鬼の放った最大のエネルギー波に私はメリケンサックを返した。それは絶大な効果を発揮して、鬼の放ったエネルギーをはじき返す。それは世界が変わった瞬間だ。今までこの宵という世界で、私はただ逃げ回ることしかできなかった。それは鬼がとてもとても強力だったからだ。
どうしようもない力の差。そして世界の理不尽故だろう。けど今、私たちはそれをひっくり返した。そう言っても差し支えないと思う。そして鬼の取り巻きである砂獣達もいくらバージョン 2 になったとしても、今の私の相手じゃない。
向かって来る 3体の砂獣達。そいつらはただ一撃だった。吹き飛んだ。いや吹き消えた? それだけ、メリケンサックの攻撃は強かった。そしてバランスを崩した鬼もそうだ。顔半分抉られてて、足を片方なくし、そして起死回生であったエネルギー破は此方には通用しなかった。
鬼は腕を無闇に振り回してる。でもそれだけだ。脅威はない。今までは触れたけでこっちの装甲が破壊されそうなほどの威力だと思ってた。それはまあ実際違いない。確かに強化されたG-01でもそのまま真っ正面から鬼の攻撃を食らえば、ダメージはでかい。けどただ殴られるようなわたしたちではないのだ。それに攻撃で有効な手段が出来たのがとても大きい。メリケンサック……これでただ殴るだけで鬼の体がえぐれていく。
それを実感できる。
それにG-01はその内部と外部様々な物が変わった。機動力だって上がったんだ。それに各種センサーも質が上がってる。上質なものへとなった。鬼たちの動きを予測することだってできる。
それによって一歩前――更に前へえと進むことができる。それに今さら気づいたけど、鬼はどうやら自身を再生できないようだ。鬼は幾らたっても顔を再生しないし、足を再生しない。これはまさに再生できないってことだととらえられる。そうなるとやることは簡単だ。
「うおら! これまでの仕返しじゃあああああああああ!!」
殴りまくる。鬼はただ殴れば倒せるっていうことが証明された。私のはしたない声と共に鬼の顔面が吹き飛んだ。半分じゃない。顔面全部だ。そしてさらに上半身下半身。そして最後に足も全て吹き飛ばしたな。鬼は消えてなくなった。
これには周囲にいた鬼も黙ってない。いや、むしろ黙っていると言った方がいいかもしんない。でもそれも少しの時間だった。なかなかに現実が受け入れられないような感じで、鬼たちは黙っていた。
それがちょっと沈黙して互いに顔を見合わせて奴等は一斉に声を上げた。祈りとも怒りともとれる、そんな声。そしてこっちに駆け出してくる。今までのような怠慢な感じじゃない。それぞれが飛びかかったり、クラウチングスタートしてきたり、奴らの必死感が伝わってくる。
ようはそれだけ、私たちのことを脅威と感じたということだ。奴等はこれまでただ遊びだと、私たちとはただ戯れてただけだったと思ったものが遊びじゃなくなった。それを分からせられただけ。私はすっごく満足してる。