（そもそもがここまで自己を犠牲に出来る奴が、永遠の命を得ることを望むだろうか？）
私はギャラパラの話を聞きつつ、そんなことを思う。ギャラパラは彼が……というかヘメ・レペスという奴らがその永遠の命の為に他の全人類を売った――的なことを言いたいみたいだけど、私から見たらヘメ・レペスの彼がそうだとはこれまで見た感じ、どうしても思えないんだよね。
だって本当にその身を捧げてるよ彼。こんなクソみたいな教会にその全てを捧げてるのは、どう考えても間違った選択だけどさ、でも全ての欲とか捨ててるじゃん彼は。
そんな奴が私利私欲に動くかな？ 昔はそうだった？ でも人ってそんな簡単に変わらないでしょ。簡単ではなかったのかもしれないけど、そもそもが全人類を差し出して永遠の命を手にしたヘメ・レペス達は「やったぜ！！」と思いはしても、後悔なんてしなくない？ だってさ、望みは叶ってるんだし。
もしもそれで後悔するとしたら……後悔するとしたら……
（望んだ結果ではなかったとか？）
私はヘメ・レペスの彼をスキャンしてみる。
（むむむ……）
なんか彼が着てるローブは結構特殊みたいだね。見えないぞ。てかあのギャラパラなんかのよりも色々と複雑な処理がされてる。こっちの方が頑丈なんじゃ？
沢山の魔法が複合的に掛けられてるのがわかる。まあ内容まではわかんないけど。こっちの魔法はまだ解説中なのだ。勇者がその辺の情報を持ち帰ってくれれば、一気に進みそうだけどね。なにせ協会意外に魔法の知識持ってる奴らがいないからね。
こいつらは……どうなんだろう？ 下っ端みたいだし……ギャラパラはこの中では一番高い位みたいだけど……どう考えてもこのタイミングで投入されてる時点で、捨て駒的な感じがするんだよね。
そんな奴がまともな情報を持ってるとは思えないって言うか？ まあ自分の身が危険になったら、何でもこの通りペラペラ喋るからね。その点では扱いやすいが。
でもそんなの協会の上の方だってわかってるだろうから、大切なことは知らないと思う。でも今喋ってることも大切なこと――だと思うけど。
けどこいつが知ってるくらいだから、きっと重要度で言えば、大切だけど、漏れても良い……くらいの情報ではないだろうか？ いや、本当ならヘメ・レペスをつけてる時点で情報が漏れそうになったらこいつら全員、彼によってころ――
（魔王）
（確かにその可能性はあったのかもしれんな。まあ俺様が強すぎたから、別の可能性を奴は見たみたいだがな）
私の考えには魔王もたどり着いてたみたいだ。ヘメ・レペスは強い。実際私たちじゃないと対処が難しいほどにはきっと強い。そして太古から生きてて永遠の命を与えられた協会に絶対服従してる奴らだ。
そんな奴をこいつらにつけてるのって、違和感だからね。そこら辺の勝負勘って奴は、魔王が一番だからね。こいつ変な匂い感じ取ってる節がある。
とりあえずはギャラパラの話を聞いた後は、再びこいつらは拘束して、さらに色々とヘメ・レペスの彼から沢山聞いた。
