に砲台みたいなのが見える。ああいうの、この世界では初めて見たかも。橋は一直線だからね、当てるのなんて簡単だろう。次々と橋に迫ってくる砂獣をその砲台から放たれる弾が退けていってる。それをみて、押されまくってる兵士たちはなんとかその砲台の方へといこうともがいてるが……そこで踏ん張ろうと思えないのが、この街の兵士の終わってるところだよね……と思う。