あれから数日、俺は砂漠の一角にアズバインバカラの賞金稼ぎの面々と共に来てた。その更に後ろにはアズバインバカラの正式な軍もいる。けどそれは最低限だ。寧ろ、俺の監視に近いかもしれない。いや、一応なんか俺の召使い……的な関係で寄こされたんだけどね。
だが、あの視線は……ね。
「旦那、ここらへんですぜ」
「よし、ちょっと調べてみよう」
賞金稼ぎの一人、まさに荒くれって感じの胸毛が薄い服からはみ出てる、浅黒い肌の筋骨隆々の輩がそういってきた。最初は彼等も「なんだこいつ?」的な感じだった。なにせ俺と魔王は今後ろにいる軍の人達を連れて賞金稼ぎの面々が集う、集会所? みたいな所にいったからね。
どうやら軍はそこに関係しないってのが暗黙の了解らしい。でもそれをやぶった。まあその時はそんなの知らないんだし仕方ない。だからそんなのを引き連れてきた俺と魔王が歓迎されるわけ無い。よそ者だしね。それにこの前のデカいサソリが暴れたおかげで賞金稼ぎの奴らも慌ただしくしてたからね。
そんな中に来た自分たちは不信感満々で速攻でそこにいた賞金稼ぎに絡まれた。そして速攻で魔王が吹っ飛ばした。それからなんか軍の奴らが襲撃してきやがったーとかなってこの町の賞金稼ぎの奴らが襲ってきた。それを二人で返り討ちにして……とりあえず軍とは俺達は関係ないと知ってもらって、一応一段落してる。俺と魔王はこの通り、『旦那』と呼ばれて慕われてる。
どうやら賞金稼ぎの奴らは実力至上主義らしい。まあ彼等は我が身一つで生きてる奴らだ。だからそうなるのは自然な事なんだろう。
まあ実際、彼等は自己中心的で、そして軍に所属して差獣と戦ってる軍の奴らは他者の為って事で、なんか埋まらない水があるみたいだ。けどそんなのは俺達には関係ない。そしてなんでこんな砂漠のど真ん中まで来てるのかというか……なんか別の街への街道らしい。
いや、道なんかないけどね。アズバインバカラの地層はなんか堅い岩だけどさ、大抵この世界どこまでいっても砂みたいだ。水はどうしてるのか……一応アズバインバカラの下からは水が湧いてるらしい。どういう原理かはここに住んでる人達もしらない。
多分この砂の下には豊富な水の層があるんだろうって考えられしい。それが溢れてる場所に街は出来るということだ。
実は世界が違うと、水なしでも生きていける人になってるのかと思ったが、どうやらそんな事は無いらしい。いや、俺達の世界の住人よりはきっと水がなくても長く生きていけそうではあるけどな。
街道と言われてるここには赤い旗が等間隔で立ってるだけ。多分これを目印に、交易をしてるんだろう。とりあえず俺は二つのこぶがある変な動物から降りて、砂に手をかざす。
そして俺は魔法を使う。
「おお!」
「すげー」
そんな声が聞こえる。この世界には魔法がないからな。珍しいんだろう。だが暢気に驚いてる場合じゃないみたいだ。
「居るぞ。全員離れろ!」
そう言って俺は剣を抜く。